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13年闘い続けたアスベスト訴訟 末期の肺がん患う原告にようやく届いた『勝訴確定』

2021年03月05日(金)放送

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大阪などの元労働者らがアスベストによる健康被害について国などを訴えていた裁判で、最高裁は国とメーカーの賠償責任を認める決定を出しました。末期の肺がんを患いながら長い裁判を闘った原告の思いを取材しました。

2019年4月に取材をしたのは西岡浅夫さん(当時76)。妻の茂子さんと2人で暮らしています。西岡さんは15年前にアスベストが原因で「肺がん」を患いました。治療法はもう無いと言われています。
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(西岡浅夫さん 2019年)
「この病気になって初めて死の怖さを知ったね。ただ死が怖いだけで生きているのが本当の現状ですわ。」

約60年前に大工の仕事を始め、多くの家を建ててきた西岡さん。元労働者や遺族ら31人と共に国と建材メーカーを相手取り裁判で闘ってきました。1審も2審も原告側が勝訴。「マスク着用などの規制を怠った」と国などの責任を認め、約3億円の賠償を命じました。

がんが進行して余命宣告を受けた西岡さんも裁判に立ち会ってきました。

(西岡浅夫さん 2018年)
「あすの命もわからない。国にあるいはメーカーに申し上げたいのは、もう裁判はやめていただきたい。」

訴えは届かず、国と建材メーカーは判決を不服として2018年、最高裁に上告しました。

しかし最高裁は2021年2月22日、この上告を退ける決定をして、賠償が確定しました。

(原告の一人 郡家滝雄さん(71) 2月24日)
「提訴してから約10年、この間に私たちの仲間がずいぶん亡くなっていっております。」

この会見に西岡さんの姿はありませんでした。

2月25日、取材班は西岡さんの自宅に向かいました。現在78歳となった西岡さんの病状は悪化していて、ベッドから起き上がるのもつらくなっていました。この日、西岡さんにも裁判の終わりを告げる連絡が来ました。

【西岡さんと担当弁護士との電話のやり取り】
(担当弁護士)「西岡さんは勝訴が確定して終わりました。」
 (西岡さん)「はい、わかりました。」
(担当弁護士)「大変でしたね、本当に。きょうは失礼します。ご苦労さまです。」
 (西岡さん)「どうもありがとうございます。」

長い闘いが終わった西岡さん。多くは語りませんでした。

(西岡さん)「毎日毎日が、極端に言えば死との闘いやし、その中で死にたいと思うこともあるし、言いようがないですね。」
(茂子さん)「どんなにそれまで苦労したか。医者に行きたくてもお金がないとかいろいろあって。そんなことのないように裁判することもなくちゃんと医療も受けられたら、次の人たちに、いいなと思います。」

2020年3月以降、新型コロナウイルスが怖くて外出は通院のみ。そんな西岡さんに娘や孫から電話がありました。

【オンラインで話す西岡さんと孫】
(西岡さん)「おーい、心輔、喬輔ー!」
   (孫)「おじいちゃんあのさ裁判って何年続いたん?」
(西岡さん)「13年。」
   (孫)「13年!?」
(西岡さん)「これから仕事も辞めて、自分の好きなこと、旅行やなんやにお母さんと行こうと思っている矢先やもんな、病気になったのは。コロナが終わったら旅行に行こうや。みんな一緒に行こう。」

長引いた裁判によって奪われた時間は、もう戻ってきません。

(3月5日放送 MBSテレビ「Newsミント!」より)

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