清水紘治さんインタビュー


世界的デザイナー伊原容子の夫にして、IHARAの社長・伊原省吾を演じる清水紘治さん。容子に対する愛情には、若い世代とは一味違う深いものがあります。素敵な旦那さま伊原省吾役を演じる清水紘治さんにお話をお伺いしました。

―伊原省吾はすてきな男性ですよね?
「大人でね、やたら優しい人なんだよね。本人も優しいんだけど…(笑)僕はこれまで優しくない役が多かったんで、うれしいですよ」

―今回はカッコいいアパレルメーカーの社長役なんですが、清水さんご自身のおしゃれへのこだわりは?
「省吾役ではずいぶんお洒落な格好をさせてもらいましたね。僕自身は流行の先端を切るというのではないけど、自分なりのお洒落はしたいと思うけどね.。でも、目だった格好はしたくないので、どうしても黒になったりしちゃうんだけど…」

―ストーリーでは、若い世代の愛と平行して、大人の愛が対比して描かれています。
「省吾は愛されていないと知りながら、容子をそばに置こうとした。今、娘が愛されてもいない男と結婚しようとしている。昔の愛と今の愛が重なる…わがままといえばそう見えるかもしれないけど、省吾は形にこだわったようで、愛にこだわっていたからそうしたんでしょう。実際に(省吾と容子は)新しい愛を育んでいるわけだし…」

―清水さんから見て、このドラマの若い世代の愛はどうみえるのですか?
「うーん、男(明)があいまい過ぎるような気がするかな。省吾が「どうなんだ?」って聞いても、もうひとつ返事がはっきりしない(笑)純愛でいることもひとつの方法だとは思うんだけどね。誰でも自分が一番だし。若い頃は自分の気持ちが優先してしまうけれど、相手の気持ちを思いやれることが必要なんだと思う。でも人間とはそういう風にはいかないもので…」

―むずかしいですね。
「だいたい純≠ネることに、愛≠ェつくと違う意味が含まれてくると思うわけ。純≠ヘ純粋だからまっすぐ、ひたすらに…なんだけど、自分の感情が高すぎると周りが見えなくなる。芝居でも熱くなりすぎると失敗したりするし。僕は感受性が強い部分があって、いろんなことを考えすぎてしまう。相手のことを思ったり、これは稀有なる者との出会いなんだと思ったり、どこか不幸であるゆえにより強くなる自分の気持ちと相手の気持ちという関係性…考えれば考えるほど謎だよね。そういう意味ではあんまり感情に重きを置きたくないって気がしてきて。年齢を経て最近思うのは、誰かと一緒にいて、その時、その場にいる人がどれだけ楽しいか、そういう時間を重ねていけたらいいなと思う。ぼんやりと、日々楽しく(笑)」

―控え室でも本を読んでいらしゃいましたが、読書はお好きなんですか。
「本を読んでる、っていう雰囲気が好きなんですよ(笑)昔はむずかしい本も読んでいましたが、最近は軽いものが多いです。今読んでいるのはサスペンス。謎解きとか面白くて」

―これからのご予定をお聞かせ下さい。
「2005年の3、4月に栗原小巻さんと『令嬢ジュリー』という舞台をやります。それにはちょっと燃えてるかな。ずっと心の片隅に燃やし続けている熾き火をかきたててね…いつも熾き火は燃やし続けていたいんですよ」
純愛からこころのあり様について、真摯にお話してくださった清水さん。とても文章では表しきれない深いトークのような気がします。深い愛情で容子を包んできた省吾にぴったりのイメージの方でした。