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第53回 たかおみゆき

― 一度辞められたんですね。

けっこう舞台には、立たせてもらえてたんです。
芸も何もない私が、何で舞台に立たせてもらっているんやろ? と。
だんだんそんな気持ちになっていって、何にも身についてないやん、と。
何か身につけたいと思って、落語が好きになって、落語家になりたいと思ったんです。

(新喜劇に入ってる時に?)
落語の桂枝雀師匠の舞台を見た時に、すごいなあ、と。
人間的にもすごい人やなあと自分の中で思いまして…。
「この人の弟子になりたい」
と思ったんです。

弟子入り願いに行くには、吉本に入っていたらダメじゃないですか?
だから、高校を卒業すると同時に、吉本を辞めたんです。

(それがきっかけだったんですね)
で、辞めまして、師匠は吹田に住まわれていたので、自分もその近くに住まなあかんとか、自分の中で精一杯考えました。
吹田に住むにはお金がいるから、バイトしよう、と。

アルバイトニュース見てたら、松竹の中座の事務員さんの募集があったんです。
どうせなら芸能に絡んでいる方がいいわと思って、アルバイトしていました。
私は枝雀師匠のところに行きたいと思っていたので、休みの日にはずーっと師匠の公演先を回って見てたんです。

次第に顔を覚えてくださって、喋ってもらえるようになって、
「僕は女の子は落語家になれないと思ってます。落語家になりたいなら、女の子の弟子を取る方のところに行きなさい」
と言われて断念したんです。
その時、中座の仕事で社員化の話があったので、社員になってしまったんです。

(ほかの師匠のところには行かず?)
やっぱり、枝雀師匠というのがあって。
つくなら枝雀師匠がいいな、と。

(諦められたんですね…)
後になって、師匠が亡くなられてから、あるお弟子さんが師匠のことを書かれた本の中に、横縞のシャツを着た女の子が弟子にしてくださいとずっと来てた、と。

2回断わったけど、もし、もう1回来たら、
「僕は取るつもりやった」
と師匠が言っていたとあったんですよ。
それ、私のことやったんですよ。
その時の衝撃といったら…。

(それは…!)
ショックですよ!
ものすごく残念な感じでしょう?

(もったいないですね~)
そうなんです。
そんなこともあって。

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