7月20日に投開票が行われる参院選で、改選3議席に対して13人が立候補している兵庫選挙区。兵庫県では去年秋の知事選でSNSが結果に大きく影響。今回の候補者たちも積極的にSNSを活用しています。中盤情勢分析

動画編集を見すえて演説を構成 「切り抜き」対策も

兵庫選挙区では各候補者、そして各政党がSNSの活用を意識し、様々な取り組みを行っていました。

『SNSと選挙』をテーマに取材しわかったことは、候補者側の視点として、変わらないことは「SNSは街頭演説の補完」であるということ。

兵庫選挙区の取材を担当している、MBS木村圭佑記者は「あくまで一番大切にすることは、直接有権者と会って、直接自分の思いや政策を伝えること。これを絶対に大事にしたい、一番最初にメインに持っていきたい。その中で伝えられなかったことであるとか、どうしても会うことができない人に向けての発信としてSNSを使用するというふうに言っていた」といいます。

一方で変わったことは「動画編集対策」。木村記者によると、これは2つに分けられ、まず1つ目は自分の陣営で編集がしやすいように、演説のときにテーマごとに区切って、各パートごとにしっかりと結論付けるということ。

2つ目は「悪意のある切り抜き」への対策。何かフレーズを伝えるときに、前後の文脈がないと誤解されるような強い言葉などは、あえて演説では発言しないようにする。どう切り取られても大丈夫なよう、あらかじめ何を喋るかを決めてから演説をするという対策をしている候補者もいました。

「従来はテレビや新聞はピタッと報道を止めた。だからみんなSNSに流れた」

ジャーナリストの立岩陽一郎氏は、ファクトチェックについて「私が2017年にファクトチェックをやり始めたときは、代表や候補者が話す内容やテレビで喋る話をチェックしていたが、SNSは対象ではなかった」としたうえで、「現在は明らかにSNSをファクトチェックの対象にしないと、ものすごく情報が拡散するという状況ですから、そこは大きく変わった」と話しました。

続けて「一つ留意しないといけないのは、兵庫県知事選挙が大きな転換点になったことは間違いないです。それはなぜか。テレビと新聞が何もやらなかったから。従来は選挙期間が始まったら、テレビや新聞はピタッと報道を止めたんですよね。だからみんなSNSに流れたんです。そうではなくて、テレビも新聞もやるんだということになれば、SNSで突出して色々な情報が出ていた状況がある意味で緩和されてくる。私は今の状況は好ましいと思う」「SNSを敵視して問題視するんではなくて、新聞やテレビもちゃんと報道して、そこでSNSでの情報の検証もしていくべき」と話しました。

MBSの大八木友之解説委員は「去年11月の兵庫県知事選が非常にエポックメイキングだった、今回の参院選については、他のテレビ局も含め、かなりの量の報道を行っています。皆さんの投票行動に資するようにやっていければ。少しずつ変えていこうとしています」と話しました。

改選数3の兵庫選挙区 中盤情勢は?

7月20日投開票の参院選をめぐり、JNNでは7月12日と13日にインターネット調査を行い、取材を加味して中盤の情勢を分析しました。

兵庫選挙区は改選数3を13人で争っていますが、無所属・新人の泉氏が大きくリード。その後を追って、▽自民・現職の加田氏、▽公明・現職の高橋氏、▽参政・新人の藤原氏、▽国民・新人の多田氏、▽維新・新人の吉平氏が激しく競り合っています。N党の立花氏は苦しい展開となっています。

兵庫選挙区には告示日以降、各党のトップ級が相次いで応援演説に入っていて、“重点選挙区”となっています。

この中盤情勢調査では、3割の人がまだ投票先を決めていないと回答していて、今後情勢が大きく変わる可能性もあります。

「よんチャンTV」では18日に投開票日直前スペシャルを放送

MBSでは7月18日(金)の午後3時40分から午後7時まで約3時間にわたり、「よんチャンTV×選挙の日 関西人のホンネとギモン 投開票日直前スペシャル」と題し、参院選事前特番を放送します。