屋台人間人事前田 放送業界の明日を考える vol2

株式会社毎日放送 コンテンツビジネス局 コンテンツビジネス部長 中川 貴博
放送作家 白武ときお

放送局はネットで
ウケるコンテンツを
作れるのか?

5年後10年後の近い未来、放送やメディアの形はどうなっているのだろうか?

『屋台人間人事前田』は就活生が「放送業界で働いてみたい!」と思えるテレビの未来を探すため、毎日放送人事部の前田が自ら「屋台人間」となり、時代の最先端をいくキーマンの元へ話を聞きに行く出張屋台対談コンテンツです。

<この対談のポイント>
・違う業界から見た放送業界の「強み」と「弱み」がわかります
・就活生が具体的な夢を見つけるヒントとしてキーマンからのアドバイスがあります
・ESや面談の参考になるように「ホンネ」で語っています

今回、屋台人間人事前田が屋台を構えるのは、東京都港区にある毎日放送東京支社のラジオスタジオ。
同行するのはコンテンツビジネス部長として『TVer』や『MBS動画イズム』などのネットビジネスに携わる、中川貴博(なかがわたかひろ)。
対談するのは、テレビのみならず、『しもふりチューブ』や『ジュニア小籔フットのYouTube』といったYouTubeでも活躍する放送作家・白武ときおさん。「テレビ局はネットでウケるコンテンツを作れるのか?」をテーマに放送業界の未来を探ります。

▲白武さんが放送作家として携わる、霜降り明星のYotubeチャンネル「しもふりチューブ

それではスタートです!

本日のおしながき

対談の中で飛び出たキーワードを紹介いたします。
ひとつでも気になる話があれば是非ご覧ください。

Profile

放送作家
白武ときお(しらたけ・ときお)
1990年京都府生まれ。放送作家・YouTube作家。『しもふりチューブ』や『ジュニア小籔フットのYouTube』、『みんなのかが屋』など人気YouTubeチャンネルに携わりつつ、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 』『霜降り明星のあてみなげ』『霜降りミキXIT』といったテレビ番組を担当。今最も注目されている若手放送作家。
株式会社毎日放送 コンテンツビジネス局コンテンツビジネス部長
中川貴博(なかがわたかひろ)
経理志望で入社という異色の経歴ながら、『MBS動画イズム』を立ち上げたネットビジネスの牽引者。現在はMBS動画イズムやTVerにて、コンテンツ配信に携わる。テレビ番組から生まれるコンテンツやキャラクターを、テレビ以外のプラットフォームでの視聴やマネタイズに奔走中。

テレビ局は、これまで以上に付加価値をつけならなければならない

前田

前田

今日はYouTubeとテレビ両方で活躍されている放送作家の白武さんに、放送局の未来についてを一緒に考えてもらいたいなと思いお誘いしました。というのもここ数年MBSの若手制作者から「YouTubeをやりたい」という声はあがっているのですが、なかなか実現できていないんです。
白武

白武

2019年ごろから芸能人のYouTube参入が多くなりましたね。今年はロンブーさんや江頭2:50さんや東野幸治さんなど大物芸能人もたくさん開設されて、今後も増えていくでしょうね。
中川

中川

それこそ、白武さんが担当している霜降り明星さんやかが屋さんといった、YouTubeでも活躍している若手芸人に感化された影響もあるんだと思います。
前田

前田

昨年から芸人が次々にYouTubeに出るようになりましたが、皆さんどんな理由で進出しているんですか?
白武

白武

そうですね。みなさんそうだと思いますけど、演者さんが自分の頭の中にある「面白いこと」や「個人的なこと」を見せたいけどできる場所がなかったりするので、発信する場の一つとしてチャンネルを持っていたいということじゃないですかね。
あとは芸人じゃなくても、小嶋陽菜さんや川口春奈さん、佐藤健さんといった方がYouTubeでプライベート映像を出しています。バラエティでメイン級の引っ張りになるようなVTRですよね。でもYouTubeは編集権が自分にあるので、好きなタイミングで、しかも自分の好きなように見せられる。自分のチャンネルだったら、普段は見せない一面も出せたりしますよね。
中川

中川

タレントの中でも、カジサックさんのYouTube進出はかなり早かったですね。
白武

白武

そうですね。2018年の10月です。それまでは「芸能人なのにYouTuberに再生回数が負けている」「芸能人がYouTuberの真似事している」ということで、YouTube進出がダサいという空気感がありました。そこをカジサックさんが打破してくれたので、今はもう皆さんSNSを始めるくらいの感覚でYouTubeを始めていますね。
前田

前田

たしかにYouTubeのチャンネル開設って、以前はハードル高かったですよね。SNSっぽい感じですか。なるほどです。
中川

中川

タレントの皆さんが直接チャンネルを持ち始めて、演者主導のYouTubeで面白いことができる時代になったので、我々はこれまで以上に「テレビ局しかできないことって何だろう」「我々の強みを生かしたコンテンツって何だろう」と日々模索しています。ちなみにテレビとYouTube、どちらも担当している白武さんからみて、今のテレビの強みってどういうところですか?
白武

白武

そうですね。まず仕組みに関しては、つければ番組が流れていて、その選択肢が6チャンネルくらいに絞られているのが強みですよね。偶然、見てもらえるチャンスが多い。実はYouTubeのように見たいものだけを見るシステムには不便さもあるんですよね。
前田

前田

不便さ? どういうことですか?
白武

白武

見たいものを見るには最初の「きっかけ」が必要になるじゃないですか。YouTubeのチャンネルは視聴者が能動的に検索して探しにいかないと見てもらえないので、話題を集めないと見にきてもらえないんです。いかにクリックさせるかもありますね。テレビももちろんそういう面がありますが、チャンネル数と番組数が圧倒的に絞られています。生放送なんかは特にそうですが、たくさんの人が同じ時間に同じものを見るというのはテレビの強みですよね。
中川

中川

テレビは「メディアでいたい」という思いが強いので、そこをずっと意識してきましたし、できるだけたくさんの人に無料で届けられるのは確かに強みです。でもテレビに「どこにでも流れますよ」という強みしかなかったら、今後すごくキツくなってくるだろうなと思います。そう戒めながら、さらなる強みをみつけ、磨いていきたいんです。
白武

白武

そうですよね。YouTubeって現状は人にファンがついていますが、これが芸能人の座組みや「番組単位」でチャンネルが成立し始めたら、YouTubeの中にテレビ番組のようなものがたくさんできるようになると思います。テレビ局がネット配信している『TVer』も今は、オリジナルコンテンツがなく、アーカイブも1〜2週間しか残らないですが、今後もっと進化していきそうですよね。ちなみに配信からオリジナルコンテンツを作る動きはあったりするんですか?
前田

前田

放送で1度流しているという意味では、TVerやMBS動画イズムのオリジナルコンテンツではないですよね。中川さんはTVerやMBS動画イズムへの配信をしている部署ですが、そこはいかがですか?
中川

中川

TVerにはまだ本当のオリジナルコンテンツがなく、あったとしてもオンエアしている番組のスピンオフしかやれない状況ですね。ここには私も危機感を感じています。
前田

前田

危機感を感じているのに、オリジナルコンテンツを作れていないというのは、何か理由がありますよね。
白武

白武

TVerのルールがあるのかなーと思ってました。
中川

中川

ルールというのは特にないですが、今はテレビの見逃し配信を1番プレミアムなことだと位置付けているんですよね。
白武

白武

なるほど。Netflixはオリジナルが強いから凄いですよね。話題作が見たいから入ったら『ストレンジャー・シングス』『ノット・オーケー』『梨泰院クラス』などにハマってビンジウォッチング、シリーズ丸ごと一気見してしまう。日本のメディアで言うと、FOD(※フジテレビが運営する動画配信サービス)は配信オリジナルの番組をたくさんやっていて、それをあとからテレビでオンエアするということをやっていますよね。
前田

前田

まずテレビじゃなくて、ネットから配信するんですね。そうすると、どうなるんですかね?
白武

白武

テレビが制作するコンテンツって面白いものがたくさんあるじゃないですか。もしTVerにオリジナルコンテンツがあって、そこで最初に配信されたら、皆TVerに集中するだろうなと思うんですよね。例えば『週刊少年ジャンプ』であれば週刊誌と、単行本、アニメ、といった具合に3回楽しめますよね。TVerでも同じことはやれると思うんです。オジリナルでまず流して、TV局、YouTubeという流れが作れれば、いろんなポイントで接触が図れるんじゃないかなと。
中川

中川

そうなんですよ! 断言はできませんが、今年来年でそういう流れを作りたいと思っています。MBSでは、まずMBS動画イズムで流して、そのあとTVやTVerという風にしていきたい。もちろんそのお金はペイしなければならないので、それには配信でマネタイズできるような強いコンテンツが必要になってきます。おそらくMBSだけじゃなくて、TVer全体がそうなってくると思います。
白武

白武

そうなると、また流れが変わると思うんですよね。
前田

前田

我々にはまだまだやれていないことがたくさんありますね。

視聴率では測れない“ネットでウケる番組”

白武

白武

お金の話でいうと、TVerやMBS動画イズムといった配信って、マネタイズできているんですか?
中川

中川

番組のサイズ感にもよるのですが、お金を使う番組に関しては、配信だけでマネタイズするのはまだ難しいですね。ただ、広告市場も大きくなってきていて、そこまでお金を使わず、週の再生回数が10万回を超えてくるものについては、ペイできるようになってきています。
白武

白武

え、10万再生でですか? YouTubeだとその再生回数ではマネタイズとしては厳しいんじゃないですかね。YouTubeよりもTVerのほうが1再生あたりの収入がかなり多そうですね。
中川

中川

数字はいえないんですけど、TVerの方がかなり収入は大きいですよ。そういう意味で我々はYouTubeよりもTVerを大事にせざるをえないですね。系列を越えて全ての放送局が協力してTVerはおもしろいものにしていきます。
前田

前田

TVerを育てるという点で全局が力を合わせるんですね。今までなかった発想です。
白武

白武

すごくおもしろくなりそうですね。ちなみ今はどんなコンテンツが人気なんですか?
中川

中川

毎週送られてくる数字をチェックしているのですが、やはりドラマは強いですね。ここはTVer始まって以来の流れです。最近の傾向でいうとバラエティが伸びてきています。テレビ朝日の『ロンドンハーツ』やABCテレビの『相席食堂』はかなり再生されていて、テレビの視聴率よりもTVerでの視聴回数に鮮明に差が出ていますね。特に千鳥さんの人気が際立っていて、相席食堂に限らず、他の番組もランクインしている。
白武

白武

私もランキングをよく見るんですけど、よく千鳥さんやマツコさんのような視聴者から信頼されているタレントのパワーが大きそうだなと思いました。
中川

中川

そうですね。タレントについている数字と、サムネイルと呼ばれる最初の静止画が魅力的かどうかはかなり再生数に影響してきます。これはYouTubeでも言われていることですね。
前田

前田

それにしてもこのランキングに関西ローカルの相席食堂が入ってくるのすごいですね。放送されていないエリアの人も見に来ているってことですよね。
中川

中川

そうですね、相席食堂でいうとフォーマットが面白いですよね。千鳥さんが表に出ず、人のロケを見て、それにツッコむという見たことない座組みだからこそやれることが多い。忙しいタレントでも何本かまとめて撮れるよね、と仕組み作りの点でもすごいなと思います。
白武

白武

MBSの皆さん朝日放送さんのこと褒めてばかりなので、私が少しフォローさせていただくと、ノブさんがVTRを見て突っ込む面白さっていうのはMBSさんの「アゲぽよTV」で見ていて、その当時も際立っていましたね。
前田

前田

白武さん。お気遣いありがとうございます。テレビの未来の話ですから、自由に話していただいて大丈夫ですよ。
白武

白武

そうなんですね。では自由に喋らせていただくと水曜日のダウンタウンや相席食堂など、面白いと信頼しているスタジオメンバーと一緒に「このVTRを見ている」という身近感がいいのかもしれないですね。スタジオのダウンタウンさんや千鳥さんが側でコメントしている感覚というか。
前田

前田

あの「ちょっと待てぃ」はやりたいですもんね(笑)。VTR止める仕組みはすごい発明ですよね。そもそもテレビで見てもおもしろければ、当然ネットでもみてもらえるっていうことですよね。あとは、放送されていないエリアがあれば、そのエリアの人はTVerでしかみれないわけで、そこが逆に強みになる可能性はありますよね。
中川

中川

あの番組は関西ローカルということもあり、全国で放映されていなかったんですが、TVerで見られるようになってから、ネットで若い世代に広まっていきました。電波の制約を取っ払って、「これ面白くない?」と外に出るようになったんですよね。
白武

白武

YouTubeのような広がり方で面白いですね。関西ローカルであるMBSが成功モデルにしなければならないのはこの相席食堂なのかもしれませんね。
中川

中川

そうなんです。そのため我々は「テレビ局だ!」というプライドを捨ててでも、テレビ以外の領域でコンテンツメーカーになろうという覚悟があります。今MBSでは、様々なチャレンジをしていまして、昨年はTVerの数字を意識して、ドラマの枠を一つ増やしました。今はまだテレビ発ですが、今後はMBS動画イズムやNetflixでまず出して、そのあと地上波、そして切り出しや補完するものをYouTubeにあげる、ということを考えています。
白武

白武

さきほどおっしゃっていたお話ですね。Netflixも視野に入れてるんですね。
中川

中川

そうですね。また、バラエティでも配信を意識した動きをしていて、今年から元々1時間だった放送枠を、2つの30分番組に分けて、番組の数を増やしてみました。チャレンジ枠を増やしていて、ディレクターたちにはTVerで「相席食堂より上に行ってくれ」ということを伝えています(笑)。
白武

白武

配信だとスマホで1時間見続けるのが大変なので、30分の枠組みはいいですね。
前田

前田

民間放送局の弱点は枠の少なさなだと思います。ABEMAとかNetflixとかすごい数のコンテンツがありますよね。民放は24時間のタイムテーブルの中でしか番組作れないので、番組の数には限界があります。30分にすると1時間で2つのコンテンツができるんですね。2つにすると制作費がかかったり、視聴率的に不利になるとは言われていましたが、それでもチャレンジするようになっているんですね。
中川

中川

はい。そこまでしてでも若い人におもしろいって思ってもらえるようなコンテンツを試したいのが我々の気持ちですし、一つの番組を放送と配信、2つのビジネスで支えていきましょうと取り組んでいます。いずれはNetflixのようなプラットフォームにも流していきたいと考えています。若いディレクターたちにとっても、チャンスが増えていいんじゃないかなと。
白武

白武

配信を狙ったコンテンツは理解できたんですが、テレビはメインとして視聴率を指標にしていますよね。配信での再生数やネットでの反応は、どれくらい番組の評価に繋がるんですか?
中川

中川

そうですね。編成局や我々のコンテンツビジネス局は最近そこをすごく意識していて、視聴率だけじゃないところでも、視聴者の心をちゃんと捉えているかということは評価されるようになってきているんです。たとえば、TVerでの再生数や、どの世代のどの性別がみているかなどの視聴属性も、番組の評価の対象になっています。数年前ではみられない変化です。

コンテンツ作りで一番大事なのは「作り手の体重が乗っているか」

前田

前田

白武さんが放送作家として活動している中で、テレビ局が若い放送作家やディレクターの才能を育てているという感覚はありますか?
白武

白武

とあるキー局の話ですが、以前にも増して、トライアルの空気感がすごくて、どんどん若手ディレクターや若手作家に枠を預けて、チャレンジしています。
中川

中川

トライアルの空気感は我々も大事にしているところではあるのですが、具体的には、どんな感じなんですか?
白武

白武

社屋のどこかでいつも誰かが企画会議をしているっていう感じですかね。月200本の企画が集まって、そのうち4、5本が番組化されているんじゃないでしょうか。
中川

中川

え、そんなに? 制作費すごいかかりますよね。1本いくらぐらいですかね。
白武

白武

1本◎◎万円(非公表)ぐらいだと思いますよ。
中川

中川

それぐらいなんですか?!MBSと変わらないですね。月4本は無理だけど、毎月1本だったら、頑張ったらできると思う。
前田

前田

それは若手制作者も喜びますよ。
白武

白武

トライアルが多いと、「このディレクターはこういうこと向いてるんだ」、「このチームだったらこういうことができそうだな」とかがわかりますよね。テレビ東京の『ハードボイルドグルメリポート』ではディレクターのカミデ(上出遼平)さんも、元々は違う番組で海外の危険な地域でも物怖じせずにロケしていて、カミデさんならできるだろうということで始まっています。それがすごいと評価されてNetflixでも人気コンテンツになりました。そういうことがあるので、チャンスを与えたり、トライアルをしたりするのはとても大事なのかなと思います。
中川

中川

そうですね…。白武さんの話を聞いていて、配信ならではのコンテンツやテレビの枠を作らなければならないと痛感しました。若手を失うと、テレビの未来を失う可能性があるので、とても危機感があります。よし、今後私がすべきことは、若手がトライアルできる場所を作ることですね。
白武

白武

そうですね! チャンスがなければ才能あるディレクターは個人でYouTubeを始めてしまうでしょうから。
中川

中川

でもネット配信やYouTubeだけでも食べていける作家やディレクターが、テレビ局に留まっているのはなぜなんですか?
白武

白武

まだまだ過渡期なので。どうなるかわからないから、私なんかは節操なく、テレビ、ラジオ、YouTube、ネットテレビ、ローカル局、雑誌…なんでもやってますね。やっぱりテレビの利点を生かした企画もあると思うので。あと、テレビ局の制作力は凄いですよね。見やすさやコンテンツ作りの丁寧さ、クオリティはYouTubeだとなかなか出せないですね。
前田

前田

上手くネットに合わせながら、テレビ局が持っている強みを活かすことで、視聴者に「テレビってこんなにクオリティが高くて、面白いんだ」と思ってもらいたいですね。
中川

中川

白武さんはYouTubeやテレビの枠にとらわれず、面白いコンテンツを作っている中で、どういう風にインプットしているんですか? テレビには視聴率がありますが、やはりTwitterのトレンドをチェックしていたりするんですか?
白武

白武

Twitterは四六時中見てしまいますね。企画書に書くことがないので、Twitterのトレンドでどうこうと書くことはありますが、日本人のアクティブユーザーが多く、世界のトレンドがとりやすいので参考程度に見てますね。
また、Twitterもそうですが、もっと大事にしているのは信頼している友達が教えてくれるものですかね。「Netflixでこれを見た?」「YouTubeのこれ見て!」と私にシェアするまで気持ちを動かされたものは必ず見るようにしています。あとはYouTubeの急上昇を毎日見ますね。
前田

前田

もう一つ聞きたいのが、白武さんが手がけるYouTubeのようにネットでウケるチャンネルを作るためには何が必要ですか?
白武

白武

そうですね、実際に作るときに一番大事なのは「体重がどのぐらい乗っているか」ですね。タレントがノリノリでできないことだったらどんなに企画が面白くてもやりません。
前田

前田

それはテレビと同じですね。私達が昔から言っているのは「演者の熱がないとアカン」ということです。じゃあ全ての番組が熱をもっているかというと中々そうはうまくいかなくて。演出が上手い方は、出演者の皆さんに熱をもたせるのが上手な人なんだと思います。
白武

白武

そうですね。例えば『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』は松本(人志)さんが企画されているので体重が乗っかっているなと思います。『しもふりチューブ』でも霜降り明星の二人がやりたいことを動画にしています。熱量は見ている人に見透かされてしまうので。
前田

前田

タレントの熱もそうですけど、制作者の熱も大事ですよね。ディレクターであったり、作家さんであったり。お金のためにやっているような番組とか、プロデューサーに言われたとおりやる番組だと、熱はなくなりますね。
中川

中川

我々の場合はまず枠ありきなので、まずは若手の作家やディレクターがトライアルできる枠を作って、彼らに演者さんたちが体重をかけたくなるような企画を作ってもらうということが大事なんでしょうね。

もしMBSの社員だったら何をする?

前田

前田

白武さんがもしMBSの社員だったら、どんなことをしたいですか?
白武

白武

そうですね、『ディスカバリーチャンネル』のような、ノンバーバルで世界中で見られるコンテンツを作りたいですね。
中川

中川

えぇ! バラエティじゃないのがとても意外です。
白武

白武

『ディスカバリーチャンネル』で言うと「エド」や「ベア」などの冒険家の記録が好きです。日本で言うと、ナスDさん(友寄 隆英さん、テレビ朝日プロデューサー)の『陸海空 地球征服するなんて』や『ハードボイルドグルメリポート』『クレイジージャーニー』のような言語を超える凄さがある映像を見てしまいますね。
究極を言えば、すごいサバイバーが一人いて、GoProと旅費さえあればそれで成立する。世界中で見られる「サバイバー×企画」がある番組をやってみたいですね。
前田

前田

なるほどなあ、面白そうですね。若者向けのコンテンツを増やすためには、私たちのようなおじさんはできる限り、挑戦したいと思っている若者がチャレンジできる場所を作らないといけないんでしょうね。
中川

中川

色々言いたくなるけど、やりたいって言っていることに口出ししないっていうのが私の仕事かもしれませんね。白武さん、月に1本、オリジナルの番組を作る予算をがんばって集めてくるので、その時は一緒にコンテンツを作りましょう。
白武

白武

本当ですか!ぜひ!お願いします。

テレビ局がネットの映像コンテンツに勝つためには、仕組みとコンテンツ、両方を磨く必要がある

YouTubeやNetflix、ABEMAに代表される、ネット発の映像コンテンツ。
ネットの広告費がテレビを越えた今、放送局がネットに進出するのは自然な流れです。
その中で今後放送局が戦っていくために大事なのは、若手の才能をキャッチアップし、トライアルしていくこと、そして、制作力の強さを生かし配信やネットにも力を入れていくこと。この仕組みとコンテンツ、両方が必要になってくるのではないでしょうか。
特に配信を上手く活かすことが必要なローカル局MBSならではの解決作が生まれてくるのではないかと思いました。

屋台人間人事前田は、才能溢れる放送作家に触れ、「放送業界に携わる若者の未来を大事にしなければならない」と密かに情熱を燃やしていました。

文 :高山諒
写真:西田周平
編集:人間編集部

企画・制作:株式会社人間

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