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2023年06月25日(日) 放送分

石原和幸庭園デザイナー
Vol.1257

エリザベス女王も愛した奇跡の庭
“緑の魔術師”が彩る日本の美

その男は、ガーデニングの本場・イギリスで高い評価を得る。
石原和幸。世界最高峰の園芸コンテスト・チェルシーフラワーショーで、8年連続を含む11度のゴールドメダルを受賞し、今は亡きエリザベス女王からは"緑の魔術師"と称された。

作庭中の姿は、デザイナーというよりアスリートに近い。身振り手振り、全身を使って指示を出し、出来栄えの良さに興奮すると雄叫びを上げることも。感情の起伏を隠すことなく表情に出すところは、少年のようにも見える。

今年5月、石原は、コロナ禍で3年間参加を見送ってきたイギリスの大舞台に挑んだ。
腕利きの職人たちを引き連れて現地に乗り込む姿は、まるでオーケストラの指揮者。今回は、建築家・隈研吾の力を借りて日本の原風景「里山」を再現する。

けれど、コロナ禍のブランクは優勝が至上命題の石原にとって大きなプレッシャーになっていた。
競い合うのは世界のトップデザイナーたち。いつも明るい男が珍しく緊張を覗かせる。
思わぬアクシデントから、8割方出来上がっていた庭の一部を作り直す場面も...。

大きな身振り手振りの裏側に、どこか思いつめた男の揺れる内面が伺える。
庭に込めたテーマは、「緑と共に生きる」。植物がいかに人間と生きているか。石原はコロナ禍を通して、あらためて再確認したという。
緑と生きる喜び、緑が彩る人生の豊かさを表現する庭園デザイナーの挑戦を見つめた。

PROFILE

1958年、長崎生まれ。
花農家の父を助けるため、22歳で華道の池坊に入門。花と緑に魅了される。
バブル崩壊のあおりをうけ、多額の借金を背負う。返済に追われる中で、チェルシーフラワーショーへの挑戦を夢見る。
2004年、46歳の時、初参加でシルバーギルド(準金賞)、以降は中型部門を中心に2019年まで11度のゴールドメダルを獲得。2016年には全部門の1位であるプレジデント賞を受賞し、名実ともに世界一となる。
日本国内の代表作は、「花の楽園」(羽田空港)、「渋谷ハチ公前庭園」(渋谷)など。
妻と3人の子供と長崎に住み、自宅周辺を緑のテーマパークに改装中。
厳しい時代も支えてくれた妻には頭があがらない。

STAFF
演出:笹木賢光
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
撮影:井手口大騎ダグラス・小寺安貴・Ricky Boyd
音効:増子彰
編集:青木可恋
制作協力:ドキュメンタリージャパン
プロデューサー:沖倫太朗・新津総子・二宮寛子

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