ドラマ30『家族善哉』(40回) 放送終了


高千穂瑛子役 寺田有希さんインタビュー







新哉の憧れのマドンナ、転校生の高千穂瑛子。原作とは違ってお父さんが突然亡くなるという衝撃的な展開に。原作の島村洋子先生も「瑛子ちゃんかわいそう」と漏らしていらしたとか。数々の試練を乗り越えて、頑張る瑛子を演じる寺田有希さんにお話を聞きました。

―高千穂瑛子は最初の頃はほとんどセリフがなかったですよね?
最初、台本を4冊いただいたのですが、その中では「銭湯の前を歩く瑛子」「バイオリン教室に通う瑛子」という風にセリフもなくて、ただ歩くだけ。一体どんな子なんだろうってよくわからなかったですね。瑛子は自分の思っていることを言葉に出さないというか、うまく言葉に出せなくて人に心を開けないタイプなのかな?って思いました。瑛子は自分の中にため込むタイプなんですね。

―寺田さんご自身はどうですか?
自分は思ったことをすぐに口に出すタイプ。表情に出る前に言葉に出ちゃうし、全部表情にも出ますね(笑)。心の中にためるのは自分と正反対だし、そんな役を演じるのは初めて。それが、ストーカー事件の真相が咲子さんだけにバレて、やっと話せたというか、咲子さんと仲良くしてもらっているうちに意見も言えるし、自分のことも言葉に出せるようになっていくんですね。思ったことがセリフにも出てきて、私もようやく表現しやすくなりました。台本の5週目くらいから「マドンナ」っていう名前が頻繁に出てくるんですよ。最初に読んだ時、「マドンナ?誰これ?あ〜もう1人別の登場人物が出て来るんだ〜」って思って。そしたら私だった(笑)。その先も出てこなくなるんじゃないかと思っていたくらいで。そしたら瑛子の身の上にビックリすることばかり起こって…。こんな風になるなんて、まったく考えていなかったですね。

―連続ドラマは初めてですね?
これまで単発ドラマに少し出るくらいで、こんなに長い時間、演技に接すること自体が初めてなんです。わからないままに体当たりした役がこの高千穂瑛子。ある意味、私の原点になる役だと思います。

―共演者の方々はいかがでしたか?
いろんな人と一緒に演技が出来て、しかも有名な方ばっかりで、自分が足を引っ張らないようにしようと必死でした。瑛子は咲子のクラスメートなので、竹内さんとのシーンが多かったんですが、優しく演技のことを教えてくださったり、何かとしゃべりかけてくださったり。何も知らない状態で相手と演技をするよりは、しゃべってからセリフをやり取りした方がすごくやりやすかったです。

―印象に残ったシーンはありますか?
前半だと命の授業のシーンがやっぱりよかったですね。7、8週目は台本を読むだけで涙が出ちゃって。そのなかでも「お葬式のシーン」(1月18日放送)かな?教室とかの大人数のシーンが良かったですね。みんなの感情がひとつになるっていうか…。普段の生活では、そんなことはありえないでしょう?教室の中でひとつの感情にみんながなったっていう瞬間。瑛子を演じる私も素直にみんなに「ありがとう」って言えたし、あんな風に感情がまとまる経験ってないと思うんですよ。

―確かに。あれだけの人数の気持ちがひとつになるというのは普段、経験できないですよね。ところで、寺田さんはもとから女優志望だったんですか?
中学3年生の時に、深く考えずにオーディションを軽〜い感じで受けて、一度落とされたんです。それがすごいショックで。タレントになれないことがショックじゃなくて、「落とされた」ということがショックだったんです。それで自分に負けたくなくて、「次は絶対通る」という気持ちで入りました。根っからの負けず嫌いなんです。

―負けず嫌いっていうのは大事なことだと思いますよ。寺田さんのこれからの目標はありますか?
今回、チェックはOKでも自分で納得がいかないところもいっぱいあって。でもそれは次につなげればいいかな〜と。納得できなかった分、また克服していけばいいし。今回は表情で表現することが多かったんですが、違う演技もしてみたいですし。演技って答えがないじゃないですか。どれが正解っていえるものでもないと思いますし。今回のドラマで私が正解したと思える部分はないんですが、その時々の理想に少しでも近づけるように、やっていきたいですね。負けず嫌いなんで、一度やり始めたことは自分が納得できるまでやりたいですね。

―ちなみに趣味はなんですか?
スポーツ観戦です。

―意外…何を観るんですか?
(そうは)見えないってよく言われます(笑)。サッカー、野球、バレー、フィギュアスケート、F−1、K−1…何でも観ます。もっぱらテレビですけど。お気に入りはF−1のライコネン。フィンランドの貴公子って言われてるんです。シューマッハが今季で引退するんで、これから注目なんですよ〜。テレビだけじゃなくて、リアルでも観にいきたいですね!

新哉のマドンナ・瑛子を演じる寺田さんは、実はスポーツ観戦好きのアクティブな女子高校生でした。今回はあまりしゃべらない、おとなしい役でしたが、おしゃべりで快活な役も似合いそうです。最終回に向かって、瑛子は瑛子なりの生き方を決断します。強さを内に秘めた瑛子を演じる寺田さんにご注目!