「何度も自転車にぶつかりそうになった」こういった内容のメールがMBSに届きました。場所は、大阪にある“日本一長い商店街”。危険な自転車の走行が後を絶たず、『自転車は乗らずに押して通行する』と決められている時間帯でもスピードを出して走り抜ける人が多いといい、通行人らが憤っています。

「『邪魔や、どけ!』と、チリンチリン鳴らしたり…」

 大阪市北区の天神橋筋商店街。南北に約2kmと日本一の長さを誇り、商店街の一日の来客数は約2万人にのぼります。そんな賑やかな商店街で憤っているのが、取材班にメールを送ってくれた、商店街近くに住む佐藤さん(仮名)。怒りの矛先は…
2.jpg
 (佐藤さん)「やっぱり商店街に自転車が多いですよね、危ないですよね。『邪魔や、どけ!』という感じでチリンチリン鳴らしたりね」

 確かに、佐藤さんに話を聞いている最中にも、次々と自転車がそばを走り抜けていきます。

 (佐藤さん)「歩行者も自転車に乗っている本人もケガしたらいかんので、本当にやめてほしい」

 天神橋筋商店街では過去に自転車による事故が発生したことから、1丁目から3丁目は午前10時から午後8時まで自転車の走行が禁止。4丁目から6丁目は午前7時から午後10時までの走行が禁止されています。違反すれば3か月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金が科される可能性があります。

自転車の通行は禁止の時間帯なのに…1時間で160台も

 取材班が商店街を張り込んでみると…

 (記者リポート)「午前7時を回りました。今の時間帯は自転車通行は禁止ですが…来ましたね、自転車が走ってきます」

 自転車が悠然と走り抜けていきます。

 商店街と別の道とが交差している場所では、自転車同士が出合い頭にぶつかりそうになる危険な場面も。中にはスマートフォンを片手に乗る人もいました。11月から罰則が6か月以下の懲役または10万円以下の罰金に強化された「ながらスマホ」が横行しています。

 通勤時間帯を見てみると、わずか1時間でなんと160台もの自転車が走っていました。こうした現状に通行人は…

 「(Q怖いなと思ったことは?)ありますね。横ギリギリをバンって走って行かれた時は、うわって」
 「私は足悪いから余計な。一発やられてこけたら寝たきりになると言われているから、ものすごく怖いのよ」

天神橋筋商店街の“自転車問題”は10年以上前から

 実は、危険な自転車は天神橋筋商店街が抱える長年の問題です。2013年にMBSが撮影した映像では、商店街の中を縦横無尽に猛スピードで駆け抜けたり、人混みを縫ってクネクネと走ったりする人の姿も見られました。

 【2013年の取材より】
 「(Qここは規制されていますが?)いや知らん」
 「乗っちゃダメなんですか?禁止って書いてないから知らないです」

 それから10年以上が経ちますが、いまだに禁止時間帯に自転車に乗る人は絶えません。

 (商店街アナウンス)「マナーは守らなあかん。自転車は降りて、ゆっくり押して歩いてな」

 商店街では自転車に乗らないよう呼び掛けるアナウンスを流し、通行禁止の張り紙を出すなどの対策をしているものの、思うような効果はあがっていないといいます。

 (天神橋筋商店街 総務部長・鈴木崇司さん)「なかなか思ったようにはいかないかなって感じです。事故が起きてからでは遅いですし、実際に事故も、自転車と歩行者がぶつかる事故が起きていますので」

 天神橋筋商店街では過去5年間に自転車による事故が15件発生しているといいます。

「みんな乗ってるで!」注意を聞かず走り去る人も

 人命にも関わりかねない危険な自転車。取材班が乗っている人たちに直撃しました。

 (記者)「ここは自転車禁止ですが?」
 (自転車に乗る人)「あっすみません」

 声をかけると自転車を降りる人がいる一方で…

 「朝早いからちょっとね。わかってるんですけど、ついつい…。ごめん遅れます」と言って、そのまま走り去る人や、記者の呼びかけを無視する人も。さらに…
16.jpg
 (記者)「自転車通行は禁止ですが?」
 (自転車に乗る人)「みんな乗ってきてるで!」
 (記者)「禁止なので降りた方が良いと思います」
 (自転車に乗る人)「はいはい」

 と、いったんは降りましたが、納得がいかないのか…

 (自転車に乗る人)「みんな乗ってるで!みんなに注意しいや!」

 再び自転車にまたがり走っていきました。

 こうした現状に警察も取り締まりを強化。年に複数回、警戒を実施していて、11月8日の取り締まりでは商店街で自転車に乗っていた13人に指導をしました。

 (大阪府警曽根崎署 日野裕次交通課長)「まだまだ自転車の通行に関してはルールが守られていない状況ですので、引き続き指導・警告活動や広報・啓発活動などをやっていきたいと考えております」

 重大な事故にもつながりかねない危険な自転車通行。ルールが守られる日は来るのでしょうか。