『ピュア・ラブIII』監督の解説


第1話
まずは「顔」の話から。皆さんも、朝、洗顔の時、鏡を見て実感されるように、人の顔は毎日少しづつ変わるものです。また、その顔がどの角度から見ると一番引き立つかという問題もあります。木里子や陽春にもやはり、このあたりから撮れば最高というアングルがあり、スタジオ撮影では制限があり、難しいのですが、ロケの時など、カメラマンはベストアングルを求めて二人のまわりをぐるりと一周してみることすらあります。その日の体調や光線の具合もあり、ベストアングルも微妙に変わるからです。ファンの方々にはそれぞれ、あのシーンのあの時の顔が好き、という「顔」があると思いますが、表情以外にも、どの角度から撮ったかという要素も大きいのです。

第2話
この回の見どころは木里子と陽春が始めて食事を共にする7分に及ぶシーンです。今年何本のドラマが放送されたのかわかりませんが、これだけ長く座りっぱなしで動きらしい動きもなく、ゆったりと流れる時間の中で二人が会話をしているだけというシーンのあるドラマは1本もないと思います。木里子と陽春がお互いを気遣いながらも、一緒に時間を過ごせる幸せを精一杯感じながら○○○○○○を食べる「ピュア・ラブ」らしいシーンをお楽しみください。

第3話
色々な人たちの思いや気遣いが交錯する回です。天寧僧堂を出て龍雲寺に帰ってきた陽春が最初にしたことは?宗達の陽春に対する気持ちや忍の裕太に対する気遣い。成田婦長の木里子への心遣いなどが、それぞれの人たちの言葉や態度やしぐさで示されます。そして最後のシーンでは、木里子の陽春に対する想いを皮膚感覚で伝えられないかと考えて、ああいう表現にしてみたのですが、いかがでしょうか?

第4話
宮内さんは「ピュア・ラブII」の最終話での戸ノ山さんのナース変身シーンで手ごたえをつかまれたのか、IIIでは戸ノ山が自分のイメージの世界に勝手に入り込んでしまう、傑作なシーンが数多く用意されています。楠見さんの持ち前の表情の豊かさと動作のスピード感がうまく生かされていて、戸ノ山さつきという役の魅力が倍増したと思います。

第5話
「ピュア・ラブ」をごらんの皆さんから、毎回たくさんの感想や意見、批評などもいただくのですが、その中に現役の小学校女教師の方々からのさまざまな感想があり、色々と考えさせられました。そこでIIIでは授業シーンなどによりこだわって、色々と工夫したつもりですが・・・感じられたことを聞かせていただければ幸いです。