ドラマ30『家族善哉』(40回) 放送終了


佐伯芙美子役 岩崎良美さんインタビュー







咲子の親友で商社マンの妻・芙美子を演じる岩崎良美さん。原作ではD・V(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力)に悩むという設定でしたが、このドラマでは夫への不満から次第にお菓子作りへと興味が向かうという役どころに。咲子とは対照的な主婦・芙美子について岩崎さんにお話をお伺いしました。

―今回のドラマ「家族善哉」の印象はいかがでしたか?
原作を読んだ時に、芙美子はD・Vのイメージが強くて、どうしようと思ったんですが、脚本の芙美子は可愛い奥さんキャラクターに描かれていて、ホッとしました。とくに最初の部分での天然でほわ〜んとした、社会性のなさがすごく好きでしたね。でも、私が知っている商社マンの奥さんにはこういう人はいないですよ。ただ、そんな芙美子も最後の週で大人になるっていうか、成長してゆくという意外な展開になってしまうんですけど。

―衣装も芙美子らしい可愛いものが多かったですね。
私自身はピンクとかフリフリのついたものは着ないですね。でも、今回は、コンセプトカラーをピンクとパープル系でもっていきたい、とお願いしました。初めてそういう衣装を着てみたんですが、それが「意外と似合う」って友人にも言われました。芙美子になるのは1人では出来ないので、衣装や小道具など姿・形に助けられて作っていって、いい感じに出来たと思います。放送を見ていると、最初の頃の芙美子は懐かしい気がしますね。芙美子と咲子とはまったく違った性格なんですが、そんな芙美子とも友人でいられるというところに、咲子自身のキャパシティの広さを感じますね。礼子にしてもまた違うタイプですし。

―芙美子はどんなタイプだと思われますか?
たぶん、家庭にも恵まれて、何不自由なく育って、思ったことを素直に口に出すタイプ。相手のことはあんまり考えてないけど、決して悪気はない。悪気がないから咲子も友達でいられるんでしょうね。芙美子には愛されて育った人の安心感みたいなものがあるのかな。だから圭助のことも愛していけるんでしょうね。

―芙美子と岩崎さんは似ているところがありますか?
私もずいぶん、「天然」って言われますからね〜(笑)。でもどちらかといえば、礼子の言うセリフの方が(私自身に)近いのかも知れません(笑)。

―竹内都子さんとは初共演ですか?
初めてですね。都子ちゃん、ほんとうに素晴らしい。とてもあったかい人。他のシーンでも咲子みたいにみんなを引っ張っていってるんだろうなって思いますね。

―印象に残ったシーンやセリフはありますか?
第1話でホンモノのブタが制服を着て学校に行くシーンとか、大好きですね!ジョークっぽいところが好きなんです。基本的にコメディー好きです。でもこの「家族善哉」では、咲子のセリフが心に響いて、いいこと言っているな〜と。今の世の中、当たり前のことが消えて行っているじゃないですか。咲子のクラスメイトに対する言葉とか、懐かしくて、あたたかくて、昔はいたような気がするけど、今はそんなことを言う人はいないような。というより、言えなくなってしまった時代になっていますよね。人のことを怖くて言えない時代に。自分のことだけでなく、人のことにも親身になれる、深い、あったかい気持ちを感じてもらえたらと思います。

―ドラマでは咲子が高校生をやり直しますが、岩崎さんが何かやり直したいことはありますか?
人生でやり直したいことは、ないですね。今までのことがあって今の自分がいるわけだから、すべて自分の人生の一部だと思っています。

―これから先、または今現在、向かっている夢はありますか?
そうですね、肩の力を抜いて、ひとつひとつ仕事を重ねて行って…歌もそうだし。今やっているといえば、フランス語ですね。もう5年くらい。フランス語の歌を歌っています。フレンチポップスです。フランスにも年に1、2回は行っています。ほとんどパリばっかりですが。一度、歌を休んでいて、再開した時に、私はヨーロッパが好きだし、ヨーロッパのイメージがいいな、と思って始めたのがきっかけ。フランス語の歌は一生続けようかな、と思っています。

今回の芙美子役を「これまでと違った自分のキャラクター」と言っていた岩崎さん、芙美子の悪気はまったくないのに、毒のある一言が何とも言えません。好きなフレンチポップスのライブ活動も続ける岩崎さんですが、2007年は1月半ばから『元禄光琳模様』という尾形光琳を主人公にした舞台に、4月、5月、8月にはミュージカル『アニー』にご出演の予定です。