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2018年09月23日(日) 放送分

尾畠春夫ボランティア
Vol.1120

“神”と呼ばれるスーパーボランティア尾畠さんが被災地に行く理由。秘めた想い初告白

西日本豪雨で大きな被害を受けた広島県呉市天応地区。被災地の復旧を手伝うボランティアの中に、一際目立つ男がいた。赤いつなぎに、「絆」と書かれたヘルメット...尾畠春夫、78歳だ。
尾畠が現場に入ると、空気が変わる。天応地区には、氾濫し流れ込んだ土砂が今なお残ったままの家屋も多いが、率先して床下へもぐり込み、ヘドロとなった土砂を泥まみれになって次々とかき出す。また、被災者に寄り添うようにして声をかけ要望を聞き出し、仲間たちに作戦を指示。時には、経験が浅く動きが硬いボランティアを得意の冗談で和ませる。さらに毎朝9時に始まる一般のボランティア活動の前にも独自の活動を続けていた。早朝6時、たったひとりで向かった現場にとは......。
ボランティア仲間のひとりはそんな尾畠を「神」のようだといい、取材した被災者も「尾畠がいると、現場が活気づく」とその独特の存在感に驚きを隠せない。
大分県の地元では人気店だった魚屋を65歳で畳んだ尾畠。世の中に恩返しをしたいと今はボランティアにのみ専念する。活動資金は年金収入だけ。御礼は一切受け取らず、節約を心がけ車中泊をしながら全国の被災地を回っている。2011年の東日本大震災の際は、南三陸で500日もわたって活動。今年8月には山口県周防大島町で行方不明となった2歳児を発見し、一躍時のひととなった。
番組では被災地での活動に加えて、大分県の自宅も取材。束の間の休息日、バイクで30分走り、無料の露天風呂で疲れを落とす。そんな尾畠のもとには来客が絶えず、中には人生相談をしに訪れるひとも...。身長161cm、小柄な体からは絶えず前向きなエネルギーを発し続ける78歳は、一体なぜここまでボランティアに打ち込めるのか?原動力は何なのか?密着を続ける中で、「これまで他の取材では話したことがない」という長年、秘めたある思いを口にし始めた──。

PROFILE

1939年大分県生まれ。小学校5年生の時に母を亡くし、農家に奉公に出る。中学校は3年間のうちの4ヶ月しか通えなかったという。別府市や山口県下関市、兵庫県神戸市の魚店で修業を積み、東京都大田区で鳶と土木の会社で資金を貯めた後1968年に大分に戻り魚屋「魚春」を開業。地元の人気店だったが65歳の時に惜しまれながら閉店し、以後ボランティア活動に専念する。趣味は40歳からはじめた登山。妻と48歳の息子、45歳の娘、孫5人。取材ディレクターに対しても「360度何を撮っても良いよ」とサービス精神旺盛な78歳。

STAFF
演出:野坂真也
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
撮影:大野夏郎・中川利春
音効:井田栄司
編集:宮島亜紀
制作協力:グループ現代
プロデューサー:中村卓也・岩井優介

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