第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会

桐蔭学園、惜敗に涙 2点差、単独Vならず /神奈川

 第98回全国高校ラグビーフットボール大会(毎日新聞社、日本ラグビー協会、全国高体連など主催)は7日、東大阪市花園ラグビー場で決勝が行われ、県代表の桐蔭学園は、大阪桐蔭(大阪第1)に24-26で惜しくも敗れた。初となる単独優勝を目指し、前回準決勝で惜敗した大阪桐蔭に雪辱を期したが、逆転して折り返した後半、重さで勝る大阪桐蔭FWの猛攻で再逆転され、終了間際に1トライ1ゴールを返したが、あと一歩及ばなかった。【洪〓香、前田葵、野上哲】

 桐蔭学園フィフティーンの単独初優勝の夢が散った。前半、立て続けに2トライを奪われ、チームは大阪桐蔭の強力な攻撃に動揺を隠せなかった。だが前半22分、PR床田淳貴選手(2年)がゴール直前で右サイドを突き、花園で初トライを決めると、スタンドにいた床田選手の母真樹さん(55)は「2本のトライを取られながらよく耐え、落ち着いて返してくれた」とほほ笑んだ。

 勢いづいたチームは、PR鈴木康平選手(3年)が相手ディフェンスを引きずりながら縦に突破して左中間に同点のトライを決めた後、前半28分、敵陣20メートルのラックから素早く回してつなぎ、WTB佐々木隼選手(同)が左隅に勝ち越しのトライを決め、17-12で折り返した。計10人で応援に来た佐々木選手の父直(なお)さん(47)と母美香さん(44)は「やったー」と固く握手を交わし、最後まで勝利を信じた。

 だが後半7分、逆転トライされると、同17分にも大阪桐蔭の重量フォワードにドライビングモールで押し込まれ、引き離された。「まだいけるよ!」。スタンドは反撃の機を狙う選手たちを必死で鼓舞する。

 その期待に応えるかのように後半終了間際の28分、敵陣45メートルのラックからボールを左へ回し、SH小西泰聖主将(3年)がトライを決め、ゴールも成功して2点差に追いついた。「取り返そう!」「あきらめるな!」。応援席から声援が飛んだが、すでにロスタイム残り1分。プレーがとぎれたところでノーサイドの笛がむなしく響いた。

 SO津田貫汰選手(同)はわずか2点差の惜敗に「最初のゴールキックで大阪桐蔭のサポーターの声に動揺した。今までの試合はそんなことを気にせず集中できていたのに。キックの点差で試合が決まってしまった」と表情を曇らせた。トライゲッターの佐々木選手も「去年からずっと目指してきた舞台で勝ちきれなかった。(勝ち越しのトライを決めた際は)桐蔭らしいトライで点差も縮め、まだやってやるという気持ちだったが、勝たなければ意味がない」と涙ぐんだ。

 それでもスタンドからは堂々の準優勝に惜しみない歓声と拍手が送られた。小西主将、FL渡辺誠人選手(2年)らを指導した佐山幸治さん(49)は「よくやってくれた。小さい時からすごい選手たちだった。さらに次のステージに進んで、成長した姿で花園に帰ってきてほしい」と健闘をたたえた。

戦列離脱、チーム成長 SH・小西泰聖主将(3年)

 昨秋、右膝のけがなどで約2カ月間戦列を離れたSH小西泰聖主将(3年)。全国大会に向けた大事な時期に、「何をやっているんだろう」とひどく落ち込んでいたという。一方、チームは主将不在の中「日本一」の目標がぶれ始めていた。

 昨年10月、アルゼンチンで開かれた18歳以下のユース五輪で男子7人制ラグビー日本代表として出場し、銅メダル獲得に貢献。だが、そのとき右膝を傷めた。自分を五輪の舞台に送り出してくれたチームに経験で得たものを還元しようとしたのに……。

 母由理さんから「あなたの成長のために必要な時間を先生たちが与えてくれた」と励まされ、「試合に出られなくてもチームが花園で活躍できるならそれでいい」と数日で気持ちを切り替えた。「今できることをやるしかない。全力でけがを治す。間に合わなかったらサポートに徹する」と心に決めた。

 この主将の一時的な戦列離脱が結果的に選手たちの意識を変えた。3年生を中心に、どんな指導や意思疎通を図ればチームが一つになるかを考え始め、今大会では逆転される苦しい局面でも、選手同士が自ら助言し合い、冷静に判断して乗り越えてきた。小西主将は試合を終え「チームを離れた間、他の3年生が頑張ってチームを引っ張ってくれて、本当に感謝している」。悲願の初優勝は逃したが、大健闘したチームはまた一つ成長を遂げた。【洪〓香】

サポートに徹し

 ○…3日の準々決勝で相手にタックルしたときに肩甲骨を負傷したFL伊藤峻祐選手(3年)はけがのために戦列を外れた。藤原秀之監督から「うちのディフェンスリーダー」と信頼される期待の選手だけに悔しさをにじませた。それでも練習中、自分のポジションを託した選手らに、相手ボールのスクラムからボールが出た後の対応などをアドバイス。試合に出られない分、チームのサポートに徹していた。

最後までたたえ

 ○…「俺たちがついている。つらいときはスタンド見てくれよ」。スタンドからは約60人の部員がリズムに合わせて声援を届けた。関東勢の桐蔭学園にとって完全アウェーの花園。そのスタンドの最前列で応援団長・山本敏也さん(3年)=写真右端=が必死に声を張った。「主将の小西と副主将の今野に日本一の応援をすると約束した」。用意した応援歌は約20種類。大阪桐蔭応援団の勢いに押されながらも、トライを取れば全員で肩を組み、校歌でチームを盛り上げた。2点差でノーサイドを迎え、応援席にも悔しさがあふれたが「よくやった。ありがとう」と最後まで選手をたたえた。

桐蔭学園 反5

 3 1 0 0 17 1 1 0 0  7 24

 T G P D  前 T G P D  後  計

 2 1 0 0 12 2 2 0 0 14 26

大阪桐蔭 反6

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記事(提供:毎日新聞/2019/1/8 14:10)

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