生活保護の基準額を引き下げた国の判断に、大阪高裁が違法性を認めました。

 この裁判は、京都市に住む32人の生活保護受給者が国と京都市を訴えていたもので、2013年から2015年にかけて、国が物価の下落などを理由に生活保護の基準額を最大で1割引き下げたことは「生存権」を保証する憲法などに違反するとして、引き下げの取り消しと賠償を求めていました。

 2021年に1審の京都地裁は「厚生労働大臣の判断に誤りや裁量権の濫用などがあるとはいえず引き下げは違法ではない」として訴えを棄却、原告側が控訴していました。

 そして13日、2審の大阪高裁は「基準額を引き下げると保護受給世帯は実質的な購買力を維持できない」と指摘。「厚生労働大臣の最低限度の生活の具体化に係る判断の過程に過誤があり違法だ」として国に引き下げの取り消しを命じました。

 会見した原告の一人は「1か月の生活保護が1万円程度引かれている実態でした」と話し、逆転勝訴に喜びを見せました。

同様の裁判をめぐり、訴えを認めた高裁判決は全国で3例目です。

 厚生労働省は「平成25年から3年間かけて実施した生活扶助基準の改定に関して、本日、大阪高裁で判決があり、適法であると認められなかったものと承知している。今回の判決内容の詳細を精査し、関係省庁や自治体と協議した上、今後適切に対応したいと考えている」とコメントしています。

 京都市は「国と協議しながら行ってきた本市の主張が認められなかった。判決文を精査し、今度の対応について国と協議しつつ検討してまいりたい」とコメントしています。