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【特集】岐路に立つ『ローカル線』JR西日本「維持難しく廃線も視野」 すでに廃線となった町では「人がいなくなった」の声も

2021年03月16日(火)放送

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都市部の鉄道が混雑する一方で、地方のローカル線は利用者が年々減少しています。コロナ禍で岐路に立たされるローカル線の現状とは。

「城崎温泉駅」大阪方面からの人は多いけど…?

兵庫県豊岡市の城崎温泉。温泉とカニ、そして柳並木に太鼓橋と趣のある町並みが人気で、年間約86万人の観光客が訪れています。

その玄関口が「城崎温泉駅」です。大阪から特急列車で約2時間40分、大阪方面から到着した列車を見てみると、多くの人が降りてくる一方で、乗り込む人はまばらです。城崎温泉駅から西へ向かう路線は、観光客はほとんどおらず、地元の学生や病院通いの高齢者などに利用されています。今年2月、そんなローカル線にとって不安なニュースが飛び込んできました。

JR西「利用の少ないローカル線について廃止も視野に検討」

(JR西日本 長谷川一明社長 今年2月)
「これまで(会社の)内部補助によって成立してきたローカル線の維持が非常に難しくなった。関係自治体と一緒になって、持続可能な地域交通を実現できるように取り組んでいきたい。」

JR西日本は、新型コロナウイルスの影響で今年度の純損益が過去最大の2400億円の赤字予想になるなど未曾有の経営状態にあるとして、「利用の少ないローカル線について廃止も視野に検討する」と表明したのです。具体的な路線名は明らかにしていませんが、「かなりの線区で問題を抱えている」としています。
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JR西日本が管轄する近畿エリアで利用客が少ない区間を調べてみると、2019年度の山陰線の城崎温泉駅~浜坂駅(西の路線)は1日の平均利用客が693人、城崎温泉駅~福知山駅(東の路線)は1日3268人と、5倍ほどの大きな差があります。コロナの影響が出ている2020年度は利用客はさらに減少しているとみられています。

JR西の方針に危機感抱く香住町

取材班は城崎温泉駅から西へ4駅、30分乗車して香住駅に向かいました。JR香住駅前(兵庫県香美町)で話を聞いてみると…。

「学校の通学として使います。朝7時あたりと帰りの夕方5時とか。電車がなかったら困りますね。」
「一番大切な交通網なのかなと思います。(無いと)高校生や仕事に行く人たちにとっては不便になる。」
「車を自由に乗れる人はいいけれども、そうでない人はどうしても列車を使わないと。」

香美町も突如打ち出されたJRの方針に危機感を募らせています。
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(香美町役場 松井範好さん)
「利用も多くはない現状ですので、廃止はないかもわからないですけれども、減便など利便性を損なうことは可能性としてはあるのかなと。」

廃線となった場所は今

JR西日本はこれまでにも採算がとれないローカル線の整理を進めてきました。2018年3月末に営業を終えたJR三江線。広島県三次市と島根県江津市を結ぶ全長108.1kmの区間で、過疎化や高齢化による利用の低迷で廃止になりました。当時の乗降客数は1日平均わずか58人(2015年度)でした。あれから3年。廃止となった三江線を訪ねました。
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島根県にある旧三江線の旧石見川本駅(島根県川本町)。駅舎は手つかずの状態で残っていましたが、ホームの看板などは全て撤去されていました。廃線後、バス輸送に切り替えられていますが、地域はどう変わったのでしょうか。

(住民)
「変わりましたね。人がおらんようになったし、若い人もおらんようになった。」
「さみしゅうなりましたよ。便がわるうなりました。三江線があると、やっぱり遊びに行くところもたくさんありましたからねえ。」

川本町には、江の川の散策に訪れる人がいましたが、廃線後は観光客もほとんど来なくなりました。

(地元自治会 浪崎健一さん)
「特にこの駅前は活気がないですね。観光客がいるだけで、まちににぎわいが出るんですけれど、そういう部分がまったくなく。」

廃線に「トロッコ列車」

そんな中、観光客を取り戻そうと、ある試みが始まっていました。国鉄時代の車両をイメージしたというトロッコ列車。保線用の車両を改造して、廃止した線路で、このトロッコを走らせようというのです。まだ実証実験の段階ですが、定期的にイベントを開いていて、遠方からファンも訪れているといいます。

(江の川鐡道 日高弘之理事長)
「(前回は)1日4便7日間、のべ179人。キャンセル待ちがざっと140~150人くらいだったかな。」
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今回、特別にトロッコ列車を動かしてもらいました。記者も乗り込み走り出します。

(記者リポート)
「結構スピード出ていますよ、意外と。」

トロッコは6人乗りで全長1kmのコースを往復できます。

将来的には、高さ20mから絶景が望める駅など、三江線の一部区間での運行を目指していますが、鉄橋などの一部の設備はJR西日本が所有しているため譲渡に向けて交渉を続けているといいます。

(江の川鐡道 日高弘之理事長)
「簡単に考えちゃいかんと、廃線は。また簡単にそれをさせないために、住民も汗をかかないといかん。住民の汗のかき方が僕らは遅かったなという後悔があります。」

カニだけじゃない「ローカル線と絶景」

再び、兵庫県香美町。香美町と言えば冬は「香住ガニ」が人気で、特産品をさらに打ち出して観光客の誘致を進めたいところです。また、絶景スポットもあります。

(香美町役場 松井範好さん)
「まち一番の観光地『余部 空の駅』で、橋の上からの景色を眺めていただくことができます。」

香住駅からさらに西に2駅の餘部駅。余部鉄橋から眺める日本海などは多くのファンから愛されています。こうした風情ある景色を後世に残すためにも、ローカル線の利用客増加へ、地域の発信力が求められています。

(3月16日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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