第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会

チーム紹介/下 第2地区代表・本郷 8大会ぶり10回目 自主性尊重、失敗も糧 /東京

 11月に港区の秩父宮ラグビー場で行われた本郷と目黒学院の決勝。前半14分、本郷のWTB長峰奨真選手(2年)がチーム2トライ目を決め、流れを引き寄せた。選手たちが自主的にプロの試合の動画からヒントを得て考えた、ラインアウトからのサインプレーだった。

 「監督からはよく『自由にやってごらん』と言われる」と話すのは、副将の藤浪優選手(3年)。練習中は指導者に言われる前に、自分たちで意識するポイントを見つけて、休憩時間に共有している。「やらされているのではなく、主体的に考えて練習する。結果的にチームは上達している」と話す。

 就任10年目となる本郷の渡辺宣武監督(50)が大切にしているのは「自主性」。試合で必要とされる「判断力」は経験によって培われ、失敗を積み重ねることで経験となる。「与えられるのを待つのではなく、恐れずにチャレンジしてほしい」と語る。

 風通しの良さを感じるが、就任当初からそう考えていたわけではない。「勝たせなきゃ」という焦りが先行して、思い通りにいかない時に感情的に指導したこともあった。

 「自分が楽しんでいないから、選手につらく当たってしまうのかな。彼らが勝ちたいと思わないと意味がない」。そう気づいてから、練習中に選手全員と言葉を交わし、試合中は良いプレーをすると「ナイス」と声をかけた。いつからか、試合後にベンチに戻ってくる選手たちが「楽しかった」と声を上げるようになった。渡辺監督もラグビーを楽しめるようになっていた。

 島田耕成主将(3年)は「『監督は一番近くで試合を見られる。試合を楽しみたい』という渡辺監督の言葉が記憶に残っている」と話す。選手たちもその思いは共有しており、東京第2地区の決勝前には「たくさんの観客がいる中でプレーできる。楽しもう」と声をかけ合った。

 決勝戦では、体格で上回る目黒学院の選手を相手に、グラウンドを大きく使ってボールを動かし続け、逃げ切った。「しびれる良い試合だった。楽しかった!」。試合後、渡辺監督は歓喜し、選手たちの表情にも充実感がにじみ出ていた。

 試合を楽しむためには、日ごろの準備が欠かせない。体格に優れた強豪チームに、体でぶつかり合うラグビーをしても、なかなか勝利は見えてこない。「数学の問題も、二つの公式を組み合わせることで解けるものがある。いろいろなアプローチの仕方がある」と渡辺監督。花園に向けて、選手たちは「ボールを回し続ける」という自分たちの強みを磨き、新たなサインプレーも考えている。

 島田主将は「花園は憧れの舞台で、(プレーした経験は)強く記憶に残ると思う。勝った思い出を積み上げたい」と意気込みを語った。【山本有紀】

 <本郷の花園への軌跡>=第2地区

2回戦  本郷 146-0  帝京

準々決勝 本郷  34-0  東京朝鮮

準決勝  本郷  34-0  東京

決勝   本郷  28-19 目黒学院

〔都内版〕

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記事(提供:毎日新聞/2018/12/27 2:15)

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