WBCでも活躍した西武ライオンズの山川穂高選手(31)が、知人の女性(当時20代)に強制性交した疑いで書類送検されました。山川選手は「合意があった」と容疑を否認している模様ですが、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は「合意があったというのは性交に関することなのか、あるいはホテルに入ることすら合意してなかったのか」がポイントとしています。(2023年5月23日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

――プロ野球「埼玉西武ライオンズ」でWBC優勝メンバーでもあります山川穂高選手(31)。2014年に入団、豪快なスイングが持ち味でホームラン王3回、打点王1回、「どすこいポーズ」で球場がすごく盛り上がるという、実力も人気も兼ね備えた選手です。オールスターファン投票の中間発表も昨日出たんですけども、一塁手の部門で3位。書類送検ですから、起訴されたわけでも有罪になったわけでもありませんが、ただ内容が非常にショックです。

――週刊誌報道は11日、12日に1軍出場選手登録を抹消、球団側は「総合的に判断してコンディション的に抹消した」と説明していました。そして23日(きょう)、去年11月に東京都内のホテルで20代の知人女性に性的暴行を加えた疑いで書類送検されました。女性が警視庁に被害届を出して発覚したという形です。山川選手は任意の事情聴取に対し「合意があった」と容疑を否認しているということです。犯罪ジャーナリストの小川泰平さん、今後の捜査のポイントというのはどうなってくるんでしょうか。

事件発生は、昨年の11月で、半年経ってるんですけども、警察が相当慎重に捜査をしていたと思うんですが、ある意味密室でのことになります。そういったことで、実際にどういったことが行われたのか、また知人女性と山川穂高選手との関係性ですか、以前はどういう関係があったのか、その日初めて密室に入るようなことになったのかとか、そういったところから詳細に事情を聞いていくということになると思います。


犯罪ジャーナリスト 小川泰平氏: 山川選手は合意があったというふうに話してますけども後であったかなかったかこのあたりで非常に難しいだろうなと思うんですがどうでしょうかですね。この合意があったというのも、今回容疑になっている強制性交に対する合意なのか、ホテルの密室に入ることすら合意してなかったのかといったようなところですね。ホテル側の防犯カメラだとか、食事をした後ということですので、そういったことも警察は慎重に捜査をしていくということは言えると思います。

「厳重処分ではなく、相当処分」小川氏は❝異例の意見❞と見る

――警視庁は、東京地検に対して起訴を求めるんですが、「厳重処分ではなく、判断を地検に委ねる相当処分の意見を付ける」という形になりました。小川さん、これはどういう意味でしょうか?

通常ですと、強制性交で「相当処分」の意見を付けることはまずあり得ないです。「厳重処分」しかも5年以下の懲役という強制性交の犯罪性から考えて、逮捕されれば一発で実刑、刑務所に行くような犯罪ですね。それを厳重処分ではなく相当処分。

警察が検察庁に送検する際に、処分意見は4つあるんですが、「厳重処分、相当処分、寛大処分、しかるべき処分」と4つあるんですが、「厳重処分」は絶対に起訴してくださいということ、「相当処分」は起訴でもいいんですけど不起訴でもいい、検察庁に判断を委ねますということなんです。

和解、示談に絡んで「相当処分」の可能性

犯罪ジャーナリスト 小川泰平氏:ですから今回は既に和解、示談が成立しているのか、それともお互いの代理人等で和解、示談に向けて、話し合いを行っている段階というところで、相当処分という意見を付けた可能性もあると思います。

こういった場合通常、逮捕されていれば、90%どころかほとんどが厳重処分ですね。通常よくあるのは、逮捕されてから和解とか示談に動く場合もあるんですが、今回は、事情聴取をされている段階で和解とかに動いた可能性がある。

ただ、これ被害者側の意思で「相手が反省していない、ちゃんと謝罪をしてなければ、そんなものに応じませんよ」っていう場合もあるので、そのあたりのところは詳細にはわかっておりません。

――過去、プロ野球界の強制わいせつということで例がありました。91年は大洋ホエールズの若手投手が、幼女への強制わいせつと、公然わいせつで逮捕。2000年は巨人、ジャイアンツの中堅選手が女性への強制わいせつ傷害などで逮捕されています。いずれも自由契約となり解雇となりました。山川選手はどうなるのか、小川さんも熱心なプロ野球ファンだと聞いていますけども、山川選手は今後どうなるんでしょう。

そうですね、91年の大洋の選手はその後セ・リーグの他の球団に年数経ってから行ったりしてるんですが、山川選手も、例えば不起訴になったとしても、自由契約という可能性も十分ある、もしくは外国に行くとか、独立リーグに行くとか。

私は、先ほど紹介ありましたように、プロ野球ファンの1人として、ただ単にやめるのではなく、何か道を残してあげてほしいなと。逮捕されていないだけにですね、そういうふうには個人的には思っています。今後も捜査の進展を、見守りたいと思います。


◎小川泰平氏(犯罪ジャーナリスト):元神奈川県警刑事、30年の勤務経験 第一線で数々の事件を解決