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【特集】成人年齢引き下げでも...少年法は『特定少年』18歳19歳の保護継続 命奪われた遺族は「納得できない」

2021年03月04日(木)放送

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来年4月に民法が改正されて成人年齢が18歳に引き下げられます。その一方で、犯罪を犯した少年を保護する『少年法』の対象は18歳未満に引き下げとはならないようです。一体なぜなのでしょうか。

少年に命を奪われた遺族「18歳以上は成人として少年法の保護から外すべき」

壇上に並べられていた子どもたちの遺影。少年事件で命を奪われた被害者だ。去年10月、大阪市西区で「少年犯罪被害当事者の会」が開かれていた。この日、議論されていたのは20歳未満を“少年”と規定して刑事事件などで保護の対象になっている『少年法』についてだった。
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(少年犯罪被害当事者の会 武るり子代表)
「私たちの置かれている現状はまだまだ苦しみ悩みが続いているのです。」

(24歳の次男を亡くした澤田美代子さん)
「民法もまた成人として2022年に認められる。犯罪を起こした時だけまだ少年法ということの矛盾。」

(15歳の次男を亡くした大久保巌さん)
「引き下げが認められないというのは納得できないです。人生を変えるような犯罪というのは少なくとも18歳になってわかっていてやっている。その責任に見合う法律にしてほしいと思います。」
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現在の日本の法律では民法4条で「20歳以上が成人」とされている。しかし来年4月にこの法律が改正され、成人年齢が「18歳」に引き下げられる。遺族らは「18歳以上は成人として少年法の保護から外すべきだ」と訴えているのだ。

少年法改正…18歳19歳は『特定少年』

しかし、こうした遺族らの訴えは届かなかった。

(上川陽子法務相 今年2月19日)
「成長過程にある若年者をどのように改善更生また再犯防止を図るかにかかわる問題であり、民法の青年年齢と論理一線的に一致しなければならないものではない。」

今年2月、国会に少年法の改正案が提出された。改正案では現在の20歳未満としている少年の定義は継続。その上で18歳と19歳を「特定少年」として、殺人・傷害致死・強盗などの重大事件で起訴された場合は「実名と顔写真を使った報道が可能」という規定が盛り込まれた。

24年前に息子の命を奪われた女性が話す“当時”

大阪市西淀川区に住む武るり子さん(66)。24年前、高校1年だった長男の孝和さん(当時16)が面識のない他校の高校生から暴行を受けて亡くなった。事件の真相を知りたいと願う武さんの前に立ちはだかったのが少年法だった。
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(武るり子さん)
「当時は(加害少年の)名前も事件の内容すらわからなかったので、自分たちで調べました。とっても時間がかかりましたね当時は。なんでもしました、できることは。(Q相手が今は何をしているのかは?)今はわからないですね。」

加害少年の人権や更生などを理由に、警察や裁判所は遺族であっても相手の名前などを明かさず、少年審判を受けた加害少年に課されたのは11か月間の少年院送致だった。その後、謝罪なども一切なく、今どこで何をしているのかもわからない。
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武さんは当時「少年犯罪被害当事者の会」を立ち上げ、被害者側にも捜査状況や審判の内容などを開示するように国に求め続けた。

(武るり子さん 1999年)
「加害者は少年法で守られ罰も受けません。私たちの大切な息子を殺したことに対する責任を到底感じているとは思えません。私たち被害者側は、少年法を守ることで事実さえもほとんどわからないし、調べるにも限りがあります。」

“特定少年”規定について「がっかり」

武さんの事件後、14歳の少年が逮捕された神戸児童連続殺傷事件(1997年)など少年による凶悪事件が相次ぎ、厳罰化や被害者遺族への情報開示など少年法が見直されてきた。そして今回5回目の改正。18歳と19歳を「特定少年」と規定することについて武さんの受け止めを聞きました。

(武るり子さん)
「社会的に『18歳はもう大人』と、社会ではなるわけだから、自然の流れで少年法も18歳になると思っていたんですよね。まさかそこが今回触れないというのが、なんというんですかね…がっかりというか。なぜだろうというのがすごく残っていますね。」

成人年齢が18歳に引き下げられるのに、少年法では20歳までが少年として保護される。こうした判断に市民は…?

(20歳)「18歳であれ悪いことは悪いことだから実名報道は仕方がないと思います。」
(20歳)「20歳から大人ですよという固定概念があるからピンとこないだけであって、18歳が何年かしたらそれが普通になっていくのかなと。」
(34歳)「(18、19歳は)大人にちょっと足を踏み入れる時期なので、何でもかんでも(年齢)下げて責任を子どもに押し付けるのも酷なので、チャンスはあるほうがいいと思う。」

「半グレ」の一員だった19歳の少年

大阪府内に住む19歳のAさん。数年前まで大阪の繁華街で半グレの一員として恐喝などの違法行為を繰り返して逮捕され、今年1月に少年院を出たばかりだ。

(Aさん)
「自転車の窃盗や、万引き、喧嘩、暴力事件など、いろいろとやることはやっていました。親が物心つく前からいなかったので、ほめてくれる人がいない、何がいいか悪いかわからないという状況で、身近にあるものすぐに手を出してしまう人間だったので。」

Aさんは少年院を出た後、更生を支援する運送会社で働いている。加害少年として仮に世間に名前を知られていたら就職することは難しかったと話す。

(Aさん)
「就職活動で言えば簡単には受からないかなと思います。正直今も気持ちが落ち着ける場所はないです。自分が更生するために生きていくために必要な過程として会社には協力していただいている。」

非行少年の更生支援者「立ち直るチャンスを与えてほしい」

法務省の民間ボランティア「BBS会」。全国に約500団体あり、非行少年の更生を支援している。大阪府八尾市では、プロボクサーの鈴木哲也会長(38)が少年らの更生をサポートしていて、Aさんも毎週通っている。

(八尾地区BBS会 鈴木会長)「きょうお前仕事しとったん。」
(Aさん)「仕事してました。」
(鈴木会長)「もう慣れたやろ。」
 (Aさん)「もう慣れました。」

(八尾地区BBS会 鈴木哲也会長)
「少年なので、いろんなものに流されてしまったりとか、その子が育ってきた環境が悪かったりとか。そういう意味で一回つまずいてしまったからってね、その後の人生を生きにくいものにしてしまうのはどうかなと思います。やっぱり立ち直るチャンスを与えてほしい。」

少年法が制定されて70年あまり。18歳と19歳は、成人か、それとも少年か。今、その明確な答えは見い出せていない。

(3月4日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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