平淑江さんインタビュー


ヒロイン羽純の育ての母・由紀江を演じる平淑江さん。羽純の恋や、生みの母・伊原容子との出会いに運命を感じ、常に羽純を心配しながらも静かに見守る優しいお母さん。また、木田親子の食事を作ったりと家庭的な温かいお母さんでもあります。共演者が口をそろえていわく、「いつも楽しそうに笑っていらっしゃる」平さんにお話をお伺いしました。

―由紀江の役柄についてどう思われますか?
「娘の羽純のことをいつも思い続けて、実の子以上に愛情をもって育ててきた、温かいお母さんのイメージですね」

―とても静かなイメージがしますが…。
「羽純と由紀江は実の親子じゃないから、大声でケンカしたり、怒鳴りあったり、逆に抱き合ったりというようなことが出来ない、どうしても遠慮がある関係なんですね。そういうケンカが出来ないような親子関係ということで、それをお芝居にも出してほしいと、お話がありました」

―演じられる上でむずかしさを感じられましたか?
「表情としては難しいですね〜行動に出せない分、見ている方に想像してもらうしかありません。悲しい思いを打ち消す上っ面の笑いとか、ほんと、見ている方にゆだねるしかありませんもの。私はあんまり泣くシーンもなくて、いつも影から心配してる母親なんです。でも何も言わない分、強い母親だと思いますね。ずっと羽純の出生のことも心に秘め続けてきてますし。芯が強いし、実の母(伊原容子)を会社に訪ねるほどの行動力もありますし。母親って娘のためならこうするんだろうな、子どもためなら強くなれるんだなって。私には子どもがいないので、そうした母親の思いというのはすごいいんだなと、実感しましたね」

―ドラマでは羽純と明の恋を中心に描かれていますが、由紀江さんにもずい分いろんなことが起こりますよね。
「ふふふ…最初から衝撃的ですから…。血液型から親子でないことが知られてしまうでしょ、生みの母と育ての母の母親同士のお芝居があり、それから羽純を手離そうとするでしょ…大きな山場は3つくらいあったかしら。ドラマチックでしたね〜」

―とりわけ印象残っていらっしゃるシーンは?
「羽純が明をあきらめようとする時に、それをできるだけ明るく私に告げるセリフがあるんですね。それを聞いた時に、役を越えて私自身に深い悲しみが伝わってきて、思わず羽純を抱きしめたいと思うシーンがありました。国分さんとは初共演だったんですが、とてもいい人だって感じますね。周りにも気を使われて。ヒロインを演じるだけでも出番も多くて大変なのに、若いのにたいしたもんだなって感心していました」

―ところで平さんは文学座の女優さんとして舞台でもご活躍ですが、テレビと舞台ではお芝居に違いを感じられますか?
「そうですね…役作りというか、人物を演じるというのは同じで、大きな違いは感じないですけど…。ただ、テレビはフレームの中に入ってしまうので、自分の思いがどのように伝わっているのかという点は非常に難しいと思いますね。(映る時に演技が)過剰になりすぎてはいけないし…いろんな意味でテレビは監督の作品という気がします。舞台はアップがないですから、どこにでも視線が行きますが、テレビはそういうわけにはいきませんから……むずかしですね。でも今回は久しぶりの純愛で、心が洗われました」

珠を転がすようにコロコロと笑う≠ニいう表現がありますが、平さんの笑い方はまさにそんなイメージ。明るく上品な笑い方なのです。国分さん、原田さん、梅宮さんと平さんと共演シーンの多かった方がみんな「ほんとうにいつも笑ってらっしゃるんですよ」と口を揃えるほど。平さんは「えっ!?そんなに笑ってました?」。ちなみに「あれは梅宮さんが面白すぎるんですよ。天然なんだから」(By国分さん)という証言も。