酷暑が続く中、注意が必要なのが「ゲリラ豪雨」や「落雷」。今年4月には、奈良県の学校のグラウンドで部活動の練習をしていた生徒らを雷が襲い、6人が病院に搬送されるなど、痛ましい事故も相次いでいます。

 この先も大気の状態が不安定になる日がありそうですが、雷から「命」を守るために必要な行動は?雷が発生するメカニズムと合わせて、前田智宏気象予報士が解説します。

夏に落雷が多いワケとは

 夏に急増する落雷被害。今年4月には、奈良市の帝塚山学園のグラウンドでサッカー部の練習中に雷が落ち、中高生6人が病院に搬送されました。

 さらに、落雷による停電も各地で起きています。関西電力送配電によりますと7月2日、滋賀県大津市などで雷により約5000軒に停電被害があったということです。

 落雷は”暑さ”が引き金になって起こり、特に午後・夕方に多いのですが、それはなぜなのでしょうか?

 落雷発生のメカニズムはこうです。暑さによって地表が暖められると、地面付近の空気が暖まり、その暖かい空気は軽いため上空へと持ち上がり雲が成長します。その後、入道雲が沸き立つと雲の中に水の粒だけでなく氷の粒も発生します。その氷の粒のぶつかり合いで生まれた静電気が蓄えきれなくなったときに、放電して地面に落ちてくると「落雷」という現象になります。

 雷は高いところに落ちやすい性質がありますが、開けている場所などでは高いところでなくても落雷することはあり得ます。

雷が近づいたら…どんな行動をとればいい?

 落雷から身を守るために必要な対策は3つあります。

 (1)建物や車の中に避難する
 (2)高い物の近くに逃げ、できる限り身を低くする ※少なくとも4m離れ近づきすぎない(近すぎると高い所に落ちた雷が人に飛び移るおそれがあるため)
 (3)最終手段は“雷しゃがみ”
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 しゃがむときの体勢としては両足を揃えてくっつけることが大切です。理由は足を開いていると、もし自分の近くの地面などに落雷したときに電流が体内をめぐってしまうおそれがあるため。流れる電流がなるべく足の部分のみで済むよう、足をくっつけてほしいのです。

 また、体内に流れる電流を少なくするもう1つのポイントとして、かかとを上げて地面と接する面積をできる限り少なくし、身を小さくしましょう。雷の音で鼓膜が破れてしまうのを防ぐため、耳を塞ぐことも大切です。

 しかしあくまでも“雷しゃがみ”は最終手段。どうしても逃げ込む場所がないときに雷をやり過ごす方法として活用してください。

 酷暑だけでなく突然の雷雨にも注意して、この夏を過ごしましょう。