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2022年08月28日(日) 放送分

間渕則文救急医
Vol.1215

24時間365日患者のもとへ駆けつける!
ドクターカーと走る64歳、救急医の夏

岐阜県中津川市。山あいの町に響き渡る"ドクターカー"のサイレンは、今日も救急医・間渕則文が命と向き合っていることを知らせる。
ドクターカーとは、医師や看護師が自らハンドルを握って現場に出動することができる乗用車型の緊急車両のこと。人工呼吸器や心臓マッサージ機などの資機材に加え、およそ30種類の薬剤が積み込まれた、まさに「動く救急外来」だ。

一番近い救命センターまで約1時間を要する中津川市。間渕は病気やけがに苦しむ重症者のもとへいち早く駆けつけ、その場で治療を開始し病院に搬送することを使命としている。取材中にも、心肺停止状態に陥った90歳の女性患者の自宅に急行し心拍を再開させたり、脳梗塞で倒れた男性患者に薬を投与しながら40キロ離れた病院まで転院搬送したりと、「助かる命を救う」姿を目の当たりにした。こうした活動によって、中津川市では心肺停止の救命率が3%から19%に向上し、全国平均を上回っている。

「真夜中でも嵐の中でも、医者が現場に駆けつけるのは最低限」
己を律し、昼夜を問わず24時間体制で救急無線に備える日々。1秒でも出動が遅れてはいけないと、風呂に入るのは週に一度、トイレの扉はいつも開けっ放しだ。
近年稀に見る猛暑となったこの夏、ドクターカーとともに走り続ける64歳の闘いを見つめた。

PROFILE

1958年 愛知県生まれ。開業医だった祖父に憧れ、名古屋市立大学医学部を卒業後、同大学病院の麻酔科とICUに勤務。救急医療を志した30代のとき、救命センターへ搬送中の男の子が亡くなる姿を目の当たりにし、「医者が病院で待っているだけでは駄目だ」と心に誓う。
1999年、エジプト・アラブ共和国カイロ大学小児病院小児救急医療プロジェクトのチーフアドバイザーとして現地に赴任。研究の一環でヨーロッパを巡っていたとき、ドイツで乗用車型のドクターカーに出会う。医者が病院で待つだけでなく、現場に駆けつけ現場から診療を開始するという自分が求めてきたモデルがそこにあった。
2008年、岐阜県立多治見病院で日本初の乗用車型ドクターカーの運用を開始。
2013年 中津川市民病院に赴任し、ドクターカーに特化した病院前救急診療科を開設。これまでの出動は3000件を超えている。今や間渕とドクターカーは街の顔として老若男女に知れ渡っている。

STAFF
演出:今野利彦
構成:田代裕・重乃康紀
ナレーター:窪田等
撮影:西條沢栄
音効:早船麻季
制作協力:東北新社
プロデューサー:中村卓也・沖倫太朗

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