第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会

国学院栃木、8強入り逃す 強力FW、全国アピール 「花園」戦い振り返る /栃木

 第98回全国高校ラグビーフットボール大会(毎日新聞社、日本ラグビー協会など主催)で、県代表の国学院栃木は3回戦で敗れて7大会ぶりの8強入りを逃したが、強力FWを前面に出す自分たちのラグビーを全国にアピールした。厳しい練習を乗り越えて成長し、花を咲かせたチームの「花園」での戦いを振り返る。【李舜】

 大会はアクシデントから始まった。若狭東(福井)との1回戦の前半4分。チームが初トライを決めたプレー中にU17(17歳以下)日本代表のSO伊藤耕太郎選手(2年)が負傷し、退場になった。吉岡肇監督は「抜けると一番痛いと思っていた選手がけがをして動揺した」と振り返るが、交代した前田玲緒選手(2年)の活躍もあり、チームは59-7で快勝した。

 2回戦は、2大会前に抽選引き分けで次戦進出を阻まれたBシードの日本航空石川(石川)とぶつかった。ここで機能したのが、12月上旬から練習していたパワー重視の通称「メガトンスクラム」の布陣だ。スクラムの強い中野一樹選手(2年)をプロップで起用するなど、平均体重99キロのFWで押し込み、FW戦で3トライ。防御でも相手の中心のトンガ人留学生に数人がかりでタックルして仕事をさせず、28-12で快勝。3大会ぶりの正月越えを決めた。

 3回戦のBシード、報徳学園(兵庫)との試合は、序盤から相手の展開ラグビーに翻弄(ほんろう)される苦しい展開になった。しかし、後半13分にFWが一体となったモールで徐々に相手を押し込み、フッカー石母田健太選手(3年)がトライを上げるなど見せ場を作った。19-57で敗れたが、強豪相手にもFWの強さが劣っていないことを証明した。

 今大会に出場した1、2年生は計16人。吉岡監督は「3年生の頑張りで花園で3試合もでき、下級生は良い経験ができたはず」と話す。中村公星主将(3年)は「このチームでもっとラグビーをやりたかった。下級生には能力がある選手がたくさんいる。次はもっと上まで行ってほしい」と目を赤くしながら後輩に思いを託した。

4トライ、天国の母応援 プロップ・藤倉大介選手(2年)

 体重125キロの体格を生かし、3試合で計4トライを奪ってチームのトライ王になったプロップ藤倉大介選手(2年)。「花園で4トライもできて驚き。天国で母が応援してくれたんだと思う」と亡き母陽子さん(享年44)へ思いをはせた。

 恵まれた身体能力を武器に、前大会でも1年生ながら花園のピッチに立った。2回戦で敗れ、地元の横浜市に戻った2017年12月31日、同月7日に陽子さんが心不全で亡くなったことを知った。プレーに影響すると、家族に知らされていなかったという。

 ラグビーとの出会いは小学4年。テレビでラグビー・ワールドカップ(W杯)の試合を観戦し、「なんだこのスポーツは。面白い」と衝撃を受けた。小3で全国制覇した柔道をやめ、競技を開始。「世界一のプロップになりたい」と、日本選手権で7連覇した新日鉄釜石の名プロップ長山時盛さん(56)が指導する国学院栃木の門をたたいた。

 心臓に病を患っていた陽子さんから「私は長く生きられない。自分のことは自分でやりなさい」と常々言われており、寮生活では自ら栄養学を学ぶなど自己管理を徹底した。努力が少しずつ実を結び、入学直後に「走れない」と言われたプロップは、「徐々に走れるようになり、これからが楽しみ」(吉岡監督)と期待されるまでになった。

 花園では持ち前のフィジカルを武器にスクラムや密集でのFW戦で体を張り、勝利に貢献した。「生まれ持ったこの体は誰にも負けない。あとは自分の努力次第。もっと成長して、チームを引っ張る存在になり、花園優勝を母に報告したい」。頑丈な体を授けてくれた母のために、さらなる飛躍を誓った。【李舜】

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記事(提供:毎日新聞/2019/1/9 12:17)

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