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【特集】シニア世代の職探し...コロナ禍でより厳しく 「生活費足りない」職業紹介所に集う人々

2021年03月19日(金)放送

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コロナ禍で雇用状況が悪化して働き盛りの世代でも失業者が増えています。そのしわ寄せはこれまで好調とされていたシニア世代にも及んでいます。応募しても面接すら受けられない…職を探すシニアたちを取材しました。

シニア世代の就職セミナー

3月18日に大阪府豊中市で開かれた就職セミナー。参加したのは平均年齢69歳のシニア世代の人たちです。

(セミナーの講師)
「特に企業さんが中高年に求めているのは協調性ですね。プライドが高すぎるのはよくないんです。職場で信頼関係を築きあげるために謙虚さと相手に対する配慮、感謝の心をしっかりと持っていかないといけない。ですから『ありがとうございます』という言葉を頻繁に使ったらいいんですね。」

参加者のほどんどは今すぐにでも働きたい人たち。このセミナーは2週間前には定員枠が埋まったといいます。さっそく面接で好印象を与えるコツを実践的に学びます。

(参加者)「(お辞儀をしながら)ありがとうございました。」
(講師)「1、2、3。それから、静かに頭をあげていきます。」
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(75歳の参加者)「75歳だけれど、やる気・気力がない限りはだめだなと、早く老いてしまうなと再確認しましたよ。」
(84歳の参加者)「(Q仕事を探しているんですか?)探しています。僕も老人やけど、まだ現役やから。」

年金がもらえないなどの理由で職を求めるシニア世代。主催した豊中市によりますと「コロナの影響で若い世代の失業者が増え、シニアの就職はより厳しくなった」といいます。

(豊中市・くらし支援課 濱政宏司課長)
「従来でしたら、例えば清掃とか警備は高齢者が多く雇われていた業界なんですけれども、そういった業界にも若い方が応募されますので、採用してもらうことも非常に困難な状態になっている。」

「年金だけではしんどい」67歳の元派遣社員 何十社応募しても次が決まらず

豊中市が運営する無料職業紹介所。ここでは仕事に関する相談ができる他、掲示板に張り出された求人票やパソコンを使って仕事を探すこともできます。若者からシニアまで幅広い求人がそろっていますが、訪れる人の半数以上は55歳以上。その多くはいわゆる「無年金者」や「年金だけでは生活ができない」と嘆く人たちです。
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2019年まで派遣社員として機械設計の仕事をしていた67歳の男性。契約期間が終わったのを機に仕事を探していますがなかなか次が決まりません。

(元派遣社員)
「年金だけではやっぱりちょっとしんどいかな。(Q応募は何社くらい?)全然わからない。たくさん応募しているから。何十社ですよね。」

この日、気になる求人を見つけました。

(職員)「何か気になるものありましたか?」
(元派遣社員)「ちょっと2件ほどあったんですけれど。年齢不問と書いてあるので。」

求人票を出している企業に職員が電話をしましたが既に枠は埋まっていて面接にも行けませんでした。

(元派遣社員)
「景気がよかったら若い人が集まらなかったら年寄りでもええわというのがあるんやけれど、今やったら若い人が余っとるもんね。いろんなところで若い人も仕事がないから。」

1年以上探しても20社以上応募しても面接に進めず

求人票を1枚1枚丁寧に見ているのは72歳の辻本幹雄さん。仕事を探して1年以上が経ちます。これまで20社以上に応募しましたが、そのほとんどが面接にすら進めていません。

(辻本幹雄さん)
「探していくじゃないですか。(落とされた企業と)同じところが載っているんですよ。この人たちは誰を探して載せているのかなと思って。ひとつでもふたつでも若い方がいいんでしょうね。働くには。」

辻本さんの人生は料理一筋でした。17歳の時に母親が亡くなり、家族を養うために高校を中退。大阪の老舗料理店に寿司職人として弟子入りし、その後30年以上、飲食店を転々としてきました。料理人としての最後の職場は回転寿司のチェーン店。当時68歳、寿司ネタを次々と切る仕事は思った以上に過酷で腰を痛めてしまいました。辻本さんは、職場も収入も安定せず、年金保険料を払ってきませんでした。現在はパート従業員としてスーパーで品出しの仕事をしていますが、月収7万円で妻と2人で暮らすのは苦しいといいます。

(辻本幹雄さん)
「生活費が足りない。(仕事が)ひとつじゃ。コロナ禍の中で。年齢も年齢やし。若い時はよかった。こんなはずじゃなかった。歳をとってきたら…。」

辻本さんのような65歳以上のいわゆる「無年金者」は全国に約57万人います(2019年時点)。

「住居確保給付金」利用者が9人→380人に

そうした高齢者が困窮して豊中市にも相談が相次いでいます。

(豊中市・くらし支援課 濱政宏司課長)
「家賃の支払いが難しい方に住居確保給付金という制度を提供しているのですが、コロナ前の1年間は(利用者は)9人の方だったのですが、今は380人の方がその制度を使っておられます。その中でも高齢者が使われている率が非常に高くなっています。」

「福祉施設の調理の仕事」ようやく面接日が決まる

3月16日。職業紹介所に辻本さんの姿がありました。ようやく面接まで進めることになったのです。

(職員)「辻本さんに電話とかかかってきたのですか?」
(辻本さん)「そうそう。」
(職員)「面接日はいつですか?」
(辻本さん)「24日に決まったんですよ。」
(職員)「3月24日の何時ですか?」
(辻本さん)「午前10時かな。」

面接を受けるのは福祉施設での調理の仕事です。もし決まれば料理人としての長年の経験をいかすことができます。

(辻本幹雄さん)
「給料が倍になるかもわからんね。倍になるとなんぼか助かる。うちの奥さんに小遣いもあげられるし、(生活が)全然違うのは違う。」

先が見えないコロナ禍で72歳の料理人が淡い期待を持ちながら新たな一歩を踏み出しました。

(3月19日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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