【特集】スケボーで公共の場所が"汚損破損"...騒音苦情も増加 一方で『滑る場所が無い』公共スケボー場は大阪市内はゼロ
2021年03月15日(月)放送
東京オリンピックで初めて競技として採用されたスケートボード。競技人口が急増する中、大阪ではほとんどの公園で使用が禁止されています。しかし、夜になると公園にスケートボーダーの姿が…。公園の施設が破損する原因にもなっています。
「スケートボード禁止」中之島公園 タイルは黒ずみ破損
大阪市北区にある中之島公園。大阪市役所のほか、重要文化財に指定されている中央公会堂、バラ園などもあり、日中や休日には多くの人が行き交っています。そんな憩いの場で5年ほど前からある問題が起きているといいます。
(扇町公園事務所 安藤純也担当係長)
「ちょっと汚れが出てきているんですけれど。別の場所も同じようなかたちになってます。同じような場所がいっぱいありますので。スケートボードの裏にワックスを塗られて滑られるような汚れであるとか、面が触れていくところですね。」
片側だけが黒ずんだタイル。中之島公園のいたるところでこうした現象を確認することができます。このタイルの黒ずみはスケートボーダーによるものだといいます。
さらに、別の場所では階段が破損していました。
(扇町公園事務所 安藤純也担当係長)
「欠けちゃうとこんなことになってしまいます。(Qこれはスケートボードによるものなのですか?)あきらかに滑った跡がついていますので。」
大阪市の公園条例で禁じている「他人に危害を及ぼすおそれのある行為」にスケートボードが該当するとして、公園内での使用を禁止しています。
園内には禁止の看板を掲げていますが、それでも被害は収まらず、去年12月にはタイルの上にブロックを設置するなど対策に乗り出しました。
(扇町公園事務所 安藤純也担当係長)
「ブロックを翌日にとられて、まとめて捨てられる事例がありましたので、それについては器物損壊ということで警察に被害届を提出しました。施設を直接汚損しているということなので本当にやめてほしいと思います。」
1年間で300件以上の苦情
2017年に動画投稿サイトYouTubeにあげられた映像です。中之島公園を颯爽とスケートボードで走る様子やタイルを使って技を繰り出す様子が映っています。
歩行者に危うくボードが当たりそうになる場面も。さらに…。
汚れの原因となるワックスを直接タイルに塗り込む様子も映っています。中之島公園を管轄する天満警察署には去年1月以降、「騒音がひどい」「ぶつかりそうになった」などとスケートボードに対する苦情が相次いだため、統計を取り始めたところ、1年間で300件以上の苦情が寄せられたといいます。
大阪市内の公園のあちらこちらで見つかるスケートボードによる破損
大阪市旭区にある城北公園。大阪市内の公園ではスケートボードの使用は原則禁止されていますが、こちらの公園でもタイルの破損が目立ちます。
(鶴見緑地公園事務所 小川務所長)
「ワックスがついているのがわかると思います。コンクリートがはがれているような状況になっています。これがひどくなると、そのものがぐらつきますので、修繕しています。石板を乗せることによってスケートボードで滑れなくなるような措置を取っています。」
さらに大阪市鶴見区の鶴見緑地公園でも…。
(鶴見緑地公園事務所 小川務所長)
「見ていただいたらかるのですが、床の石板が割れている状況になっています。おそらくここでジャンプをしてスケートボードで破損されたと思われる場所です。」
無数のヒビが入ったタイル。これもスケートボーダーによるものだといいます。
一方、スケートボードができない多くの人が行き交う駅前のタイルはほとんど破損していません。
(鶴見緑地公園事務所 小川務所長)
「夜にどうも(スケートボードを)されていると聞いてます。人通りの少ない時間帯や場所でされているように思われます。」
スケートボーダーは人目を避けるために夜になると現れるといいます。
なぜ夜中にスケートボード?直接話を聞くと…
取材班はタイルの破損が確認された城北公園で待つことにしました。すると…。
(記者リポート)
「午後9時前の城北公園です。スケートボーダーが公園の石の置物を使ってジャンプしています。」
暗がりの中、約10人のスケートボーダーが「禁止」と書かれた看板の下でジャンプなどを繰り返していました。タイルに接触させて技の練習をする人も。音も周辺に響き渡ります。
被り物を着たスケータボーダーもいて、夜中の公園で近づきがたい光景が広がっていました。禁止と知りながらこうした行為を繰り返しているのでしょうか?取材班は直接話を聞くことにしました。
(記者)「夜の公園に集まっているのですか?」
(スケートボーダー)「ときどきです。」
(記者)「ここで技の練習をしているのですか?」
(スケートボーダー)「そうですね。きょうも来た時にいっぱい人がいて、みんなここで滑っている、みたいな。」
(記者)「公園でスケートボードは禁止されているのですがご存知ですか?」
(スケートボーダー)「聞きますね。」
(記者)「知っていてもやってしまうんですか?」
(スケートボーダー)「スポットみたいになっていて、みんな滑っていて、みたいな。」
(スケートボーダー)「場所がないからやるというのはちょっと言い訳になるけど、無駄に土地余っている公園とかあるのに、なんで(施設を)造らへんのやろと思う。」
大阪市港区の八幡屋公園。ここでも夜中にスケートボーダーの姿がありました。話を聞くと…。
(記者)「なんで禁止なのにやっているんですか?」
(スケートボーダー)「やる場所がないからですね。だから夜来たり、歩行者少ない夜に来たりって感じです。」
『やりたくてもできる場所がない』。大阪市内で滑れる公共施設はひとつもなく、スケートボーダーを取り巻く環境は難民さながらの状況のようです。
大阪市内での公のスケートボードパークはゼロ
大阪市北区のスケートボードショップに併設された有料の練習施設「iS OLLiES」。ここではハーフパイプなどが設置されていて、多くのスケートボーダーが技を磨いています。
(iS OLLiES 原田康行店長)
「去年のちょうど今ごろからぐんぐんスケーター人口は増えたんです。オリンピック競技の1つになったということと、あと新型コロナウイルスですよね。新型コロナウイルスで遠くに行けない元気な子どもたちが、身近で何をしたらいいか、何か遊べることないかなってやりだしたのがスケートボード。」
スケートボードは、東京オリンピックで初めて競技として採用されるなど、競技人口が急増しています。その一方で公園でモラル違反が相次いでいることについては…。
(iS OLLiES 原田康行店長)
「クレームが入ることはすごく悲しい現実なんですけれど、何かを破損させる行為はよくないとは思います。何か対策を練っていかないといけないです。実際現状、大阪市内でパブリックで使えるスケートボードパークはゼロです。1つ2つできてくれへんかなと。」
大阪府内には公共の無料スケートボード場は5か所ありますが、大阪市内では0か所です。禁止された場所で夜な夜な技を繰り出すスケートボーダーたち。公共のものを壊すことは許される行為ではありませんが、彼らの受け皿となる施設を作ることも必要なのかもしれません。
(3月15日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)