MBS 毎日放送

プレバト!!




名人・特待生だけのタイトル戦<第2回・俳桜戦>結果発表

第1位
東国原英夫 名人6段
「花震ふ富士山火山性微動 」
[作者意図]
富士山は霊山・活火山で、何百年に1回噴火している。それを護っているのが浅間神社で、祀られているのが木花之佐久夜毘売命(このはなさくやひめのみこと)、この「佐久夜」が「さくら」になった。桜が富士山と住民たちを護っている、その桜が「もうすぐ富士山が爆発するかもよ」と火山性の微動で教えてくれている…という一句。
[講評]
「花」と「富士山」の取り合わせは、かなりベタだが、こういう描き方をすると意外性が出てくることにまず驚く。上五で桜の花が「風に震えている」と思う。そこへ「富士山」が出てきて、最後に「火山性微動」とくる。ここで最初の「震ふ」は風ではなくて「火山の微動で揺れているのかも」と皮膚で感じる。詩になりにくい科学の言葉を詩にすることによって「桜」の美しさと、その背後にある恐ろしさを一緒に表現している。
第2位
梅沢富美男 名人9段
「空のあお富士の蒼へと飛花落花 」
[作者意図]
(お題の写真を)見た通りですよ。真っ青な空、富士山も青い、そこに桜の花びらが飛んでいく、落花する、花吹雪がたくさん。こんな素直な句がありますか?誰が読んでも納得するでしょう。
[講評]
兼題の写真を忠実に描こうとしている正統派の作品だ。「空のあお」は春のやわらかな水色の「あお」。そこに「富士の蒼」、これは硬質のちょっと冷たそうな「蒼」。遠近感と色彩の違いを一字の書き分けでさらりと言ってしまう。さらに、「へと」で空と富士への方向を表し、何が動いていくのか…と思わせたところで「飛花落花」という季語が出てくる。光と動きで季語の艶やかさが一句を覆う。俳句のメカニズムを分かっている人が作る王道の俳句だ。
第3位
千賀健永(Kis-My-Ft2) 特待生1級
「乙女座のスピカ流るる花吹雪 」
[作者意図]
発想を飛ばし夜空をイメージした。春の季語「乙女座」の中に「スピカ」という一等星がある。それが「真珠星」と呼ばれるぐらいきれいな星で、花吹雪が舞っている中に、スピカが泳いでいるように見える、という句。
[講評]
美しい言葉を取り合わせた美しい句だ。あの写真から夜を想像できるとは。このままでも鑑賞できるが、「流るる」の位置がちょっと悩ましい。スピカが流れ星になるかのように読んでしまうが、流れているのは「花吹雪」なので強調して映像を2カットにすると、強弱・遠近感が出てさらに映像化される。ここはあえて一音字余りに。「スピカよ」「花吹雪流るよ」と韻を踏んで繰り返すことでリズムも生まれる。
[添削例]
「乙女座のスピカよ花吹雪流るよ」
第4位
三遊亭円楽 特待生2級
「銭湯で花見の日取り決まりけり」
[作者意図]
下町の社交場は銭湯で。富士山がうしろに描いてあって、町内の連中が「咲いたねぇ」「飲みに行く?」なんて話している。そこにいた町内の頭が「俺も行くよ」と言うと、その背中に桜吹雪がある…といったイメージで、町内がこの季節わいわい浮かれている様を詠んだ。
[講評]
こういう俗な場面を切り取らせたら本当に上手い。兼題の写真のお風呂場のイメージから、本当の花見に行くところまでの発想もよい。ただ「銭湯で」の「で」が散文的でもったいない。「で」を動詞につなげて散文臭さを薄め、「花見」を主役として前に押し出す。強い詠嘆の「かな」で「いつ行くねぇ」という賑やかな声が聞こえてくる。
[添削例]
「銭湯で決まる花見の日取りかな」
第5位
横尾渉(Kis-My-Ft2) 名人2段
「もの思うこと忘れおり花衣」
[作者意図]
新生活ではやらなきゃいけないことがあるが、友達からの誘いで花見に行く、晴れ着を着ていかなきゃ、そればかり考えて、やらなきゃいけないことをすべて忘れて…みたいな春の状況を詠んだ。
[講評]
字面から「めんめんと憂うることを忘れるぐらい美しい花衣(花見に行くときの晴れ着)」と読んだが、作者の意図は違った。自分がやらないといけないことを「忘れ」て花衣に「うっとり」している感じと、ハッとして「やらなきゃ」という2つの思いを入れたいとのことなので、とても難しいが、例えば「現実」と「夢心地」という相反した意味を持つ「うつつ」を使う。これで現実と夢との合間で揺れる作者の気持ちも出てくる。
[添削例]
「やるべきを忘れ花衣のうつつ」
第6位
藤本敏史(FUJIWARA) 名人8段
「肉食のフェンスの施錠山ざくら」
[作者意図]
サファリパークに行って車で肉食動物のエリアに入るとき、開閉するフェンスをくぐりながら「トラとかライオン出てくるんちゃうか?」と、妙にめちゃめちゃ緊張する。そんな時、山桜が目に入って緊張がちょっとほぐれた…という状況を詠んだ。
[講評]
あの写真からサファリパークに発想を飛ばし、フェンスや鍵に焦点を持っていくあたりはさすが名人だ。「フェンスの施錠」という硬いものに、「山ざくら」という季語をひらがなで柔らかく取り合わせたのは素晴らしい。問題はたった一つ。なぜ一言「獣」と入れないのか。「肉食」は「肉食動物」を短く言う言葉だが、最近は「肉食女子」など新しい使われ方も出てきた。五七五に収めたいのは分かるが、読み手を迷わすことがあれば、字余りのプラスマイナスはよく考えないと。もったいない。
[添削例]
「肉食獣のフェンスの施錠山ざくら」
第7位
中田喜子 特待生2級
「逆さ富士に目桜鱒天めがけ」
[作者意図]
水面に映っている逆さ富士を見ていると、突然魚の目が出てきた。はっと思っていたら桜鱒が勢いよくジャンプした…という情景を詠んだ。
[講評]
発想は上位に食い込めるほど素晴らしい。行き過ぎたのはまず「に目」という表現。作者からある程度の距離がある「逆さ富士」に「に目」では読み手はキョトンとしてしまう。ここはその映像をきちんと動詞で書くべき。「天めがけ」という擬人化もやや大げさ。「逆さ富士」のあとに、水面がかすかに揺れる「ゆらぐや」と置き、「なんで揺らいだ?」と思った瞬間に桜鱒が跳ねる。映像化することが大事。
[添削例]
「逆さ富士ゆらぐや桜鱒跳ねる」
第8位
千原ジュニア 特待生4級
「噺家が魅する桜と富士の山」
[作者意図]
花見のシーンが出てくる落語の演目「100年目」を、寄席で語る落語家の姿をイメージした。江戸時代の客は皆、隅田川で花見をしているような気分になって、たぶん川の向こうに富士山が見えたんだろうなぁ…というぐらいの落語家の話術のすごさを詠んだ。
[講評]
あの写真から「噺家・落語」を引き寄せるのはとても良い発想だ。「噺家が」をより具体的な人名にすると声まで聞こえてくる。また、「魅する」という説明の言葉にかえて噺家の動作・状況がわかる動詞の「語る」を用いると、映像がはっきりと出る。さらに、「空」を加えることで「虚構の桜」が本物の映像になる。
[添削例]
「米朝の語る桜と富士と空」
第8位
松岡充 特待生5級
「啓蟄や花びらも食べ空も食べ」
[作者意図]
今まさに花開かんとする挑戦者・若い世代・チャレンジャーを「啓蟄」に例えた。「啓蟄」「花」で季重なりだが、わざとやった。伝統に裏打ちされた桜も食べてしまう。乗り越えてしまう。さらに富士山の上にある日本も越えて世界まで手を伸ばしてしまうような若き才能のことを詠んだ。
[講評]
春の季語「啓蟄」とは、暖かさに誘われて穴から出る「虫」のことではなく、虫が穴から出る「頃」 のこと。なので、若い「人」を比喩するには無理がある。作者の意図に持っていくなら「啓蟄」はあきらめたほうがよい。「空を食べ」で虫や鳥ではない何かを比喩しているんだな…と思わせて、若い人たちが「未来へ」向かって頑張るイメージをハッキリと最後に持ってくる。
[添削例]
「花びらを食べ空を食べ未来へと」

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