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Vol.1223
2022年10月23日(日) 放送分

土井善晴[ 料理研究家 ]

家庭料理はええかげんでええんです!
「一汁一菜」で始まる暮らしの楽しみ

「読んで気持ちが楽になった。」「人生を共にする一冊に出会った。」
発行部数30万部を超えるベストセラー「一汁一菜でよいという提案」。今、料理家・土井善晴の料理哲学が、多くの人の心を揺さぶっている。

「一汁一菜」とは、ご飯と味噌汁、簡単なおかず(漬物など)で構成するシンプルな和食の献立。栄養価を重視した「一汁三菜」や最高級のご馳走とされる「三汁七菜」などと対比される、昔懐かしい庶民の食事の在り方だ。
 土井は、この「一汁一菜」を現代に再び広めた。日常の食事はご飯と具沢山の味噌汁で十分。味噌汁は出汁をとらなくてもいいし、具材には何を入れたっていい。土井の提案は、毎日の料理を億劫に感じていた人々の心を軽くする。
 土井はなにも、慎ましい生活やダイエット食を勧めているのでない。

 「人間がいまも自分の手で続けているのは料理だけ。料理することは自立した生活への一歩。一汁一菜でよいとなれば、誰にでも料理は始められる」

 親しみやすいキャラクターと、誰もがつくりやすいレシピの紹介で人気を博してきた土井は、いま若者たちにも料理の楽しさや大切さを説いている。その教えは、いわゆる料理教室とは一線を画す。五感を使って料理すること、食材を通じて自然を感じること、つくる人と食べる人との関係に思いを致すこと。
取材中、土井がたびたび口にした「料理はええかげんでええんよ」という言葉は、レシピにとらわれず「適正な加減は自分で判断してほしい」という叱咤激励でもある。
番組は、国内外を忙しく飛び回り、インターネット配信なども駆使してメッセージを伝え続ける土井に密着。そこには、料理への愛情と敬意、そして危機感が溢れていた。

「無償の愛に裏打ちされた家庭料理には、暮らしのなかの大切なものが詰まっている」
 この秋、土井は食の都フランス・リヨンを訪れた。一汁一菜の料理哲学を海外にも伝えたかったのだ。
 チェ・ゲバラのエプロンが似合う65歳が見据える、家庭料理の未来とは−

PROFILE

1957年、大阪・住吉区生まれ。
父は、料理学校を主宰し、戦後日本で家庭料理の礎を築いた故・土井勝。母も料理研究家。
小学校の家庭科で代表して料理するよう求められるも、「簡単なものじゃないと知っていたから」断固拒否。
大学在学中の20歳の時、プロの料理家を目指す。
スイス、フランスでフレンチの修行、帰国後は和食の名店に弟子入り。一時、父の学校を手伝う。
料理研究家として独立後、テレビ番組などで活躍。
2016年の著書「一汁一菜でよいという提案」がベストセラーに。今年発売の自伝的エッセーも版を重ねる。
Twitterのフォロワーは約70万人(2022年10月現在)。
野球好きで、料理も「レシピ通りド真ん中に投げても面白くない。アウトコース低めギリギリ、ともすればボールになる、みたいなところに本当の美味しさはある」が持論。

STAFF
演出:沖倫太朗
構成:田代裕・重乃康紀
ナレーター:窪田等
撮影:高橋秀典・水上智重子
音効:中嶋尊史
編集:舛本賢治
制作協力:ソユーズ
プロデューサー:中村卓也・岩井優介

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