就航から5年。安さにこだわり続けるピーチの戦略とは。あらゆるところでコストを切り詰め、どんなタイミングでも儲けにこだわる。ケチケチ戦略で積み上げた結果、関空ソウル日帰り9000円を実現させました。いまやライバルは他社の飛行機ではなくバスや船!安さの裏側を探ります。
航空会社大手にとって無視できない存在になりつつあるLCC。就航から5年経ったいまも業界をひっぱり安さを極め続けているピーチは、全日空に委託していた整備を自分たちでするようになってさらに安く飛ばせるようになったといいます。絶好調ピーチの5年の裏側には、大阪の会社ならではのケチケチ根性がありました。
Peach並び替えるとCheap
片道500円という激安運賃を出すなど、格安にこだわり続けるピーチ。そもそも、なぜそんなに安い価格を実現できるのか?その秘密を教えてもらいました。

元○○に本社移転
「あの辺に部署の労務戦略課とか看板はありますけど、あれはぼくでも作れそうな手作り感ある看板ですね」(山中真アナウンサー)
「そうです、手作りで作って、自分たちで脚立にのぼって付けています。ちょっとでも(コストを)抑えて、お客様の航空券に還元したい」(Peach客室乗務課 中村昭菜さん)
ピーチ本社にある備品は中古で購入しているため、イスの種類はバラバラで揃っていません。
Q.来るときに気になったんですけど、動いていないエスカレーターは何ですか?」
「もう使われてないんですが、元々このオフィスが百貨店だったんですね、そのまま“居抜き”で使用しています」(客室乗務課 中村昭菜さん)
元々ここにあった高島屋の場所を去年、本社にしたことで、さらに家賃を安くあげたのです。

操縦室でも削る!?
コスト管理はまさかの操縦室でも。今年、始めたことがあるといいます。
「コクピットにマニュアルをこれだけ載せないといけません」(野中寛之 運航技術課長)
Q.1冊じゃなくて全部ですか?
「いえ、ここからここ全部(19冊)」
タブレット端末を導入し、21キロあった重いマニュアルは思い切って捨てました。これで燃費が変わるといいます。
「チリも積もればで、合計で310万円のコスト削減ができた」(野中寛之 運航技術課長)
Q.どれくらいの期間で?
「1年間です」
ほかの航空会社は?
「載せている会社が大多数です」

もっと儲けなあかん!
一方、機内食ではお金儲け。たとえば、たこ焼きとお好み焼きはあることをして名物に。売り上げアップにつながっているといいます。
「一般的に航空業界ではニオイのきついものはタブーになってまして」(機内食担当 長谷川遥さん)
Q.苦情ってないんですか?
「それが苦情は全然なくて。むしろ機内でソースの良い香りがするので、1人が注文すると私も僕もと頼んでいただける」
Q.それも狙っている?
「はい、狙ってます」

運賃はどうやって決める?
段ボール製のチェックインの機械は少しの傷みなら使い続けます。ケチケチして積み上げた利益は乗客に還元。では、どうやって運賃を決めているのでしょうか?
「運賃を決めているのが、あちらの増田です」(客室乗務課 中村昭菜さん)
Q.料金設定をされてる方ですか?
「はい、そうです」(レベニューマネジメント部 増田幸姫部長)
Q.増田さん次第で決まる?
「はい。あまり気分には左右されないようにしていますが。皆さんが買っていただけるギリギリのラインをずっと狙っていっている感じです」
当初は他の航空会社や鉄道としていた価格競争、いまでは船や高速バスなどもライバルだといいます。
「結構、ソウルに日帰りをしているお客様が多いというのが、生の声とデータから出てきてわかったので、そんな運賃、他では出していないよねということで、いまはソウル往復で9000円になっています」

ピーチで韓国へ
「実際に日帰りで韓国に行ってみようということで、LCC専用の関西国際空港第二ターミナルにやってきました。機械で自分自身でチェックインするんですね。ここもしっかり人件費を抑えているわけですね。」(山中真アナウンサー)
飛行機までは階段を使って乗り込み、ほぼ満席となっている機内へ。韓国に向けテイクオフです。
「国際線によくあるテレビモニターのようなものもないですし、幅ですよね前後の。体の大きい人にはちょっと狭まめかもしれないですね」
前の人が座席を倒すとより窮屈に。このあたりはちょっと我慢です。約2時間、ソウルに着きました。
「最終便まではまだ10時間ほどありますから、1日たっぷりソウルを楽しませてもらいます!」
お昼は甘い味付けの立ち食いカルビ。(15000ウォン/約1500円)
全身のオイルマッサージで贅沢な時間を満喫。(40000ウォン/約4000円)
いま韓国で人気の液体窒素で凍らせたアイス(3800ウォン/約380円)に、食後にはこれまた人気の窒素を混ぜ込んだアイスコーヒー(6300ウォン/約630円)です。
夕食はユッケ(12000ウォン/約1200円)と生レバー(12000ウォン/約1200円)。日本では食べにくくなったグルメで締めます。
10時間、たっぷり韓国を堪能し帰国です。
「帰ってきました。本当に日帰りですね。ただ朝に関空を出たのがだいぶ前のように思えますから、1日満喫させていただきました。長い1日でした」(山中真アナウンサー)
今回かかったお金は全部で2万5000円ほど。大阪・東京を新幹線で往復するより安い計算です。LCCが海外旅行をより身近にしているのかもしれません。

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