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2018年01月21日(日) 放送分

青柳貴史製硯師
Vol.986

“硯作りの貴公子”と呼ばれる38歳。
頭の中は四六時中、“硯”でいっぱい…こじらせ系イケメン職人に密着!

誰もが小学生の時に経験した「書道」の時間。そこにちょっとした異変が起きているのをご存知だろうか。実は現在、多くの小学校で使用されている硯は石ではなく、セラミックやプラスチックで作られている。さらに、墨を使わず水で習字ができる道具まで登場。
どれも軽くて安価で使いやすくて...だが、製硯師(せいけんし)の青柳貴史はこの流れに警鐘を鳴らす。「石の硯で墨を擦るときの感触、音、香り、その全てが日本の毛筆文化の基本。なんとしても次の世代に継承しなくてはならない」
"製硯師"とは、オーダーメイドの硯製作から修理・復元までを一手に担ういわば「硯の何でも屋さん」のこと。昭和14年創業の書道用具専門店「宝研堂」の4代目である青柳は今ではその技術の日本唯一の継承者だといい、彼の硯は美しい彫りや磨きで世界中にファンを持つ。
去年、青柳のもとにかの文豪 夏目漱石が愛用していた硯と寸分たがわぬ「レプリカ製作」の依頼が舞い込んだ。徹底的な復元のために同じ材質の石を探そうとその手触り、匂い、味までも確かめて産地を推測する青柳。明治時代の職人技術の研究は勿論、夏目漱石が書いた手紙に登場する硯の描写までも深く読み解こうとする姿はまるで"石のソムリエ"だ。
番組ではその硯作りへの徹底したこだわりに密着する。さらには、書道発祥の地である中国の硯に負けない良質な国産硯材を求め、山梨や北海道の険しい山々へと足を運ぶ青柳...
「硯で墨を擦り、筆で文字を書くことによって伝わる思いは、メールの何十倍にもなる。毛筆文化を継承することが、日本人の心を継承することにつながるはず」
電子化、ペーパーレス化の流れが加速する現代日本で、硯の新たな可能性に懸ける男の姿を追った。

PROFILE

1979年東京出身。書道用具専門店「宝研堂」の4代目。16歳の頃より祖父、父に作硯を師事。日本、中国、各地の石材を用いた硯の製作、修理、復元を行う。学校などを対象に硯文化に関する講演や、デパートの催事場などで硯の実演彫りも行っている。大東文化大学文学部 書道学科非常勤講師。ガンダムが大好きでプラモデル塗装にも徹底的なこだわりを見せる38歳。

STAFF
演出:三木哲
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
音効:中嶋尊史
編集:宮島亜紀
制作協力:東北新社
プロデューサー:中村卓也・山本喜彦

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