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デフアカデミー/尾中友哉ろう難聴児の放課後等デイサービスVol.1399
好き・得意・大事を伸ばせる居場所
眼差しの原点はろう者の両親
大阪の雑居ビルの一室に、子どもたちの笑いが絶えない教室がある。
ろう・難聴児に特化した放課後等デイサービス「デフアカデミー」だ。チームワークを育むプログラムやキャンプやクリスマス会など活動は幅広い。目指しているのは、自分の好きなことを好きにできる「居場所」づくり。取材中、子どもたちは手話で冗談を言い合い、生き生きと走り回っていた。
教室を運営する認定NPO法人代表の尾中友哉は「耳が聞こえない両親のもとで育った聴者(コーダ)」だ。勉強が好きで教師を夢見ていた尾中の父は、ろう者であることを理由に自らその道を断念した。「これは社会にとって損失ではないか」その思いが、教育支援を志す出発点だと話す。
取材中に出会った12歳の御琴さん。賑やかな教室で、ひとり絵を描くことに夢中になっていた。そっと覗いてみると、描いていたのは独創的な大作漫画。けれど誰にも見せたことがないという。尾中とスタッフは「単行本を作ってみないか」と御琴さんに持ちかける。御琴さんにとってもスタッフにとっても初めての挑戦が始まった。
こうした活動は全国的にも珍しく、手探りの運営が続いている。スタッフは、聴者とろう者が半々で、日々のコミュニケーションには手話を用いる。また、運営するNPO法人の資金は潤沢とは言えない。カメラは、尾中が投資家に寄付を直談判する姿も追った。
「自分らしく生きるとはどういうことなのか」
ろう者と聴者、大人と子ども、理想と現実...多くの垣根を乗り越えて奮闘する小さな教室の半年を見つめた。
PROFILE
・デフアカデミー
ろう・難聴児に特化した放課後等デイサービスとして、2017年に設立。のべ250人以上の耳が聞こえない・聞こえにくい小学生から高校生が利用。グループワークを通して子どもの自発性や好奇心を育て、ことばの世界を広げる活動に取り組む。手話や日本語を学ぶ活動や、パソコンを使った創作活動も実施。また、言語聴覚士による、日本語の読み書きや発音練習といった個別支援も実施している。
・尾中友哉
1989年滋賀県大津市出身。ろう者の両親のもとに生まれ、聞こえる子ども(コーダ)として育つ。大手広告代理店勤務ののち、2016年に株式会社Silent Voiceを創業。2017年に同名のNPO法人を設立し、ろう・難聴児の放課後等デイサービス「デフアカデミー」、オンライン教育サービス「デフアカオンライン」、ろう者・難聴者と聴者が協働する企業への研修事業「デフビズ」などを展開。2018年には人間力大賞 内閣総理大臣奨励賞 受賞。2025年には、法人事業の公益性の高さなどが認められ、全国のNPO法人のうち約2%という「認定NPO法人」の認定を受けた。
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