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2022年05月15日(日) 放送分

銘苅春政三線職人
Vol.1203

沖縄の伝統を未来に!
88歳の職人技と、その生き様

返還50年を迎える沖縄に、現代の三線職人界でナンバーワンと評される名工がいる。
銘苅春政、88歳。彼が作る三線は人間国宝の三線奏者にも愛用者が多く、沖縄古典音楽に携わる者にとっては憧れの一本という。かつては三線全体を作っていたが、三線の命とされる棹の部分の発注が多くなったため、現在は棹のみを製作。64年もの職人人生で7000本以上を世に送り出してきた。ほとんど機械に頼らないそのワザで、沖縄の伝統を今に伝えている。

響き渡る音色はもちろん極上なのだが、銘苅の三線の特徴は見るものを魅了する棹のフォルムだ。顔とされる先端部分や、鳩胸と呼ばれる太鼓との付け根部分の曲がり具合が特に美しい。その独特の曲がりは、他の職人には出せないワザ。また、棹全体の形のバランスも唯一無二で、ずっと見ていても飽きが来ることはない。
ほぼ休みなく毎日工房に篭り三線と向き合う日々。だが、かつてはボウリングをこよなく愛し、パーフェクトを達成したり国体に出場したりするほどの腕前の持ち主だった。練習で1日45ゲーム投げることもあったそうだ。久しぶりのボウリングでは、ガターのディレクターを尻目にストライクを何度も達成していた・・・。

戦中、アメリカ統治、返還、そして令和を生きる銘苅に、平和に見える現代はどう映っているのか。
「まだ平和ではない。人間、欲がありすぎると良くない。人間の情を大事にしないと。」
国道58号線の街並みを見つめながらそう呟く、銘苅の生き様を見た。

PROFILE

1934年(昭和9年)沖縄県生まれ。
小学生の時に終戦を迎える。アメリカ統治時代に大工として働いていたが、その技を見初められ三線職人からヘッドハンティング、三線の道に入った。その後7年の住み込み修行の末、30歳で独立し、今年で職人歴64年。現在は沖縄県南部の南城市で「銘苅三味線店」を営む。

STAFF
演出:天野衛
構成:田代裕・重乃康紀
ナレーター:窪田等
撮影:古東千由
音効:中嶋尊史
編集:山村昌樹
制作協力:ビデオユニテ
プロデューサー:中村卓也

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