ドラマ30 おばんざい! 放送終了



ドラマ30「お・ばんざい!」記者会見

(8月20日於:赤坂グランドプリンス旧館サファイアホール)
出席:斉藤由貴、田口浩正、大友康平、石倉三郎、登坂琢磨MBSプロデューサー

登坂P
放送時期が秋なので、時期的に何か食にまつわる話を、と思っていました。昨年(2006年11月17日)、東京農業大学で日本食育学会の設立記念シンポジウムがありまして、参加させていただきました。その時のお話がとても面白かったのです。現在、コンビニで消費期限切れで毎日捨てられているお弁当が370万食になるとか、日本の食料自給率が40%であるとか、エビ好きの日本人のために、フィリピンではエビの養殖のためにマングローブの森が破壊されているとか、眼からうろこの話ばかりで、それが今回のドラマの種になりました。食に関して日本には海外から色んなものが運び込まれていますが、その輸送の途上にCO2が排出されているだとか、京都議定書などでCO2排出規制の先陣を切っているように見える日本ですが、大きな目で見ると決してそうではないとか。
そんな時、ちょうど一つ目のアカデミー賞を取った羽原大介さんとお会いし、そうしたことを話し合いました。そして羽原さんの中で化学反応が起こって、われわれがお金を出して享受している食を手にする間にさまざまなことがあり、何も知らない主婦が大切なことに気づいてゆくという、「お・ばんざい!」の形が出来あがりました。

斉藤
昨年(愛の劇場「我輩は主婦である」)に引き続き、お昼のドラマになります。お話を聞いて、まず、「ガテン系のお母さん」だと。「ガテン系って何だ?」「ニッカボッカって何だ?」あまりにも未知の世界なので、自分が出来るかどうか、心配でした。
でも1話で夫婦喧嘩するシーンで、べらんめえ口調で啖呵を切るところがあるんですが、それを演じた時に「意外と気持ちいいかも…」と思ったんですね。自分の発見でした。その気分よさをもらったまま、今も撮影を続けています。
「おばんざい」には食育の意味に通じるところがあって、食材を丁寧に最後まで使いまわすという気概というものがあって、楽しんでやっています。
今日一緒の田口さん、大友さん、石倉さん以外にも藤村俊二さん、大空真弓さんら素敵な方が沢山いらっしゃって、面白い方ばかりで、一緒にお芝居を作り上げてゆく楽しさを何より感じています。OAが不安でもあり、楽しみでもあります。

田口
昼ドラっぽくないな〜と思ったのが、このドラマの第1印象でした。闘っている感じがしました。深夜ドラマみたいに変わっていて、僕は幽霊の役ですが、ニヤニヤヘラヘラ笑っているし、その一方でほかのみんなはとても楽しそうだし、アグレッシブさを感じましたね。着目点のすごさが出ていて、ハマる人がハマる、引いた人はずっと引いたまま、みたいなドラマですが(笑)ハマれるドラマになっていると思いますので、ぜひ、見てください。

大友
お昼の(ドラマの)仕事は初めてで、もしかしたらドロドロの愛憎劇かな、ベッドシーンもあるのかな、と思っていたら、ベッドシーンはなくて乱闘シーンがいっぱいありました。僕が高校生くらいの時に見ていたホームドラマやコメディードラマのようで、わくわくしながら、自分自身どうなっていくのか、期待しながらやっていました。
毎週出てくるメインの料理は本当においしくて、子役の3人なかでも一番下の子はもうカメリハからマジ食いして、本番で「お腹痛い」とか言い出すくらいで(笑)。
共演の方たちも実力派、演技派の方たちばかりで、僕はドラマの経験があまり多くはないのですが、コンサートを作るのと同じで、エンジョイしてやっているのが見ている人にも伝わればと思います。

石倉
今年の猛暑の炎天下も知らず、スタジオで仕事できたのはありがたいことで。
このドラマは昼間のドラマにしては凝っていて、こんなに制作費かけていいの?と思うほど、夜のゴールデンタイムに持っていってもおかしくない内容です。このご時世に食育がどう視聴者に届くがわかりませんが、ぜひご覧ください。

<質疑応答>
(質問)なぜ、今、食なんですか?
(登坂)単純に食欲の秋だからというのは、あります。食のブランド化が進んでいるという状況や、自分が料理好きだというのも理由ですね。9月3日には国際栄養士学会が日本で初めて横浜で開かれるなど、食の話題が豊富だというのもあります。

(質問)羽原さんを脚本に起用したというのは?
(登坂)まさか羽原さんが書いてくれるとは思っていませんでした。テレパックの黒沢プロデューサーと、「試しに会いに行きましょうか?」とアポイントを入れたら、すぐに会ってもらえて…羽原さんご自身、矛盾に満ちた状況の中で生きている、わかっているけどどうしようもないような人間の生き様みたいなものを描いて来られていたので、そこがこの作品と合ったのかなと思います。

(質問)アイディア料理の感想とお勧めの料理を教えてください。
(斉藤)黄金チャーハンから始まって、1週間ごとにテーマの食材があるんですが、その中で「牛すじカレー」というのが出てくるんです。この牛すじというのは料理しにくい素材らしくて、煮込みくらいにしか使わないものなんですが、そのカレーがものすごく美味しくて…圧力鍋を使って作ったと聞いて、思わず圧力鍋を買いに行きました。
(田口)僕は幽霊なんで、食べられない役なんです。みんなが鳥皮湯豆腐がおいしいというので、家でそれを作って、家で食べました。
(大友)ほとんどおいしいものばかり。おでんがそのままですごくおいしかったですが、そこにへんてこなソースがついていて、石倉さんが「こんなものつける必要ないんだよ!」って怒っていたのが、印象に残っています。
(石倉)豆板醤、てんめん醤、それにクリームチーズのソースと3種類ありましてね、「ナメてんのか!」と。

(質問)後世に伝えたい料理はありますか?
(石倉)手抜き料理がすぐに切れる子供を作るんじゃあないかと、ぼくは考えているんです。昔は貧しい家庭でもちゃんと母親が手を尽くしていた、きちんとだしを取って作っていたのになぁって。変えることは出来ないけど、食は文化、このドラマで今の食文化にアンチテーゼを提案したいですね。
(斉藤)うちの両親は帯の仕立て職人で、24時間家にいて、夫婦ふたりずっと仕事を続けていて、母親はものすごく忙しかったと思うんです。だから基本的に大皿料理が多くて。手抜きだったのかもしれないですけど、トマトと豚肉を使ったポークチャップだったり、大鍋でいろんなものをいっぺんに食べられる煮込み料理だったり。そのあったかさは覚えていますね。ノウハウが凝ったものより、忙しい中で作ってくれた姿勢というか、今にして思えば一生懸命作ってくれたことが伝わる気がします。
(田口)明日からぬか床を作って、それを伝えていきたいです。石倉さんのぬか床も少しいただいて、それも伝えていきたいですね。
(大友)うちは三代続いた材木屋で、4年前に親父が亡くなりまして、今お袋と同居していて、かみさんも仕事が忙しいので、お袋の料理を食べることが多くなりました。そのあまりの薄味に最初ビックリだったんですが、慣れてきたら、今度はロケ弁とかが塩辛くて受け付けなくなってしまいました。高校時代に「こんなもの食べられないよ」といっていた、切干大根とかが今、一番のご馳走だと思います。贅沢しない和食がほんとうに健康食だなと思います。

(質問)脚本を読んだときの感想を聞かせてください。
(斉藤)羽原さんの脚本を読んで思うのは、ものすごく不器用に生きていて、生活に不満もいっぱいあるけど、それでも幸せにやっているという、切ない温かさがすごく出ている作品だなと思いました。ご本人はアロハに五分刈、目がとてもキラキラしていて、臆病な子犬のような印象なんですが(笑)。
「お・ばんざい!」のくるみは旦那さんが死んで、初めて夫がいかに多くのことを切り盛りしていたかに気づいて、自分がいかに色んな意味で恵まれていたかに気づくんです。今、自分ひとりが「こんなに大変」と思っている人がいっぱいいる気がするんですが、そんな時は自分の中で感謝することを数える。そして縁の下の力持ちのように支えてくれている人がいるのを感じて奮闘する、そんなくるみの人間としての成長を感じてもらえたら。
(田口)人と会話できない風太郎を客観的に見てくれている台本だと思います。8週目に家族との別れのシーンがあるんですが、台本を読んでいて、ほんとうに珍しく泣いてしまって・・・本番で泣けるのか不安になりました。読むのが楽しみだった台本でした。
(大友)羽原さんの台本はこれま映画の「パッチギ!」や「のど自慢」でやらせてもらったことがあるんですが、台本より、井筒さんが鬼のように厳しかった印象しか残っていません(笑)
このドラマには秀でたスーパースターはいらないんですね。日常生活の中の庶民、ひとりひとりがヒーローなんだと。この世の中で無駄な存在なんかひとりもいない、というのを感じる台本でした。
(石倉)8週目を読んで、台本で泣くなんて初めてでした。風太郎が切ないんですよね。とにかくすてきな台本でした。

(斉藤)くるみは死んだ旦那の残してくれたレシピ集を見て、くるみ食堂をやろうと思い出します。そこで幽霊の風太郎が物語の語り手的な役割になるんですが、田口さんがすごく面白い役者さんなんです。ヘンな芝居をするのがすごく上手なんですよ。相手が幽霊なんで、それを見てても見えないふりをして無視して芝居するのが、笑いそうで大変でした。リアクションは出来ないけれど、(田口さんの)一人芝居的な役どころを、受け止められるように気をつけました。
きれいな服とかはいくらでも普通に着れるけれど、この役で、普通じゃまず出来ないニッカボッカの格好が出来るなんて、女優っていい仕事だな〜と思いました。

『お・ばんざい!』
主題歌

東方神起-TOHOSHINKI-
「SHINE/Ride on」
発売中
ホームページはこちら


ノベライズ
発売決定!
「風太郎のお料理レシピ」
も特別収録!!
著者:白崎ふみ
脚本:羽原大介/李正姫
発売元:ソニー・マガジンズ
定価:各890円(税抜)
判型:新書判
発売中

コミック発売決定!
作画:亜月裕
原作:羽原大介・李 正姫
集英社クイーンズコミックス
定価530円(税込)
発行予定日:10月19日

■お知らせ■
オリジナル
サウンドトラック
発売決定!

作曲:渡辺俊幸
収録曲数:21曲(41分)
定価2,000円(税込)

発売元:ミリカ・ミュージック
発行予定日:12月19日