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【特集】"従業員解雇せず"飲食店社長の激動1年 旗艦店閉店の決断『切り替えよう、諦めようじゃなくて』

2021年03月24日(水)放送

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緊急事態宣言が初めて出されてから4月で1年です。宴会や外食の自粛が浸透していく中、飲食店はもがき続けています。生き残るために何ができるのか。神戸市のある居酒屋チェーンの1年を追いました。

「最大の旗艦店を閉店」激動の1年だった飲食店

3月8日、神戸市内のホールである式典が行われていました。神戸市を中心に飲食店を7店舗経営するグループ「情熱ダイニング」の社長・池原晃喜さん(53)。毎年この時期に、就職などで辞めていくアルバイトのために卒業式を開いています。いつもは笑顔で送り出していますが、この1年を振り返ると、どうしても悔しさがこみ上げてきます。
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(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん)
「きょうの日が実は迎えられるというのは、迎えなあかんなという思いはあったんですけれど、イメージはついていなかったんですね、ごめんなさい。昨年『八百屋ファーム』を閉めました。そして、今月いっぱいで最大の旗艦店である『八百屋農園』を閉店することになっております。」

去年、新型コロナウイルスの影響で1店舗を閉店させ、3月には系列の旗艦店を閉店させることが決まっています。そんな中、従業員を1人も解雇することなく乗り切ってきました。激動の1年。飲食店を取り巻く環境はとりわけ厳しいものでした。

去年4月 すでに客足激減

神戸・三宮にある居酒屋ダイニング「農家うたげ。」。池原さんが経営する店の1つで、地元の野菜や海鮮を活かした料理が人気です。去年4月2日に取材した際には、営業はしていたものの、すでに客足は激減していました。

(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん 去年4月2日)
「3月は2019年の半分以下、7割減という感じ。後半も予約は入ってきたんですけれどもキャンセルという形ですよね。社員数を増やして4月に備えていたので、4月から新しく2人、採用を決めたときから我々の仲間なので…。」

この5日後、1回目の緊急事態宣言が出され、ほとんどの店が休業を余儀なくされました。

去年12月 “かき入れ時”の試行錯誤

その後、店では弁当の宅配サービスを始めるなど試行錯誤を続け、去年10月にGoToイートが始まりました。かき入れ時の去年12月に池原さんの系列店を訪れると…。

(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん 去年12月)
「GoToイートがあったので、例年以上に早く12月の宴会が入って、11月中旬にはほぼ週末が埋まっている状況でしたが、11月後半からどんどんキャンセルになって、ほぼ全滅ですね。」
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第3波の影響で店での忘年会は敬遠され「オンライン忘年会」に。少しでも収益を上げるため、オンライン忘年会用の宅配鍋サービスを始めていました。

この日は発注があった鍋のセットを社長自ら会社側に届けます。本当は店に来てほしいと思いつつも、こうした宅配も意味があると話します。

(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん 去年12月)
「『こういうのありやね』と、かなり反響はいただいていますので。売り上げは全体の1割いかないですけれど、宴会の火を消してしまうことを少しでも阻止する。」

今年1月 緊急事態宣言で「野菜の販売」

そして今年1月。再び緊急事態宣言が出され、飲食店では時短営業が続いていました。

(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん 今年1月)
「今日から一部のお店は平日に関しては一旦お休みという形をとったりとか、予約があるときだけ開けたり、変則的にちょっと様子を見ながら営業していきたい。」

この日、販売に力を入れていたのは大量に余っていたというかぼちゃをくりぬいたチーズケーキでした。

(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん)
「通常の野菜とは違って我々のための野菜をわざわざ特別な野菜を作ってくださる農家さんも多くいらっしゃいます。そういう農家さんの力になれたらなと思いまして、野菜の販売などもチャレンジしたり…。」

今年2月 売り上げは前年比の10分の1

この1年、あの手この手で経営を維持してきましたが厳しい現実があります。

(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん)
「(今年)2月に至っては半分のお店を閉めていたので、売り上げは(前年比の)10分の1、マイナス89%とか…。営業赤字がこの数字ですね、2100万円という数字になっていますね。年間でこれでもけっこうやばいですけれど月間(赤字)ですからね。今あんなふうにして働いてくれてる子がいますけれど、その時はずっと思っていました、ああこの子たちともお別れなんやなって。毎日思っていましたね。」

店舗の中には家賃が200万円する店もあり、協力金をもらっても赤字はどんどん膨らんでいきます。運営資金を捻出するため銀行と融資の相談も。

(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん)
「こんだけ借用証書を書くのは初めてですね。予定通りきっちりいけば10年とか15年くらいで(返済が)すべて終わると思いますけれどね。いま53歳で…63歳…65歳とかか…。まだいけるね。」

今年3月 旗艦店が閉店

3月21日。池原さんは厨房に立っていました。グループ全体の半分の売り上げを誇った旗艦店がこの日で閉店。宴会に特化していたため経営が立ち行かなくなったのです。自ら包丁を握り最後の料理をお客さんに提供していきます。

特別な日とあって、常連さんなどが集まり久しぶりの賑わいが…。そして店の看板の写真を撮りに来た人も。

(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん)
「(閉店を)聞きつけて来てくれている。うれしいですね、久しぶりに。ここの店が忙しいときに頑張ってくれたスタッフなので。」

区切りをつけた社長「次頑張ろう」

スタッフの雇用などを守るために今後も難しい舵取りは続きますが、他の6つの店に望みを託し、池原さんはひとつの区切りをつけました。

(情熱ダイニング・社長 池原晃喜さん)
「よし終わった…『終わったった』という感じかな。もうほんまに『切り替えよう』しかないですね。諦めようじゃなくて、後ろ髪引かれる思いとかそういうのも全部振り切って、もう次頑張ろうという思いですね。」

(3月24日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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