第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会

あす開幕 巻きおこせ静岡聖光旋風 /静岡

 第98回全国高校ラグビーフットボール大会(毎日新聞社など主催)が27日に東大阪市花園ラグビー場で開幕する。3大会ぶり5回目の出場となる静岡聖光学院は学校の方針で練習は週3回、1日約60分に限られる。高成田光主将(3年)は「3年間積み上げてきたものを信じてベスト8を目指したい」と意気込む。初戦は28日午後0時40分キックオフで、宮崎県代表の高鍋と対戦する。【松岡大地】

「主体性」重視、自ら修正 28日初戦、宮崎の高鍋と対戦

 「試合中に指示を出すことはなくなり、選手も『何も言ってくれるな、自分たちで考える』とプライドがでてきた。うれしくもあり、少し寂しくもある」。2016年から指揮する佐々木陽平監督(41)はそう言いながら、グラウンドでプレーする選手たちを頼もしげに見つめた。

 「主体性」。今年のチームが掲げるスローガンだ。選手たちが試合のハーフタイム中も監督の指示を仰がず、自分たちで課題を見つけゲームプランを練る。県大会初戦の科学技術戦ではバックス(BK)を中心とした展開ラグビーを見せたかと思えば、浜松工との決勝戦ではフォワード(FW)の力で押し切り56-7で圧倒した。BKリーダーの小林大悟選手(3年)は「自分たちで試合中の課題を見つけ、修正もできる」と自信を見せる。

 選手たちに「主体性」を植え付けたのは、9月に静岡聖光学院で開いた「部活動サミット」が大きい。2年連続で花園出場を逃し、練習方法などに行き詰まりを感じていたFW風間悠平選手(3年)を中心に、短時間の練習で成果を出す全国のチームの練習方法を共有するサミットを発案。クラウドファンディングで参加チームの交通費など約120万円を集め、6チームが参加した。

 サミットで「一番参考になった」(風間選手)のは広島県立安芸南高校サッカー部の取り組み。同校は平日週2日の全体練習以外は各自の主体性に任せる。身の回りの整理、整頓、掃除に気を配る「3S活動」も実施し、選手たちに責任感を持たせる工夫を凝らし、強豪校へと成長した。

 3S活動を静岡聖光学院にも導入すると、選手たちがプレー中やグラウンド外でも周りに気を配るようになった。風間選手は「試合中にスペースを探したり、キックが苦手な選手はキック練習をするなど、『何となく』の練習が減った」と振り返る。佐々木監督も「短時間しか練習できないチームは主体性がないと勝てないし、面白くもないことに選手が気付いた」と話し、この頃から試合中に細かな指示は出さなくなったという。

 選手たちは練習の合間にミーティングを開き、「キックする前にフェイントを入れよう」「もっと圧力かけなきゃダメだ」と指摘し合う。かける時間もトライを決めた後の1分を想定して時間を計るなど、常に試合を想定している。

 練習時間が限られているからこそ、生まれた主体性あるチーム。静岡聖光学院フィフティーンが花園で旋風を巻き起こす。

佐々木陽平監督 成長の姿見せ恩返し

 2016年に監督に就任。過去2年は決勝で敗れたが、3度目の挑戦で監督として初めてとなる花園への切符を手にした。

 札幌市で生まれ育った。高校と大学でラグビーに明け暮れたが、専門の指導者に恵まれず、ルールを知らずに審判から試合中に反則を注意されることも。「ちゃんとした指導者がいたら、チームはどう変わるのだろう」。教員採用試験に合格し、北海道でラグビーの指導者になった。

 静岡聖光学院との出合いは30代の頃。知人に「良い練習をしているチームを見たい」と相談し、紹介された。実際に静岡を訪れ、同校ラグビー部の基礎を作った星野明宏副校長から渡された練習用DVDが、監督就任の大きなきっかけとなった。

 DVDには、独特の細かなルールやスキルなどが分かりやすくまとめられていた。当時監督をしていた日本最北端ラグビー部、羽幌高の練習に取り入れると選手はすぐに力をつけた。13年には同校を北北海道大会決勝に導いた。

 しかし、花園には届かず、14年に札幌市内の高校に異動。「結局、自分は何も成し遂げられなかった」。もやもやしていた時、気持ちを見透かした星野副校長から静岡聖光学院に誘われた。家族の理解もあり、15年に静岡へ移り住んだ。

 古里を離れて3年半。「もまれて過ごした」新天地で手にした花園には、北海道の知人も応援に駆けつける。「右も左も分からなかった自分を育ててくれた。花園で成長した姿を見せることが恩返しになる」

県大会の結果

 ▽2回戦

静岡聖光学院 86 48-3 3 科学技術

          38-0

 ▽準決勝

静岡聖光学院 57 19-0 0 東海大翔洋

 ▽決勝

静岡聖光学院 56 21-7 7 浜松工

          35-0

 監督・佐々木陽平(41)

  1 柴田紘輝(3)  165  85

  2 水野龍太郎(3) 177  95

  3 市川天翔(3)  178 100

  4 風間悠平(3)  181  85

  5 鈴木永政(3)  171  85

  6 山下功記(3)  178  86

  7 村上陽太郎(3) 170  78

  8 植田歩(3)   175  75

  9 山田悠登(3)  175  72

(10)高成田光(3)  167  65

 11 望月波琉(3)  171  65

 12 尾藤悠貴(3)  170  75

 13 小林大悟(3)  180  80

 14 吉田将真(3)  170  74

 15 望月琉夏(3)  172  75

 16 中根詩音(3)  175  98

 17 田中克英(3)  173  87

 18 吉野喜龍(3)  170  98

 19 大西響汰(2)  165 100

 20 大木大武(2)  166 110

 21 海野悠斗(2)  175  94

 22 斉藤未畝(2)  170  74

 23 飯山尚暉(2)  170  75

 24 橋本天佑(2)  175  80

 25 橋本伊織(3)  170  63

 26 平野史也(2)  168  66

 27 嶋田翔太朗(2) 168  71

 28 大西馨汰(2)  164  85

 29 那須一洋(2)  182  75

 30 高橋謙(1)   168  66

 ※登録番号順で()囲みは主将。左から氏名、学年、身長(センチ)、体重(キロ)

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記事(提供:毎日新聞/2018/12/26 11:55)

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