Interview 丹阿弥谷津子さん
『桜咲くまで』で大きく流れを変えていく存在のハナ。もう丹阿弥さん以外にハナを演じられる役者さんは居ない気がします。

―ハナはどんな人ですか?
以前教師をやっていたので、昔ながらのきちんとしたお行儀も身についているんだけども、若い人たちへの理解もある、気さくであまり物事にこだわらないおおらかな人だと思います。
でも、男の子二人(智と仁)の母親として、長男と次男の性格の違いもわかって、平等に対応しているつもりなんだけど、でもついつい下の子(仁)を甘やかしちゃうんですよ。そこが人間らしい所ですよね。

―道子さんにはどんな気持ちで接しているんでしょう?
お嫁さんたち(道子と信子)に対しても平等でざっくばらんに付き合っていこうとは思っているんだけれど、うーん、道子さんに対してはやっぱりちょっと引け目を感じているんじゃないかしら?気兼ねもあると・・・。
昔は自分も仕事をして自立して生きてきたつもりなので、世話になっている状態が逆に辛いのではないかしら?だから、仁と道子のよりが戻ったわけではないと聞いて、家出して働き始めたんだと思います。

―ハナさんの気持ち共感できます?
実は、ハナと自分は似ている所があるんです。私も二人息子がいて、今は次男と二世帯住宅に住んでいるんですけど、こんど長男も同じ敷地内に越してくるの。だから、これからもハナさんが若林家でどんなふうに振舞っていくのかとても楽しみだし、参考にしようと思っています。でもね、私はもうちょっと子供っぽいおばあちゃんですよ、ふふふ・・

―ハナや丹阿弥さんを拝見していると頼もしさを感じます。
昔近所の大きな交差点に歩道橋ができた時、夫の母親に「歩道橋できてよかったですね」言ったことがあるんですけど、そのとき「いいえ。階段が私たちには辛いのよ」って。その言葉の意味が、今とてもよく解るんです。人生やってみて、その時になって初めて解る事ってとても多いので、そういった意味で人生の先輩・ハナのいろいろよく解っている落ち着きが大切になるんでしょうね。

―若林家を修復していく重要な役どころですものね。
ハナさんと私が重なっている部分が多いだけに、演じるときはあえて自分とは切り離して冷静にハナさんを見つめた方が、役柄の幅も広がると思います。


―丹阿弥さんとご家庭は?
私は子供っぽい所があるので、ハナさんほどは立派じゃないけど、仕事に行く事で息抜きしてました。夫と子供に悪いなーと思ったこともありますけど、世の中広く生きてやっぱり良かった気もします。

―ご覧のみなさんにメッセージを
ご自分の生活とつい比べてしまうかも知れませんし、「家族のありかたってなんだろう」って時々考え込まされることもあるかと思いますが、とりあえず気楽に見てください。そのなかでほんの少し皆様の参考になる事があればいいなって思います。

ハナさんにあの笑顔を向けられると、みんな氷が溶けるように穏やかになっていく。いろんなことがありすぎる世の中で、ホントにみんなが欲しがっているのはあんな笑顔ではないでしょうか?