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林遣都俳優Vol.1297
「いま、人生の分岐点―」
理想の芝居求めまばたき続ける瞳
透き通った大きな瞳が印象的だった少年は、2007年に映画『バッテリー』で芝居の世界に足を踏み入れた。人生の半分以上を俳優として過ごしてきた彼もいまや33歳。林遣都は最も旬な俳優の1人となった。
林の芝居は、「演技派」「実力派」と評されることが少なくない。観た者の多くは、直截的に感情を大きく揺さぶられてきた。
取材が始まったのは去年11月。世界をも巻き込んで社会現象となり、林の名を一躍世間に広めた大人気ドラマ『おっさんずラブ』シリーズ。その最新作からおよそ半年間、CM撮影の現場やプライベートにも密着。さらに彼の初舞台を手がけた演出家・倉持裕の新作『帰れない男』の現場にも立ち会った。
取材を重ねて、我々は異様な光景を目の当たりにした。スタジオには、芝居が終わった後も大きな瞳を幾度もまばたかせ、セリフを延々と呟き、いかにも近寄りがたい林がいる。セットが解体されている時でも、周りのスタッフが賑やかに談笑している最中でも、その様子は一向に変わらない。ひとり黙々と役と向き合う姿には鬼気迫るものがあった。
かと思えば、ひとたび芝居から離れると、シャイで、繊細な一面を覗かせる。そんな林の印象を付き合いの長い者たちは一様に「熱い男」だと口にした。"愚直さ"と"繊細さ"が入り混じり、捉えどころがない...。林遣都はまさにそんな男だ。
取材中、「いまは人生の分岐点かもしれない」という言葉を度々耳にした。ひたむきに役に向き合う日々の中で、これからの自分はどうあるべきか?惑いながらも高みを目指し続ける姿を追った。
PROFILE
1990年12月6日、滋賀県生まれ。
中学3年生の頃に、修学旅行で訪れた渋谷駅のホームでスカウトされことをきっかけに芸能界入り。
3000人の中からオーディションを勝ち抜き、映画『バッテリー』で2007年3月10日にデビュー、第31回日本アカデミー賞『新人俳優賞』をはじめ、各映画賞の新人賞を多数獲得。
以来、NHK連続テレビ小説『スカーレット』、Netflix『火花』、TBSドラマ『VIVANT』など多数話題作に出演。
好きな食べ物は、こっそり食べるラーメン。
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
撮影:高橋秀典・門脇妙子
音効:井田栄司
編集:重乃康紀
制作協力:トリプルレーンズ
プロデューサー:沖倫太朗・髙木宏
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