ドラマ30『家族善哉』(40回) 放送終了


橋本鉄造役 池乃めだかさんインタビュー






咲子の父・橋本鉄造を演じるのは、吉本新喜劇の池乃めだかさん。昼帯ドラマは同枠の『おかみさんドスコイ!!』でちっちゃいタニマチを演じて以来、4年半ぶり。今年、芸人生活40周年を迎えた池乃めだかさんにお話をお伺いしました。

―普段は新喜劇の舞台でご活躍ですが、舞台とテレビドラマだとずいぶん違いがあると思います。今回のドラマに入られる時にどんな役作りを考えられましたか?
始まる時に監督ともお話させてもろたんですが、台本どおり、きっちりかっちりこなすんなら普通の俳優さんでいい、僕がキャスティングされたということは、何かちょっとした動作とか、言い回しとかに普通と違うもんを求められているんかなあ、と。実際やってみて、結構アイディアとかアドリブとか受け容れてくれはるし、尊重してくれはる。それを調子に乗って鎖をはなしてしまうと、またとんでもない方向へ行ってしまうんで、自分なりに考えて、この程度やったら普通のおっちゃんがいうかも知れへんという、普通の面白さというのを探っていって、自分なりに探し当てた時は楽しいね。ドタバタやったら新喜劇でやったらええわけですから。新喜劇はどんなことをやっても、お客さんを笑わせたらそれでええ、みたいなところはありますよね。ドラマの中では、これぐらいやったら普通の人でも言うやろ、するやろ〜というのを見つけるが楽しみの仕事ですね。

―鉄造という人物はめだかさんと似ていますか?
どっちかいうたら、実像に近いもんがあると思うんですよ。偉そうにいうても心優しい。照れ屋で、照れくさいがゆえに余計な一言をぽそっと言うたり…。嫁さんには亭主関白で、偉そうに言うていても、いなくなったら何も出来ない。心の支えをなくしてしまう、みたいな、ね。

―今回のドラマで印象に残ったシーンがありますか?
泣くシーンにはちょっと年齢を感じましたね。昔はね、泣きの芝居は出来なかったんですよ。なんぼ気持ちを入れても、涙なんかこれっぽっちも出てこなかった。先輩から「役者は自分で泣いたらアカン、見てる人を泣かさなアカン」って言われてきましたしね。でも今回は、台本を読んだ時からもうアカン。歳を経ていろんな経験を積んできたせいか、不幸なことや、いろんな死に方や、哀れなこととか、これまで経験してきたいろんなことを若い時よりも思い出すんですよ。いろんなことを見てきたからか、気持ちの入り度が違うんかなあ…。自分自身のことで泣くことはないけど、人の涙には弱いねん。人の涙見たら、ぐっとゆるんでしまうんやな。

―めだかさんは今年、40周年を迎えられたということですが、今後の目標とかお持ちでしょうか。
40周年いうても、特別なことは何もないんですよ。今まで好きな道を選んで、ごはんが食べられて、家族に迷惑も負担もかけずにいられることが最大の幸せですね。この先もこの状態が続きますようにと、思ってます。強いていえば、こういうドラマや、吉本以外のところへも出て行きたいな、と。

―最後にめだかさんから、このドラマの見どころをお願いします。
今は暗い話題が多いでしょう。いじめ、親子のいや〜な事件…みんなコミュニケーションが不足していると思うんですよ。人と人、親と子の会話が少なくなっている。このドラマは、親・子、孫がそれぞれ言いたいことを言いながら毎日を過ごしている、こんな家族が増えてくれたら、世の中の暗い事件も、もうちょっと減ってくれるんちゃうかな、と思いますね。

主演の竹内都子さんも「めだかさんとのシーンではどうしても笑ってしまう」というほど、軽妙な演技のめだかさん。カメリハの時はサービス精神旺盛に、さまざまなアドリブで他の出演者さんやスタッフを楽しませてくださっていました。「たまに『本番では今のはやめください』と真面目に言うて来るスタッフもおりますね」と苦笑するめだかさん。40周年を迎えて、これからも活躍の場をどんどん広げて行って欲しいものです。このめだかさんがマジ泣き(?)したシーンは2006年最後の放送(12月29日)で!