『ピュア・ラブIII』監督の解説


第26話
この回は子供座禅会が中心です。陽春が子供たちにわかりやすく、座禅について説明します。足の組み方、姿勢の整え方、視線の定め方、呼吸の仕方などを詳しく指導しますので、皆さんも一度お試しになってはどうでしょう。私も一度やってみたことがありますが、なかなかいいものでした。
もうひとつの見どころは戸ノ山さんの変身ぶりです。成田婦長に対抗してイメージチェンジを図るのですが、アッと驚く変身ぶりです。お楽しみに。

第27話
いつも沈着冷静でこれまでは周作先生に対しても常に控えめな態度で接していた成田婦長が、今回、初めて積極的な姿勢を見せます。周作先生の目をじっと見つめてしゃべるなど、周作先生もたじたじの色っぽさで迫るのですが、戸ノ山さんも負けてはいません。前回遂げた大変身姿で周作先生の前に現れます。2人に対する周作先生の反応が見ものです。

第28話
忍が麻友のために雛人形を作ります。それが何と土人形のお雛さまで、天然の石から作った粘土で基本形を作り、それに色を付けて完成します。形も色あいも何とも素朴なお雛さまです。家庭でも簡単に作れるので、お試しになってはどうでしょうか?
もうひとつ。ついに成田婦長と戸ノ山さんが周作先生を巡って対決します。これまでは戸ノ山さんが成田婦長に対して、一方的に嫉妬するという展開でしたが、今回はとうとう直接にぶつかり合います。2人の怪演技をお楽しみください。

第29話
いよいよ忍の作った土人形のお雛さまが完成し、麻友のためのひな祭りが催されます。見どころ・・・いや、聞きどころは出席者全員で歌う「うれしいひな祭り」。でもよく聞くと名誉のために名前は明かしませんが、歌詞を間違っている俳優さんが一人います。
そして、これこそ見ものは麻友ちゃんのお芝居(?)。ここのところちょっと調子が悪くてスタッフを手こずらせていましたが、今回は絶好調。演技も絶品です。その秘密は裕太。麻友ちゃんは誰よりも裕太が大好きで、裕太さえ側にいれば、安心してお芝居に専念できます。そこで、出番のない時でも裕太にお願いして側にいてもらい、麻友ちゃんの名演技を収録することが出来ました。
白井先生も久々の登場です。学生時代、ヤクザ映画ファンだったという設定で、
鮮やかな仁義を切ります。

第30話
この回の重要な小道具となる綟子衣(もじごろも)。禅宗僧侶の外出着なのですが、普通の衣と違って裾にプリーツのような襞のあるもので、きちんとたたむのはなかなか難しい衣です。ひょんな事から木里子は陽春の綟子衣をたたむことになるのですが、果たして見事に出来るのか?というのが見どころです。さて、この綟子衣はどんなものか、実物も見て衣裳部さんにも話を聞いて大体のことはわかったのですが、活字で確かめないとなんとなく納得できない世代なものですから、まずは家にある中型の国語辞典を引いてみました。ところが載っていないのです。漢和中辞典を見ても、「綟」という字がありません。そこで、本屋へ行って仏教関係、禅宗関係、臨済宗関係の本をざっと立ち読みしたのですが、やはり見当たりません。仏教辞典などを調べても同じことでした。こっちも意地になって図書館へ行って、大きな辞典で調べてみました。すると、ありました、ありました。「大辞林」には「もじ=綟または綟子。麻糸で目を粗く織った布。夏の衣、蚊帳などに使う」と載っています。「広辞苑」にも同様の内容が記されていて、さらに「もじぎぬ=綟衣 もじ織りの衣」とありました。もし興味ある方は「大漢和辞典」など大きな漢和辞典を引かれると、「綟」という字の語源などが詳しく書かれています。元々は「もえぎ」とか「もえぎ色」「麻のもえぎ色のもの」などの意味があるようです。「綟子衣」の読み方についてはドラマの上では「もじごろも」としました。
「綟子衣」について調べたことが演出上に役に立ったとも思えませんが、文字として確認できたのでスッキリしました。ともあれ、この回はこの「綟子衣」のたたみ方をめぐって木里子とみつるとの対決がクライマックスです。お見逃しなく!