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上野水香バレエダンサーVol.1245
放送25年 特別シリーズ「不屈」
プリンシパルの“ラストダンス”
「パリ・オペラ座の劇場で主役を踊ってみたいです」
23年前の情熱大陸。画面からこぼれそうな笑顔で、大きな夢を語ったバレエダンサーがいた。
上野水香。当時22才だった彼女はその後、夢を叶えた。
所属する名門・東京バレエ団での肩書きはプリンシパル。世界の大舞台でも主役を張り、日本を代表するバレエダンサーに上り詰めた。そんな彼女が迎えた転機は「定年」―
人気が陰りを見せているわけではない。事実、観客たちは彼女のバレエを「死ぬまで見たい」と求め、専門誌の人気ダンサーランキングでは今年も2位。
では体力の限界だろうか?しかし本人は「心身ともに今が一番踊れる」と胸を張る。「45才で定年」というのは、所属するバレエ団の規定なのだ。
「来年、私なにも出られるものないじゃん。舞台がなかったらどうしよう」
5才のころから40年間、バレエ一筋に生きてきた上野の戸惑いと不安。仕事に打ち込んだ経験のある人なら誰もが突き当たる壁かもしれない。円熟の先に待つ、逃れられない決まり事。
番組は、刻々と迫るプリンシパルとしてのラストステージまでの3か月に密着した。初挑戦の「シンデレラ」。日本人女性で唯一、上野だけが踊ることを許されている「ボレロ」など、バレエファンならずともうっとり心奪われる演目が並ぶ。
パートナーとの合同練習のためドイツにまで渡り、必死で踊りに磨きをかける上野。ところが、迎えた本番前日に思いもよらぬ事態が起きる。
稀代のバレエダンサーの"最後"に懸ける姿を見つめた。
PROFILE
1977年12月23日神奈川県生まれ。
5歳よりバレエを始める。
1993年、ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップ賞を受賞した後、モナコのプリンセス・グレース・クラシック・ダンス・アカデミーに2年間留学。
2004年、東京バレエ団に入団。
以来プリンシパルとして日本のバレエ界を牽引。
故モーリス・ベジャールに直接指導を受け、『ボレロ』を踊ることを許された世界でも数少ない女性ダンサーの1人となる。
数々の世界的ダンサーとの共演、東京バレエ団の海外ツアーでは世界各地の名だたる劇場で主演。
2022年、芸術選奨舞踊部門 文部科学大臣賞を受賞。
構成:たむたようこ
ナレーター:窪田等
撮影:飯田一志
音効:中嶋尊史
編集:大山幸樹
制作協力:begin
プロデューサー:沖倫太朗・富安いたる・竹前光昭
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