襲いかかる悪夢、謎が謎を生む閉鎖空間で、
今夜もまた一人・・・「人間」が消える・・・。




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FILE 10「世界の終わり」
 重態の亀田(吉田怜朗)のために、森を抜け、町を探そうと決意するネットカフェのみんな。夜が明けて、一行は歩き始める。ネットカフェのビルに監禁されていた水野(渡辺海弓)は、世界が「崩れ始めている」と言う。あてもなく、進むしかない土岐(伊藤淳史)らだが、そんな中、ついに亀田は動けなくなってしまう。「死んだら、向こうで目が覚めるかも」と、おどける亀田だが、力ない。泣きはらす加藤(高橋真唯)に見守られ、亀田は…?
 翌日もみんなは歩き続ける。川の音とは別の何かの音に気づき始める彼ら。水野はそれが「世界が終わる音」だと言う。その音は徐々に近づいてくる。
 夜、川の近くでそれぞれがたき火を囲んでいる。土岐は亀田が話していたことを思い返していた。それはインジャンジョーの洞窟にあった黒い箱に関する、衝撃的な秘密であった。この森を抜け、土岐らはどこかにたどり着くことが出来るのか?世界が終わる音が不気味に響く。

FILE 9「マッケンロー」
 遠野(KIKI)が森の中で摘んだ黒い実を食べ、倒れた亀田(吉武怜朗)。研修医の大沢(戸田昌宏)によればもって3日ほどだと言う。凍りつくみんなの前で、「マッケンロー」に助けを求める加藤(高橋真唯)。加藤は以前、ネットを通じてマッケンローと知り合いになり、パワースポットである、このネットカフェについて連絡を取り合っていた。「異界」に興味を抱いた二人は、本当に異界に飛んでしまう。加藤の呼びかけに、タカシ(北条隆博)は、自分がマッケンローであると正体を明かす。タカシはみんなを巻き添えにしたのか、そして元の世界に戻る方法を知っているのか。
 半信半疑の土岐(伊藤淳史)らとともに、崖に向かうタカシ。自分がいなくなれば、今の漂流先の世界は終わり、亀田も助かると話す。タカシは、期待と不安でいっぱいのみんなに別れを告げ、崖から飛び降りる。はたして世界は変わるのか?!事態は風雲急を告げる。
 一方、重態の亀田は、パソコンを使って、洞窟で見つけた黒い箱の謎を解き明かそうとするが・・・。

FILE 8「実験」
 ネットカフェごと異世界にトリップした土岐(伊藤淳史)らは、次第に漂流先の森の生活にも慣れ始め、中にはここでの生活を楽しむ者さえ出てきた。そんな中、遠野(KIKI)だけが、もとの世界に戻るために一人、必死だ。この世界の鍵を握っていると言うタカシに近づき、秘密を探っている。
 ある時、それぞれの仕事にすっかり緊張感を失った土岐たちに、遠野は腹を立て、大声をあげてしまう。なだめ役に回った鍛冶(利重剛)は、みんなにそれまで食べていたバナナに代る食材を探しに、森に行こうと提案する。
 二手に別れ、一緒に山に向かった土岐と遠野。タカシと遠野の接近に気が気ではなかった土岐は、中学時代の思い出を振り返り、久しぶりにくつろいだ会話をする。
 日が暮れて、テーブルにはそれぞれのグループの獲物が並ぶ。遠野の前には自分で摘んだ黒い実が。楽しげに試食をするみんなの前で、あらためて遠野は、「みんなここから出ることをあきらめてしまったの?」、森を出ようと問いかけるが。

FILE 7「亀裂」
 監禁されていた水野(渡辺海弓)が、土岐(伊藤淳史)に連れられ、いよいよ部屋から出てきた。建物の外に出て、「ここは私の世界じゃない」と怖がる水野。そもそも彼女はこの世界を「自分が死ぬ前に見ている夢」と言っていたのでは。森の広がる漂流先の風景に怯える理由を理解しつつも、土岐は彼女の混乱ぶりに納得のいかないものを感じた。監禁中、周りから酷い仕打ちを受けていた水野は、次第に土岐を慕い始める。
 ネットカフェの人間関係は、様々、複雑さを増していく。漂流の秘密を握っているというタカシ(北条隆博)と、早く現実世界に戻りたい遠野(KIKI)がベッドを共にする。雑誌に怪談や都市伝説の記事を書いていたというタカシによれば、このビルの付近では、過去、4件の神隠しが起こっていたという。警察は「失踪」として処理したというが。もとの世界に戻る方法を知っているというタカシは、ここの気楽な生活をもう少し楽しむ気でいる。遠野とタカシの関係に、初恋の人との再会に心弾ませていた土岐は裏切られた気分だ。
 そんな中、森で見つけた黒い箱の謎を、亀田(吉武怜朗)がノートパソコンを使って明かそうとするが、分らない。亀田はその箱を「パンドラの箱」と呼ぶ。あらゆる災いの最後に、「希望」は残されているのか。

FILE 6「死んだ世界」
 節電のため、明かりの落ちた店内で、ミク(浦野一美)が静かに泣いている。呼びかけるアツシ(高木心平)の言葉にも耳を貸さず、元気がない。遠野(KIKI)には何事が相談を持ちかけている。そんな中、行方不明だった里村(津村鷹志)が見つかる。女物の白いワンピースを着る里村に、一同、顔を見合わせる。「化け物に襲われた」のは嘘だったのか?謎が深まっていく。
 同じ頃、森の中にいた土岐(伊藤淳史)と亀田(吉武怜朗)は、「トムソーヤーの冒険」の挿絵を見ながら、話し合っていた。インジャンジョーの最後の挿絵は、洞窟で見た死体の形と酷似している。そもそも、こんな子供向けの本がネットカフェにあった理由は。そして挿絵の一部、死体の後ろの方に描かれている黒い箱の正体は。本来の物語とは無関係と思え、土岐たちは考え込む。
 謎の動きを見せていた里村。刑事を気取る鍛冶(利重剛)の尋問にも口を割ろうとしない。ネットカフェ店員の加藤(高橋真唯)は、里村がネットカフェとは別のフロアに行く鍵を持っていると疑い、そこの住人に食事を届けていたのでは問い詰めた。そして「その人、マッケンローなんじゃない?」・・・探りを入れる加藤も秘密があった。すぐさま否定した里村だが、加藤の言った「マッケンロー」とは誰なのか?

FILE 5「希望の種」
 節電のため、明かりの落ちた店内で、ミク(浦野一美)が静かに泣いている。呼びかけるアツシ(高木心平)の言葉にも耳を貸さず、元気がない。遠野(KIKI)には何事が相談を持ちかけている。そんな中、行方不明だった里村(津村鷹志)が見つかる。女物の白いワンピースを着る里村に、一同、顔を見合わせる。「化け物に襲われた」のは嘘だったのか?謎が深まっていく。
 同じ頃、森の中にいた土岐(伊藤淳史)と亀田(吉武怜朗)は、「トムソーヤーの冒険」の挿絵を見ながら、話し合っていた。インジャンジョーの最後の挿絵は、洞窟で見た死体の形と酷似している。そもそも、こんな子供向けの本がネットカフェにあった理由は。そして挿絵の一部、死体の後ろの方に描かれている黒い箱の正体は。本来の物語とは無関係と思え、土岐たちは考え込む。
 謎の動きを見せていた里村。刑事を気取る鍛冶(利重剛)の尋問にも口を割ろうとしない。ネットカフェ店員の加藤(高橋真唯)は、里村がネットカフェとは別のフロアに行く鍵を持っていると疑い、そこの住人に食事を届けていたのでは問い詰めた。そして「その人、マッケンローなんじゃない?」・・・探りを入れる加藤も秘密があった。すぐさま否定した里村だが、加藤の言った「マッケンロー」とは誰なのか?

FILE 4「土岐と遠野」
 ふと遠野(KIKI)の部屋に入った土岐(伊藤淳史)は、そこに「トム・ソーヤーの冒険」の本があるのを発見する。ページをめくると、「インジャンジョーの最期」という章もある。なんとその挿絵が、先程洞穴で見た光景と酷似しているのだ。事態を理解できない土岐。
 ネットカフェ内では、残り少ない食料のストックを、効率的に消費すべく話し合いが行われていた。インスタントや冷凍食品を、切り詰めて少しずつ食べる一同。食料は全部で9食分しかなく、タンクの水はもはや枯渇してきた。このまま永遠に助けは来ないのか。
 そんな中、里村(津村鷹志)が、ひとり妙な動きをしている。ネットカフェの上のフロアに女性がいて、そこに食料を運んでいるらしい。里村は何を隠しているのか、謎は深まる。そして森では、土岐と亀田(吉武怜朗)が、新たな食料を見つけていた。それは極彩色の不気味な「バナナ」だった。
 夜。土岐は、崖の上に佇む遠野(KIKI)を見かける。どうしても現世に戻りたいという涙目の遠野。その気持ちに胸を詰まらせ、土岐は遠野を励ます。

FILE 3「トム・ソーヤー」
 異様な状況を解明しようと、土岐(伊藤淳史)・寺沢(長江英和)・亀田(吉武怜朗)の三人は「樹海探検」に出た。そんな折、ネットカフェでは大変な騒ぎになっていた。
 鍛冶(利重剛)が、タカシ(北条隆博)を投げ飛ばし、ミク(浦野一美)ら女性陣は恐怖に耐え切れず泣き喚いている。極限状況に陥った人間たちの、張り詰めていた糸はプツンと切れたようだ。自称刑事の鍛冶は、一人、終始ニヤニヤしているタカシを、何かを知っている、と問い詰める。研修医の大沢(戸田昌宏)が冷静にたしなめ、場の空気を収めようとみんなは自己紹介を始める。色っぽい今井(真野裕子)はバツイチ、ゴスロリの加藤(高橋真唯)はバイト店員…。
 森を歩き続ける土岐たちは、マンガ談義で恐怖心を紛らわしている。と、亀田が見つけた不可思議な洞穴がある。「トム・ソーヤー」を髣髴させるその洞穴に、三人はコウモリや「インジャンジョー」のシーンをイメージする。物語では、インジャンジョーは餓死して発見されるのだが…その洞穴には、まさに風化した白骨死体と、蝙蝠の骨が転がっていた。
 ネットカフェでも、不可思議なことが次々に起こる。傷だらけの里村(津村鷹志)は、「化け物にやられた」と言う。

FILE 2「森へ」
 ネットカフェで一夜を過ごし、外に出てきた土岐(伊藤淳史)は、愕然とする。大都会の真ん中にあったはずのネットカフェ。それが、眼前にはただただ鬱蒼とした森が広がっているだけなのだ。この空間だけ無事で、あとはどうにかなってしまったのか?それとも自分たちの方がどうにかなってしまったのか?
 ビルの自家発電機によって、電気はつき、居合わせた土岐・遠野(KIKI)・亀田(吉武怜朗)・加藤(高橋真唯)の四人は自己紹介を始める。おたくの亀田はネカフェの常連で、ゴスロリ衣装でこのネットカフェの店員である加藤とは顔見知りだった。
 同じ頃、女子大生ギャルのミク(浦野一美)は不安で取り乱し、チャラ男のアツシ(高木心平)にすがりついていた。ネットカフェの外ではサラリーマンの里村(津村鷹志)が寺沢(長江英和)相手にぼやきはじめ、別の場所では妙にのんきなタカシ(北条隆博)に大沢(戸田昌宏)が不信感を抱きつつあった。
 土岐たち若い四人は、あらゆる可能性を列挙してみた。核攻撃、テロ、「自分たちは心理学の実験台になっている」「これは臨死体験だ」・・・想像を絶した状況を理屈付けようにも、水や食料といった具体的な対策には一向に結びつかない。救助の気配も全くないことを悟った遠野が、森へ探索に行くと言い出すのだが。

FILE 1「漂流」
 土岐耕一(伊藤淳史)の毎日はそれなりに幸福だった。それなりに仕事をこなし、妻のゆきえ(浅見れいな)とも上手くやっている。ゆきえは妊娠八ヶ月。もうすぐ自分が父親になるのだという事実は信じられないが、最近は早めに帰宅するようにしている。「お前、最近ますますつまんなくなったな」、同僚に陰口をたたかれながらも。それなのに、ゆきえはマタニティーブルーで最近キレやすくなっている。あの「運命の日」の前夜も、ささいなことから二人は大喧嘩してしまった。翌朝、まだすねて寝込むゆきえの後姿は、後々まで、土岐の目に焼きつくことになる。
 土岐は時折り「初恋の人」を思い出した。学校中の男子があこがれていた女の子・遠野果穂(KIKI)。最も衝撃的な記憶は、通っていた学習塾が停電に見舞われたとき、唐突に、土岐の鼻をペロっと舐めた、いたずらっぽい目だ。「あれはいったいなんだったんだろう」、今でも考え込んでしまう。結局土岐は遠野に思いを告げることはできず、淡い初恋は藻屑と消えた。
 その日、ゲリラ豪雨による鉄道の運休によって、帰宅しようとした土岐は足止めをくらった。途方にくれて街をさまよう土岐。目に入ったのは、今話題の「インターネットカフェ」。マンガ見放題、ドリンク飲み放題。リクライニングシートも快適だ。そこは、現代社会の縮図。老若男女、お互いを全く知らない人間たちが出入りしている。
 そこで土岐は、ネットカフェに似つかわしくない女・遠野を見かけた。建築関係の仕事をしているという果穂は、以前にもましてキレイで、魅力的になっていた。奇跡のような再会にあの頃の気持ちが蘇えり、話がはずむ二人。「このまま電車が動かなくて、土岐君もここに泊まることになったらさ、明日、朝ごはん一緒に食べない」。遠野の言葉に土岐はにやけた。
 「ドーン」突然の衝撃音だった。シートで眠っていた土岐は飛び起きる。ピーという不快な音が、店中のパソコンから唸りをあげた。音は鳴り止まず、客たちは店員に詰め寄って騒然とする。落雷?電磁波的なトラブル?さらに大きな衝撃音に店内は暗転する。

あらすじ
すべてのはじまりは「ネットカフェ」だった。


もうすぐ子供を授かり、順風満帆のはずだった主人公・土岐耕一は、偶然立ち寄ったネットカフェで中学時代の初恋の女性、遠野果穂と再会する。
妻と喧嘩していた折、蘇ってくる淡い恋心に胸がキュンとし始めた途端、ネットカフェのパソコンや携帯電話に異常電波が流れ停電し、表は集中豪雨に見舞われてしまう。しょうがなく遠野とともにネットカフェで一夜を明かし、雨のあがった翌朝、表に出ると・・・!
そこは全くの異世界に変わっていたのだった。


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