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【特集】「最低35パックからOK」まちの飲食店でも挑戦できる『レトルト加工会社』 依頼した和食店も試食で驚き

2021年03月03日(水)放送

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コロナ禍で苦境に立たされている小さな飲食店が、人気メニューを「レトルト食品」にして活路を見い出そうとする動きが広がり始めています。少ない注文数からでもレトルト加工を請け負うことにしたのは飲食業界とは畑違いの会社でした。

売り上げ半分以下に…看板メニューを「レトルト食品」にして販売

大阪府藤井寺市にある「ハルワ食堂」。モロッコ料理を中心にアジア各国の家庭料理を提供しています。看板メニューのチキンマサラカレーは15種類以上のスパイスを調合していてエスニックな香りとマイルドな味わいが人気です。
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(ハルワ食堂・店長 岡本恭子さん)
「スパイスも自分で調合して、いちから作っています。」

店長の岡本恭子さん(45)は14年前から店を1人で切り盛りしています。しかし…

(ハルワ食堂・店長 岡本恭子さん)
「お店自体を閉めていましたし、(出店)イベントが全部なくなったので、それが大きくて。それもあって売り上げはすごく落ちたんですけど。」

新型コロナウイルスの影響で店の売り上げは例年の半分以下まで落ち込んだといいます。

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そこで岡本さんは看板メニューのカレーをレトルト食品にして販売することにしました。

(ハルワ食堂・店長 岡本恭子さん)
「新型コロナウイルスでお店を閉めていた時とかに、ネットで販売して助かりましたね、その時は。何千個とか作らないといけないかなと思っていたので、こんな小さなお店でも実現できたというのはすごくうれしかったです、できた時。」

「最低35パック5600円」から対応するレトルト加工会社

こうした少ないパック数の注文でもレトルト加工を行っているのが、大阪市淀川区に事務所を構える「HORICOO」の堀内信幸社長(58)です。

(HORICOO 堀内信幸社長)
「つぶれちゃったら、そこのおいしいお店の味が大阪から消えちゃうからね。食べられないからね。それなら何とかお店の助けになることができないかなと思って。」

レトルト加工をする工房を特別に見せてもらいました。
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飲食店が調理した食品をまずは真空パックにします。約120℃で滅菌処理した後、2週間後に雑菌が繁殖していないかどうかを細菌検査して、問題がなければ飲食店に納品します。
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大量生産する大手とは異なり、最低35パック・税抜5600円から対応しています。HORICOOが運営するオンラインショップでも販売できるため、個人経営の飲食店でもレトルト食品に手が出しやすいのです。

運送業務が激減…そこで始めたのが“レトルト加工”

実はHORICOOは食品加工の会社ではありません。

(HORICOO 堀内信幸社長)
「元々運送屋だったので、倉庫だったんです。食品やろうと思って冷蔵庫を買って、設備をできるだけコンパクトにできるように考えたんです。」
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元々は食料品を取り扱う運送会社でしたが、コロナ禍で運送業務が激減。そこで2020年9月から始めたのがレトルト加工だったのです。冷蔵庫やキッチンなど約600万円かけて設備を揃えました。

(HORICOO 堀内信幸社長)
「『小ロット(少ないパック数)やったらHORICOOがあるやないか』と。お店が飛び込んで来られる、いわば“駆け込み寺”みたいなものが街にあれば、みんな助かるんじゃないか。」

和食料理店「新たな試み」 和食をレトルト加工

2021年2月中旬、HORICOOの営業担当者がレトルト加工した食品を箱に詰めて、向かった先は大阪府堺市西区にある和食料理店「山海料理・仁志乃」です。この日、依頼を受けてレトルト加工した料理を、初めて試食してもらいます。

期待を胸に試作品を手にしたのは「山海料理・仁志乃」代表の西野保孝さん(59)です。
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(山海料理・仁志乃 西野保孝代表)
「やはりコロナ禍の中、何かしていかないといけない状況なので。新しいことを試みてやっていきたいと思ってる中のひとつとして、レトルトをやっている会社と出会ったので、ぜひやってみたいと。」
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この店の料理は、大阪湾でとれた海の幸や南大阪で栽培されている野菜が使われていて、一品一品丁寧に仕上げられています。他府県からも多くの人がその味を求めて店を訪れるといいます。しかし、コロナ禍で客足は次第に遠のき、売り上げは例年の半分以下に。今はランチのみ営業しています。

(山海料理・仁志乃 西野保孝代表)
「ダメージ大きいですね。忘年会新年会、全然なしということですから。」

そこでHORICOOと手を組み、店の味をレトルト商品として売り出していくことに決めました。

試作品「鯛の荒煮」などのお味は?

今回レトルト化を目指すのは定番メニューの「鯛の荒煮」「牛スジの味噌煮込み」「穴子の肝煮」「鰆の麹焼き」の4種類。試作品は加熱殺菌した時間が長いものと短いものを用意して味の変化などを確かめます。まずは「鯛の荒煮」から。
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(山海料理・仁志乃 西野保孝代表)
「長時間加熱の方がかなり中まで味が入っていますね。見た目は短時間加熱の方がいいような気がしますけど。」
(HORICOO 営業担当者)
「照りの加減ですよね。」

レトルト食品と言えど、これまで守ってきた店の味に妥協はできません。味だけでなく、見ためや香り、食感も慎重に確かめていきます。

2品目のアナゴの肝煮は…。

(西野代表)「やっぱり違うな。」
 (料理人)「小さいのは長く煮すぎたらあかんですね。味が入りすぎる。」

味も触感も繊細な和食。一筋縄ではいきませんでしたが、この日は「鯛の荒煮」と「牛スジの味噌煮込み」の2品が合格となりました。
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(山海料理・仁志乃 西野保孝代表)
「ここまでできるのか、というのがすごいと思いますね。これやったらお客さんに提供できると思いますので。」

コロナで大きく打撃を受けた運送会社と飲食店。二人三脚でこの危機を乗り越えようとしています。

(3月3日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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