舞台は、大阪府北部。限られた月々のお小遣いだけで、ベーシックな新築を理想の空間に変貌させ、さらに外には小屋やウッドデッキ、ブランコ、滑り台までDIYして、ワクワクするこだわりをすべて詰め込んだという家がある。

 住人(アルジ)は、夫妻と、4人の子どもの6人家族。8年前に建てた家は、敷地内には小屋やウッドデッキなどもあるが、建物自体はごくシンプルな外観。中に入ると、外観とは打って変わって、木をふんだんに使った温かみのあるリビングダイニングキッチンが広がる。「ちょっとカフェっぽくしまして…」と夫が語る通り、アイアンの吊り棚があったり、イラストを手書きした黒板があったり……。実は、元々の家は木目調の壁紙を貼ったものだったが、これが気に入らなかった夫は、キッチンのほとんどを自分で作り直してしまったという。だがそうしたDIYにかけられるのは、夫の月々のお小遣い4万円のみ。なんと、自分のお小遣いだけで家のすべてのDIYをやりくりしているのだという。

 2016年、念願のマイホームを建てた住人(アルジ)一家。ただ予算内に抑えるためには最低限のグレードを選ぶしかなく、構造や内装などが理想とは言いがたい家になってしまった。しかも、新築に住み始めて1か月後、夫は転勤で一人東京へ。単身赴任をしている間も、どこか無機質な感じがする家に帰るたび、夫の不満は募っていった。だが家具の購入などお金がかかることは全て妻に却下されていたという。2020年に再び大阪へ戻ってくると、世の中は新型コロナの流行で自粛ムードに。仕事以外の時間ができた夫はその時間を活用して、理想とする木のぬくもりがあって遊び心あふれる家を実現するため、DIYを決意する。しかし、妻と折り合いがついた額は月4万円。こうして自身のお小遣いである月4万円だけを原資に、理想の住まいに改造することになったのだ。

<「シンプル」から「カフェ風」へ キッチンのビフォーアフター>

 キッチン周りはウッドテイストで統一。スパイスラックは釘を使わずに柱を立てられる「ラブリコ」という部品を使っている。 勝手口前には、金具や木材を調達して折りたたみ式の作業カウンターを設置。最近は木材が高騰しているため、夫は最安値のホームセンターを探すなど涙ぐましい努力をしているそう。さらに出費を抑えるため、約1万円の溶接セットをネットで購入。自らフレームを溶接して、理想のアイアン製吊り棚を作った。そんなキッチン周辺の総材料費は全部合わせても、なんとお小遣い1か月分、4万円ほどだという。

 リビングダイニングも、見えているところはほとんどが夫がDIYで作ったもの。ダイソンの掃除機用のオリジナルでスタンドまで制作した。アイアンに見える枠は、じつは木材を黒く塗っただけ。作った頃はまだ溶接をマスターしていなかったため、“なんちゃってアイアン”なのだとか。

 2階にあるのは、子ども部屋。上がベッドになっているロフトベッドも手作り。子どもたちが下で勉強できるよう頑丈に作った。さらに、子ども部屋の天井をのこぎりでぶち抜いて屋根裏部屋まで作り、ロフトベッドから屋根裏に登れるようにDIYしてしまった。

 外の広いウッドデッキには、ブランコやすべり台など夫が作った数々の遊具が並ぶ。このウッドデッキの一部は家を建てた当初に大工に作ってもらったものだが、これだけでは満足できなかった夫は、砂利が敷かれていた庭にも広げたいと思い、自らウッドデッキを制作。プロが作ったデッキを見よう見まねでなんと基礎部分からDIYし、屋根もあわせてトータルで約3ヶ月かけて作ったという。

 さらに夫の最新作が、ウッドデッキの隣に設けた作業小屋。なんと、カーポートを屋根に利用した。外へ大きく開けられる窓は、兵庫の淡路島で拾った流木で支えるようにしている。

 毎月の予算が4万円のDIY。夫は「この縛りがあるから、その中でうまいことやっていこうと考えることが楽しい」と話し、最初はコストダウンを訴えていた妻も、今となっては「家計が苦しいと思うよりも楽しいことが増えて、全てが“ありがとう”の連続」と感謝する。
 こうしてものづくりに目覚めた夫は最近、自宅でワークショップを開催してDIYの楽しさを近所の人に伝える活動を始めたそう。「DIYを始めて4年ぐらいしか経っていないですけど、いろいろ物を作ることによって友達が増えるなど、本当に、暮らしがめっちゃ変わりましたね」と住まいだけではない変化を明かす。

「DIYの経験がない」「お金が少ない」…だからといって「やらない」のではなく、やってみたら意外と「できた」。何でも一歩を踏み出してみれば、楽しみは無限に広がっていく。(MBS「住人十色」2024年5月25日放送より TVerでも放送後1週間配信中)