吉住忍/尾崎麿基インタビュー
吉住忍役で人気者上昇の尾崎さんは4人兄弟の末っ子として1954年4月30日生まれ。大阪放送劇団の5期生。78年に劇団五期会入団、現在は劇団の代表です。これまで銀河テレビ小説「道頓堀川」(NHK)、「命燃えて」「命賭けて」(MBS)などに出演。ご実家が米屋で近所では「米屋のお兄ちゃん」で通っているという尾崎さんに、忍役をはじめ、近況などについて聞きました。
(2002年2月27日インタビュー)

―あれ?手に包帯。どうしたんですか?
「実はランニングしていて転んでしまって。指を骨折しました。お恥ずかしいんですけど」

―忍役の尾崎さんはかなり人気があります。ご自身ではどう思われますか?
「それは忍さんの人気で僕じゃないでしょう。設定がラッキーだったって思ってます。役が得してるだけで、僕でなくても別に良かったんじゃないかと」

―オネエ言葉というか、独特のしゃべり口調が好評のようですが…
「最初にみんなで揃って本読みをした時に、「もっと女っぽく」って脚本家の宮内先生に言われました。「男になってるわよ、もっとやわらかく」とも。ほかにも『命燃えて』の結木明夫は美川憲一だったけど、今回はピーコでやってくれ、とか。どう違うんですか!?って思わず聞き返しましたね。まるでパズルのようでした」

―それはどういうことでしょうか?
「美川憲一は外見だけど、ピーコさんは心が女性的だと。実は去年の今ごろ、お話をいただいた時に、役作りのために、その手のバーへ行ってみたんですよ。目からウロコでしたね。思っていたのと全然違いました。みんな普通の人ばかりなんですよ。行ってみて忍役にリアリティが持てましたね。納得できました」

―納得というと?
「忍さんも自分の生活をきっちりしてる人でしょう。ルナちゃんのお母さんよりも朝ごはんなんかちゃんと作って、すごくきっちりしてる。帰ったら必ず「お帰り」って言う。当たり前のことだけど、今なんとなくおろそかになっているような。その辺りには宮内先生のメッセージも込められていると思います」

―特に演じる上で気を使われたポイントは?
「僕は根はツッコミの方なんですが、忍さんの場合はツッコまれる方がかわいいんじゃないかと。ちょっと抜けてるところがあって、戸ノ山さんにツッコまれたり、裕太に振り回されたりしているところ。ルナちゃん相手に本気になったりね」

―忍さんの明石焼きがおいしそうだという声が…。
「どうしてでしょうね?あんなに焦げちゃってるのに。皆さん、本当の明石焼きがあんな風だと思わないでくださいね。もっとふわっとして焦げたりしてないですからね」

―どこか参考にされた店は?
「高校時代(体操部だった)に食べに行っていたデパートの地下の店に久しぶりに行ってみたら、まだあったんですよ。それを参考にしました」(デパ地下仕込みだったとは…)

―もともと演劇を志されたのは?
「大学生の時、受験に失敗して。2次募集で別の大学へ行って、それなりに楽しかったんですが、ある日新聞を見ていたらNHKの大阪放送劇団の募集があって。勉強で勝てないならこういうことをやってみようって受けたら受かってしまって…何も考えずに生きてきました」

―次回の五期会の公演は?
「若手だけの公演なんで僕は出ません。でも来ていただいたらたぶん、受付にいます(笑)。新しい演劇もやりたいけれど、これからは劇団のメンバーを育てることも考えたい。俳優としてだけではなく、演出や裏方のこともわかるようにしていきたいですね」

―独身ですね。
「結婚しようかな、って思うと身の回りで何かが起こるんです。それで芝居の方を取ってしまう。今は考えていません」

―近況をひとつ教えて下さい。
「この前、仲間の芝居を見に行った時、僕はいつも差し入れに男物のパンツを買って贈るんですが、デパートの店員さんに「テレビ見てますよ」って言われて。これからは男の人のプレゼント、ましてやパンツなんて買っちゃダメだと思いました」