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2022年08月14日(日) 放送分

ナターシャ・グジー歌手・バンドゥーラ奏者
Vol.1213

“悲しみのない自由な空へ”
届け、祈りの歌

日本を拠点に本格的に音楽活動を始めて22年。ナターシャ・グジーにとって、祖国ウクライナのことが気がかりな日々が続いている。

「ウクライナの歌姫」とも称される彼女の相棒はバンドゥーラという60本を超える弦を持つ母国の民族楽器だ。不思議な哀愁を帯びたバンドゥーラの調べと美しく透き通ったソプラノの歌声で、ウクライナ民謡や自作の楽曲だけでなく「翼をください」や「いつも何度でも」など日本の名曲をカバーし、多くの人を魅了している。

2011年。東日本大震災と福島の原発事故は彼女にチョルノービリのすぐ近くで暮らしていた我が身に降りかかった過去を想起させた。「歌を届けたい」という使命感に駆られ、たびたび東北を訪れてきた。
そして今年7月、その東北各地でナターシャの歌声がまた響いていた。「いま自分にできることは歌って演奏することしかない」と47都道府県を回るウクライナ支援・チャリティコンサートツアーをスタートさせたのだ。会場には日本のファンに加えて、ウクライナ人の姿もあり、ナターシャは彼らを労わるように声をかけた。
一方、忙しいツアーの中でも、母国で生活する姉や友人たちとは毎日のように連絡を取り合っている。
「ウクライナのことを知って、好きになって、そして忘れないで...。」

自由は何よりも尊い。どうか彼女の歌声に耳を傾けてほしい。

PROFILE

1980年、ウクライナ生まれ。
1986年、6歳の時に自宅から3.5キロの距離にあったチョルノービリ原発が事故を起こし、避難生活を余儀なくされて転々とした末にキーウへ移住した。
8歳の時に民族楽器バンドゥーラと出会い、1996年・98年と民族音楽団の一員として来日。その縁で2000年から拠点を日本に移し本格的な音楽活動を開始した。
60本超の弦があるバンドゥーラで郷愁を帯びた音色を奏でる一方、ウクライナの民謡からさだまさしのカバーまで、透明感のある声で歌い上げる。得意料理のボルシチを広めることにも精力的だ。

STAFF
演出:増永達治
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
撮影:ミンジ
編集:芦垣均
制作協力:サボラミ
プロデューサー:中村卓也・沖倫太朗・重乃康紀

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