第71回 石橋洋貴

いろんな方から「心が鉄や」と言われます。


―お笑いを目指されたのはいつからですか?

もともと僕、大学に入って、ジャズサークルに入ったんですよ。そこでギターをやってた時に、友達から急に「M-1のオーディション受けない?」って誘われたんです。アマチュアでも出れることに、ちょっと興味持って、やってみようかなと。舞台に立ってみたら、「うわ~! 楽しいな」と思って。それでジャズサークルを辞めたんです。友達に誘われて始めたんですけど、僕がお笑い好きになってしまって。
(それまではあまり興味がなかった?)
そうなんです。その相方の方がやる気があったのに、僕が本気になりすぎて、「お笑いやろうや」とその子にNSCに入ろうって誘ったけど、「大学は卒業しておきたい」って。僕の熱があまりにも高すぎて…。
(はははは…)
M-1の舞台に立った時のドキドキ感というか、ほんまに気持ちよくなりすぎてしまったんです。で、お笑いやらせて、と、親に頭下げて。最初は大学行きながら、NSCも入ってたんですが、時間も取れないですし、やっぱり厳しくなってきて…。結局、大学は辞めることになりました。

―NSCでは?

34期で入って、最初、一緒のクラスの子の漫才を見た時に、メッチャメチャ面白いな、前からやってるから完成してるな、と。俺、こんなんで入ってきたらアカンかったな、と思って。2人じゃ勝てないと、一緒のクラスの3人に声かけて、4人組の「ゴニンニナリタクテ」を組んだんですよ(笑) 目立ちたがり屋なんで、それで変わった漫才しようかなと思って。当時は、クラス分けオーディションで、A・B1・B2・C1・C2・C3とあって、AとBに入れるのって全体でも20組くらいしかいないんですよ。あと500組くらいがCなんです。そこでB1クラスに入って…。
(すごい!)
ちょうど東西戦みたいな合宿もあって、そこでも漫才で5位くらいに入って、「これ、もしかしていけるんちゃうかな?」と。
(思いますよね~)
人数増やしただけやけど、いい感じで行ってるって。でも、やっぱりお笑いは甘くなかったですね。3か月ぐらいで一気にC2クラスまで落ちて…(笑) 4人でやってることに、ちょっとリスクがあったんです。ひとりサボリ癖のある子が休み過ぎて。1人休んだら全体責任になるんです。無断欠席とかしたら、クラスが落とされるですよ。
(連帯責任なんですね)
NSC在学中ってAとBしかライブの舞台に出れないんで、舞台も少なくなって、アカン方向に行ってしまい、解散という形になったのが、NSC卒業間近でした。

―卒業後はどうしたんですか?

卒業してから、「ゴニンニナリタクテ」の、もう1人のボケの子を誘って、コンビ組んだんですけど、それもなかなかで。半年くらいで解散しました。でも、とりあえずお笑いやりたくて入ったから、ピンで活動しようと。ギャグを専門に「Men's石橋のイキオイ路上ライブ」というのを大阪城公園前で始めました。NSC31期で仲いい先輩の「飯めしあがれこにお」さんに手伝ってもらって、芸人さんとかも呼んでもらって。僕がMCとネタをやりつつ、毎日10組くらいにネタを披露してもらうライブを2年半くらい。とりあえず売れたいから、1人でも頑張って行こうと。一応、5upとかのオーディションは受けたんですが、やっぱり合格できないんです。だから路上とオーディションの繰り返しで…。

―新喜劇との出会いは?

たまたまツイッターのリツィートかなんかで「金の卵7個目のオーディション募集中」というのを見たんです。〆切の3日前くらいで、結構迫ってたんですよ。受かる気持ちはほんまになかったんですが、試しに応募したら、まず1次書類の審査が通りまして。2次で「Men'sポーズ!」というギャグがあるので、それを6人の審査員ひとりづつの前で披露しました。それしかなかったんで…。2年半ずっとやっていたんで、いろんなバージョンがあるんです。「てくてくてく、2人が合体、メンズポーズ!」とか「グーチョキパー、左手がチョキで右手もチョキ、メンズポーズ!」とか。ま、ウケなかったですけど。ほかの人たちはダンスとかいろいろ特技を持ってて、その人たちが受かるやろなと思ったら、僕が2次に受かって。3次はもう未知の演技の世界。台本が1週間くらい前に送られてきて、3つの役のセリフを全部覚えてきてください、何が当たるかわかりませんと言われて、ヤバイな~と思ったんですが、たまたま、覚えてた警察官の役に当たって、ラッキー!ってなって。もしかしたら、いけるんちゃうか?と。最終の面接では、「インパクトやろ」と思って、座る前に「ちょっとネタやらせもらっていいですか?」と言って、「Men's石橋、今年R-1で落ちたネタやります!」と、全力でやったら、「もういいわ」と言われて、終わりました。これで落ちたかな~と思ってたら、受かったので、「よっしゃ~!!」と思って。300人くらい受けた中で合格が11人だったので、ちょっとうれしいなと。
(ご両親は?)
喜んでましたね。もともと3年目までと言われてたんです。ちょうど芸歴が3年目の時に受かったんです。どこかに所属できなかったら、お笑いは趣味にしなさい、ちゃんと就職してって言われてたんで。新喜劇受かったんで、本気でやらせてもらうことになりました。

―新喜劇はご覧になってました?

小さい頃から見てたんですけど、僕、もともと漫才が好きで、M-1でお笑いやろうってなったんで。最初、漫才しか興味なかったんですけど、入ってから勉強するうちに、やっぱり新喜劇のこと好きになって。ちょっと受けてみようっていう感覚で受けたので、最初は興味なかったです。
(お笑いを目指されていた頃の目標は?)
ネプチューンさんのネタが好きで。ホリケンさんみたいに自由な感じのキャラクターでやって行きたいなと思ってたんで。この人、幸せそうやなと。自由な感じの方が好きですね。
(新喜劇はむしろ決まりごとが多いですよね)
最初、大変でして…。今でもたまに先輩とかに叱られたりするんですけど、師匠とか先輩方が舞台に出たら、「パフ」を洗うんですよ。最初、僕知らなくて、何もしてなくて。「洗えよ」って言われて、先輩に教えてもらって。こんなんも下がしないとダメなんや、と。挨拶はもちろんですけど、先輩の買い物とかも行くんや~、結構、厳しい世界に入ったなあと思ったんですけど、入って、社会勉強にはなりました。新喜劇は礼儀とかも教えてくれるんで、助かってます。

―初舞台まではどのくらいかかったんですか?

1年ぐらいで、「大坂の陣」に出させてもらったのが初舞台でした。僕はセリフもいただいて。高井俊彦さんを討つシーンで、「討て~」と言わせていただきました。斬られ役なんで、討った後にまた斬られて。何回も出て来る役でしたね。
(通常の新喜劇は?)
最初は営業ですっちーさんの週に出させてもらったんですが、あんまりハマらなくて…。半年後くらいに伊賀兄さんが、僕の口上師(劇場前でお客さんの呼び込みをする)を見てて、あんまりお話ししたこともなかったんですけど、「石橋君って、オーラあるなあ。口上師してる場合と違うで。今度、新幹線新喜劇やるから、出てみない?」と言われて。それでメンバーに入れてもらったんです。最初、上の人にメンバーを見せた時に、「石橋って、あんまり舞台出てないけど、入れて大丈夫か?」ってなったらしいですけど、伊賀さんが「僕の舞台なんで、入れてください」って言ってもらって。それを聞いた時は感動して、ちょっと涙出ました。そこから、伊賀兄さんのお陰やと思うんですけど、祇園花月の辻本さんの週に急に入ったんですよ。それまで営業くらいしか舞台経験ないのに、けっこう長いセリフもいただいて。それから2年半くらい、辻本さんの週で使ってもらいました。お客さん役でカバンで蹴られたり、階段から滑るのも何回も経験させてもらいました。1日で7回滑る日もあって、辻本さんから「階段滑るのはスペシャリストやなあ」と言われました。

―印象に残っている舞台とか失敗とかありますか?

あります、ありますよ。祇園花月では、NGKで辰巳さんとかがやっているバレエダンサーの役を僕がやってたんです。僕じゃインパクトがないと言われたんで、何してもいいんかな?と思って、白塗りで出て行ったら、終わった後にメチャクチャ怒られて、「お前、そこ出なくていいわ」となりました。あの時は、引くぐらい怒られましたね。
(はははは)
「そっちにずっと目が行くやないか!」と。そういうの、僕わかってなかったんで。面白かったらええやろと思ってたんです。新喜劇の辻本さんの舞台に出させてもらってから、太田兄さんとか、井上安世さんとか新名さんとかに誘われて、「超ハマる! 爆笑キャラパレード」(CX)のオーディションにも出て、合格して、2回ほどテレビに出させてもらいました。すみません、自慢になってますけど…。石橋は「心が鉄やから」と言われました。
(誰から?)
いろんな方から。「石橋はハートは強いな~」と言われて、選んでもらったところもあるんですけど。
(怒られてもやり続ければ、認められるとか?)
僕は、怒られたらやらないんで。怒られたらやったらアカンと思う方です。

―先輩方からのアドバイスは?

僕は自分でずっとボケの人間やと思ってたんですけど、川畑さんからレッスンの時に、「石橋、ツッコミの方がええん違う?」と言われて。「ヘンな変わった感じのツッコミ、面白いんと違う?」と。今年、何かツッコめるチャンスないかな?と思って、M-1受けてみよう、ちょっとツッコミでやってみようと、平田健太と組んで、僕がツッコミでやってみたんです。1回戦は突破したんですが、2回戦は突破できなくて…。ツッコミの方を練習したら、そっちなんかなあ、と。ボケもツッコミも両方やりたいですね。

―お世話になっている先輩は?

辰巳兄さんと一緒なんですけど、一の介師匠の店「Bell」でバイトさせてもらってます。だから、師匠が頻繁に電話とかもしてくれて、「最近どうや」と心配してくれたり、ご飯とかも誘ってもらったり。
(面倒見いいですね~)
あと、最近、諸見里さんと飲みに行かせてもらったんですが、その時、「石橋はまず、いろんな週出たいんやったら、警官役でもいいし、ヤクザの役でもいいし、自分の披露できそうなネタをやって行ったら? そうしたら、みんなサポートしてくれるし、「石橋こんなん持ってるよ」って、出番も増えると思うよ」といいアドバイスいただいて。
(もともとギャガーでしたよね?)
僕のギャグは使えないんですよ。勢いギャグなんで。新喜劇はやっぱりストーリーに合ったネタじゃないと。太田さんの「おじゃま死にま~す」なら、つながってるからいいんですけど、僕がいきなり「Men'sポーズ!」とかやったらおかしい。僕は新喜劇的なギャグを持ってないので、遅いんですけど、勉強していこかな、と。
(新喜劇って演技か、ギャグか分かれますよね)
僕は基本ちょけたいんですよ。ネタしたがり屋、ボケたがり屋、変なことしたがり屋なんです。「Bell」で一緒に働いているモンブランのいけっちさんにも、「石橋君は、ヤバい奴やな」って言われます(笑) 「ヤバい」とか「痛い」とか。「でもその痛さを貫き通したら売れると思う。やめんかったら」って言われて。「最近、やめかけてるから、貫き通したら?」って。それはいろんな先輩にも言われるんですけど。
(ぜひ、新喜劇にハマるギャグを…)
頑張ります。

―目指している先輩は?

僕、正直、今別府さんみたいな感じが…。
(ええ~っ!?)
僕ホンマに、今別府さんみたいになりたいんです。今別府さんにも言うたんです。ああいう感じのキャラクターがやって行きたくて。キャラ的に言ったら、「普通にツッコミとかした方が石橋は絶対いい」って先輩方とかに言われるんですけど、僕はそっちがやりたくて。ボケの人間やと思っているんで。
(石橋さんから見て、今別府さんはどういう感じに映ってるんですか?)
いや、もうスターです! すごいなと思って。
(どういうところが?)
「ぴゅ、ぴゅ、ぴゅ」で、あの空気にさせても動じないし。今別府さん、ハート強いな~って思ってて。それを結局お笑いに変えるって素晴らしいなって。
(今別府さんは何て?)
「ありがとう、うれしいわ~。こんなイケメンに言われて…」みたいな。
(新喜劇の中ではイケメンの部類ですよね)
性格はイケメンじゃないんで。変なことしたがるんで、同期のもじゃさんとかに「お前、ちゃんとしろよ」って、毎日言われてます。今は、口上師で西梅田劇場に週5でいますんで、お金払わなくても、今一番会える新喜劇座員です(笑)

―趣味とかハマっているものは?

お酒が大好きで。ビールが好きなんです。僕、入団した当初、55キロだったんですけど、ビール腹になってしまいまして、今、71キロなんです。
(え!? そうなんですか!)
だからちょっと太っているんですよ。16キロくらい太ってるんですよ。
(そうは見えないですけど…)
それぐらい、お酒が好きで。毎日飲みますんで…。だいたいビールですね。発泡酒でも全然いいんですよ。けっこう、もりすけさんに誘っていただいて、飲みに行ったりとかします。あと、もじゃさんとか。7個目の同期けっこう仲いいんですよ。もりすけさんももじゃさんも先輩なんですけど。ま、平田とかとも飲みに行くんですど、平田は弱いんで、2缶くらいで寝てますから。
(ビールはどのくらい飲まれるんですか?)
家なら3本くらいしか飲まないんですけど、外へ行ったら、10杯くらいは飲みます。しかも、あんまり酔わないんですよ。だからいくらでも飲めるんです。ほかのものを飲むと酔いますけど、ビールだけなら全然酔わない。飲んでる時が一番幸せです。

2017年11月6日談