かとうかずこさんインタビュー


ヒロイン羽純が憧れる世界的デザイナー伊原容子を演じるかとうかずこさん。今回のドラマではデザイナーということでファッションにこだわり、さまざまなアクセサリーなどを持ち込んでいらっしゃいます。伊原容子役についてお伺いしました。

―世界的なデザイナー・伊原容子という設定ですね。
「でもね、世界的という割には秘書もいないしねえ…(笑)世界的とまでは行かないかもしれないけど、有名なデザイナーにどうしたら見えるのか、ということには気を使いました」

―大きな娘のいる役も初めてとお聞きしました。
「あんな大きい子どものいる役はあんまりなかったですね。華菜を見ていると、どうも容子はあまり子育てをしていない母親だと思うんです。夢を優先して他のすべてを捨てて。そうして得たもの、失くしたもの、過去を振り返らなかった容子が、娘の姿を通して、ふと立ち止まって、自分の過去を振り返らざるを得なくなる。若い頃の自分の夢や恋を。見ている方にも、若かった頃をもう一度思い出してもらえたら、って思いますね」

―かとうさんからみて羽純たちの恋愛はどう見えるのでしょうか?
「どの愛も未熟だと思うのよね。年相応なのかな?とも思うし、駆け引きに長けていてもつまらないんだけど。愛って長い年月をかけて熟成させてゆくものだと思うの。年月を経る間に状況も変わってゆくだろうし、その時にどうするか。選んだものに対して自分が責任を持つ、というのが大切だと思う」

―その陰で大人の恋が展開するのも見どころですね。
「容子は基本的にはわがままな女性だと思うけど、それを包む大人の男のカッコよさ、清水さん演じる省吾のセリフがまた素敵なのよね。それに働く女性のもろさ、自分が選んだ人生に伴う苦痛・・・すべては手に入らないということ。伊原容子を通じて、いろんなことを感じていただければ・・・」

―意味深ですね。これからの展開が楽しみです。ところで、伊原容子とご自身の接点はありますか?
「(力強く)全然、かぶりませんねー。デザイナーなんてやったことなかった役ですし、まったく新しいジャンルのお芝居でした。伊原容子ってデザイナーとして成功した人でしょ?私、サクセスないですし・・・(笑)どちらかといえば、私自身は日常的な、たとえば今日のご飯のメニューどうしようとか、お弁当に何入れようとか考えたりしているんですけど、容子さんには日常がないですものね。生活感がない。だから逆にかぶって見えるなら、伊原容子らしく演じられているということなので、うれしいですね。」

―デザイナーらしく見せるために気を使われたことは?
「容子には独特のカリスマ性があると思うんですね。ですから小道具にこだわりました。ショーメの時計やアクセサリーを私が知り合いを通して借りて、東京から持ってきたり、さまざまなメガネチェーンも『こんなの作って』って知り合いにわざわざ作ってもらった物なんですよ。毎週東京からせっせと運んでます。だから荷物が多くて大変なんですよ(笑)」

―ドラマは神戸を舞台に展開しますが、
かとうさんは神戸に思い入れを持っていらっしゃるようにお見受けしますが。
「ちょうど、震災から1年目の時に神戸でチャリティーのお芝居をさせていただいたんです。その時に神戸の姿を見ていましたので、今回もう一度こちらに来て、皆さんがとても元気で新しい街に生まれ変わっているのを実感しました。本当に良かったって思いました。関西のパワーを感じましたね。かつて日本の文化の中心って上方だったでしょう。辛いことがあっても乗り切れる、それも笑いで。ほんとのたくましさがあるなあって思います。日本中に関西のそんなたくましさを伝えて欲しいですね」

―かとうさんからこのドラマの見どころをお願いします。
「伊原容子の母親としての思いが出ればいいかな〜と思います。ドラマの中ではデザイナーとしての顔が多いのですが、その中で数少ない母親としての顔を是非、見ていただきたいですね」

さまざまな質問に次々と答えを繰り出していただいたかとうさん。そのパワーに圧倒されてしまいました。役者として伊原容子という「これまでなかった」役柄への意欲を強く感じました。後半、ドラマは急展開。かとうさん演じる容子の表情は見逃せません。