第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会

決勝 大阪桐蔭、パワフルV 桐蔭学園、1T届かず(その1) 「白い旋風」FW戦圧倒

 (7日・東大阪市花園ラグビー場)

 今年のワールドカップ(W杯)に向けて改修された高校ラグビーの「聖地」花園で、大阪桐蔭(大阪第1)が悲願の初優勝を飾った。7日、東大阪市花園ラグビー場で行われたAシード同士の決勝は、出場13回目の大阪桐蔭が桐蔭学園(神奈川)とのシーソーゲームの競り合いを制した。大阪勢の優勝は前回の東海大仰星(現東海大大阪仰星)に続いて2大会連続。出場17回目の桐蔭学園は昨春の全国高校選抜大会との「2冠」を逃した。

大接戦制す

 大阪桐蔭がFWの圧力や接点での強さで上回った。5点差を追う後半7分、ゴール前ラックからプロップ江良のトライ(ゴール成功)で逆転。10分後にもモールを押し込み、最後はフランカー奥井のトライで突き放した。防御でもCTB高本を中心に鋭いタックルでターンオーバーや相手のミスを誘った。桐蔭学園は大阪桐蔭と同じ4トライを奪い、後半28分に2点差まで詰め寄ったが届かなかった。

 ■ノーサイド

 苦い準優勝から1年。2年連続で進んだ決勝の舞台で大阪桐蔭が力強さを発揮し、「平成最後」の大会で初めて頂点に上り詰めた。

 圧倒したFW戦が力強さの象徴だった。5点差を追う後半7分、FWで勝負に出た。相手ゴール直前での密集からプロップ江良が持ち出してトライ。ゴール成功で逆転すると、10分後にも約15メートルにわたってモールを押し込み、最後はフランカー奥井がインゴールに飛び込んだ。

 相手の巧みなパスワークに翻弄(ほんろう)され、リードを許して前半を折り返したが、「点を取られても浮足立っていなかった」と綾部監督。選手たちは冷静だった。

 試合前にモールへの相手防御が弱いと分析し、ハーフタイムで「FW戦にこだわろう」(奥井)と再確認。モールを中心に接近戦に転じ、綾部監督は「相手が嫌がるだろうなと思った。時間をかけて勝負できた」と胸を張った。

 初めて決勝に進んだ前回は、後半途中から相手に傾いた流れを止められず逆転負け。当時1年生ながら先発出場し、号泣した奥井は「悔しい思いをしたからこそ、優勝できた」。今大会は初戦からフィジカルの強さを生かし、奥井や江良、さらに主将の松山、高本の両CTBらの突破力で相手を圧倒してきた。

 チームが愛称にする「白い旋風」を巻き起こし、平成では8校目の初優勝校となった。2年生の奥井は「花園にまた、強いチームを作って戻ってきたい」。再び歴史を刻む覚悟を示した。【村社拓信】

主将の思い結実

 ○…大阪桐蔭の主将としてチームをけん引してきたCTB松山は「集中力を切らさずにみんなが戦ってくれて、うれしかった」と喜んだ。バックスの展開力がある桐蔭学園に前半リードを許したが、ハーフタイムで「もっとディフェンスでプレッシャーをかけよう」と味方を鼓舞。後半は粘り強い防御を取り戻し、逆転劇につなげた。前回大会は準決勝で桐蔭学園を降したが、決勝で東海大仰星(現東海大大阪仰星)との大阪勢対決で敗れた。当時もレギュラーだった松山は「必ず日本一になるぞと、(練習で)しんどいことをしてきた」。強い思いが成就し、充実感をにじませた。

 ■マイボール

雌雄決す強烈タックル 高本幹也(3年)大阪桐蔭・CTB

 一撃必殺。出足鋭い強烈なタックルで相手の突進を止めた。

 桐蔭学園の攻撃が続く中、時計の針はすでに後半30分を過ぎていた。

 リードはわずか2点。相手陣22メートルライン付近で相手ボールが展開された瞬間だった。パスのモーションに入った相手選手の足元にタイミング良くタックルに入ると、勢い余ってボールがこぼれた。「嫌な予感はあったが、思い切り(タックルに)行った」。仲間がその後の争奪戦を制し、自らボールを外に蹴り出すとノーサイドの笛が鳴った。チームで最もこだわってきた1対1での強さを、大一番で体現した。

 1年前とは逆の光景だった。SOで出場した前回大会決勝は、自らがタックルを受けてボールを奪われ、試合が終わった。あと一歩で日本一を逃した悔しい経験を力に変え、「成長できた。1年間、やってきて良かった」。その表情は充実感で満ちていた。

 今春には帝京大に進学する予定。大学屈指の強豪でも、存在感を示すつもりだ。【長宗拓弥】

大阪桐蔭(大阪府大東市) 1983年に大産大高大東校舎として設立された。88年に大阪桐蔭として分離独立した。第75回大会(95年度)に初出場し、第93回(2013年度)4強、前回の第97回(17年度)準優勝。昨年の春夏連覇を含む甲子園計8回優勝の野球部を筆頭に、女子バスケットボール部、男子サッカー部も全国クラス。学校法人・大阪産業大が運営しており、桐蔭学園とは別法人。

大阪桐蔭26-24桐蔭学園

 ▽決勝

桐蔭学園(神奈川)  反5

3 1 0 0 17 1 1 0 0  7 24

T G P D  前 T G P D  後  計

2 1 0 0 12 2 2 0 0 14 26

大阪桐蔭(大阪第1) 反6

 ▽主審=町田裕一

決勝の得点経過

<前半>        大 桐

 7分 大・伴井T   5-0

13分 大・嘉納T  10-0

      嘉納G  12-0

22分 桐・床田T  12-5

25分 桐・鈴木T  12-10

      津田G  12-12

28分 桐・佐々木T 12-17

<後半>

 7分 大・江良T  17-17

      嘉納G  19-17

17分 大・奥井T  24-17

      嘉納G  26-17

28分 桐・小西T  26-22

      津田G  26-24

平成30年間の決勝

 ※丸数字は通算優勝回数。校名は当時

年度                      スコア

1989(平成 元)69回 (6)天理     14-4  啓光学園

  90(平成 2)70回 (1)熊谷工    19-9  天理

  91(平成 3)71回 (1)啓光学園   28-8  国学院久我山

  92(平成 4)72回 (2)伏見工    15-10 啓光学園

  93(平成 5)73回 (1)相模台工   19-6  東農大二

  94(平成 6)74回 (2)相模台工   27-12 長崎北陽台

  95(平成 7)75回 (4)大阪工大高  50-10 秋田工

  96(平成 8)76回 (1)西陵商    26-25 啓光学園

  97(平成 9)77回 (5)国学院久我山 33-29 伏見工

  98(平成10)78回 (2)啓光学園   15-12 大阪工大高

  99(平成11)79回 (1)東海大仰星  31-7  埼工大深谷

2000(平成12)80回 (3)伏見工    21-3  佐賀工

  01(平成13)81回 (3)啓光学園   50-17 東福岡

  02(平成14)82回 (4)啓光学園   26-20 東福岡

  03(平成15)83回 (5)啓光学園   15-0  大分舞鶴

  04(平成16)84回 (6)啓光学園   31-14 天理

  05(平成17)85回 (4)伏見工    36-12 桐蔭学園

  06(平成18)86回 (2)東海大仰星  19-5  東福岡

  07(平成19)87回 (1)東福岡    12-7  伏見工

  08(平成20)88回 (7)常翔啓光学園 24-15 御所工・実

  09(平成21)89回 (2)東福岡    31-5  桐蔭学園

  10(平成22)90回 (3)東福岡    31-31 桐蔭学園(1)

  11(平成23)91回 (4)東福岡    36-24 東海大仰星

  12(平成24)92回 (5)常翔学園   17-14 御所実

  13(平成25)93回 (3)東海大仰星  19-14 桐蔭学園

  14(平成26)94回 (5)東福岡    57-5  御所実

  15(平成27)95回 (4)東海大仰星  37-31 桐蔭学園

  16(平成28)96回 (6)東福岡    28-21 東海大仰星

  17(平成29)97回 (5)東海大仰星  27-20 大阪桐蔭

  18(平成30)98回 (1)大阪桐蔭   26-24 桐蔭学園

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記事(提供:毎日新聞/2019/1/8 16:44)

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