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2020年03月15日(日) 放送分

堤駿斗ボクシング日本代表候補
Vol.1094

オリンピックを目指す20歳の孤高のボクサー 
己の拳を武器に、信じた道をひた進む―。

現在はWBA世界ミドル級王者に君臨している村田諒太が、ロンドンオリンピックで日本人として48年ぶりに金メダルを獲得してから、8年。同じ道を歩み、間もなく開催される東京オリンピックでメダルを期待されている選手がいる。堤駿斗選手(東洋大)、20歳。
堤の格闘技人生のスタートは空手だった。小学5年生の時に兄の影響でボクシングに転向した。練習を重ねているうちに「ボクシングは、ただの殴り合いではない。技を磨きあったもの同士がリングで戦う競技」と考えるようになり、ボクシングの奥深さを知り、日々汗を流すボクサーたちの姿に魅せられていった。
そして、東京でオリンピックが開催されることを知った時、少年の夢は明確になった。
「自分が現役中に日本でオリンピックが開催されることなんて、もうないと思います。プロで世界チャンピオンになるのは、その後でも間に合うし、その方が強くなる。まずは東京オリンピックで金メダルを目指します」堤の挑戦が始まった。
ボクシングの名門・習志野高校(千葉)ではインターハイ、国体、選抜大会と全国6冠を達成。さらに2016年世界ユース選手権で日本勢初の金メダルを手にすると、アマチュアのナンバーワンを決める2017年の全日本選手権でも頂点に立った。高校生での大会制覇は、3階級制覇の現WBA・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥以来となる快挙だった。
目標を持ち歩み続ける息子に両親は協力を惜しまなかった。父・直樹さんはボクシングの経験は無いが、息子が強くなるために自宅に練習部屋を作り、一緒にジムに通い、他の選手の練習やトレーナーの指導を見て、独学でボクシングを学んだ。時には録画した試合を何度も繰り返し見ては、息子にアドバイスを送った。そして息子の実力がついてくると、強い実戦練習の相手を探して奔走してきた。いま金メダルは息子の夢だけではない、一緒に歩んできた家族の夢だ。
堤が目指すのは「パンチをもらわずに打つ」という理想のボクシング。そのために努力は惜しまない。1日のほとんどをボクシングに捧げている。常に自分に足りないものを探し、強くなるには何が必要かを考えてきた。志高く、努力を惜しまず自分の信じた道を歩む姿は、まさしく孤高のボクサーだ。
先日行われたアジア・オセアニア予選ではまさかの1回戦負けを喫し、オリンピック出場枠獲得はならなかったが、5月の世界最終予選(パリ)での出場枠獲得を目指す。
東京オリンピックで金メダルを目指す、20歳のアスリートを追った。

PROFILE

1999年、千葉県生まれ。3人兄弟の次男。
小学5年生の時に空手からボクシングに転向し、
U-15全国大会など中学時代から多数のタイトルを獲得。
習志野高校では高校6冠に加え、全日本選手権でも優勝。
日本人として初めて、アマチュアボクシング世界ユース選手権(18歳以下の世界大会)で優勝。
東京オリンピックを目指し、2018年4月、東洋大学に入学。
2016、2017年の日本ボクシング連盟最優秀選手。

STAFF
演出:田中啓太郎
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
撮影:稲岡和彦・合田文昭
音効:前田典哉
編集:大山幸樹
制作協力:えふぶんの壱
プロデューサー:中村卓也・上野光雪・赤岩海

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