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【特集】ワクチン優先接種が受けられない!?いつの間にか"受付終了"...困惑する歯科医師 通知方法に問題は?

2021年03月01日(月)放送

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自治体主導で3月から始まる予定の医療従事者への新型コロナウイルスのワクチン優先接種。全ての医療従事者が対象ですが、「申し込みの連絡がない」と困惑する歯科医師が相次いでいます。一体何が起きているのでしょうか。

大阪府に連絡した時には「受付終了」

今年2月15日、取材班のもとに大阪の歯科医師から1通のメールが届きました。

【メール内容より一部抜粋】
『ようやく医療関係者へのワクチン供与が秒読みとなっています。ところが、今回の医療関係者への通達手段に問題があり、現実的には驚くべき程多数の医療関係者へのワクチン接種ができない危機に直面しています。』
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ワクチン優先接種の対象である歯科医師が“接種できない”と訴える内容でした。これは一体どういうことなのか。早速2月18日、メールをくれた野崎駅前歯科クリニック(大阪・大東市)の秋葉俊輔院長を訪ねました。

(野崎駅前歯科クリニック 秋葉俊輔院長)
「優先接種は連絡が来ていないので、受けるか受けないかということすら選択になかったです。府の方から通達があるということだと思っていたのですが、何一つ連絡がないまま今に至って。府に電話をしたら『もう締め切りは終わりました』と。」

新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては、国が指定した基幹病院などの医療従事者向けの先行接種が2月17日から始まっています。さらに大阪府では3月9日ごろから府が主導して全医療従事者向けの優先接種が始まる予定です。これに先立ち1月8日~15日の8日間、医療従事者に対してワクチン優先接種の希望者を募っていました。
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大阪府からの連絡を待ち続けた秋葉院長。しかし連絡は一切なく、気づいた時には申請期間は終わっていて、あわてて府に電話したといいますが、府の担当者からは「すでに受け付けは終わっています。接種スケジュールが組まれているので変更はできない。高齢者の接種の後、一般接種で受けてください」との返答があったということです。

(野崎駅前歯科クリニック 秋葉俊輔院長)
「怒りというよりも情けなくて。スタッフにも『もう少しだからもう少しだから』とはっぱをかけていた中でこういうふうな状況になってしまったので。ただただ無力感を覚えるばかりでした。」

歯科医師会に非加盟のクリニックに直接連絡せず

秋葉院長のクリニックでは、空気を浄化するオゾン発生装置などを導入して感染症対策を徹底していますが、肝心のワクチンの優先接種は高齢者の接種が終わるまで受けられないという事態に陥りました。では一体なぜ、クリニックに通達がなかったのか。
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大阪府によりますと、2月18日時点では、ワクチン優先接種の申し込みは医師会・歯科医師会・薬剤師会を通じて行っていて、医師会に加盟していない医院については府が直接郵送で連絡したといいます。しかし、歯科医師会と薬剤師会に加盟していない施設については直接連絡しておらず、府はホームページでの告知と吉村洋文知事の会見で周知したとしていました。

秋葉院長によりますと、大阪で歯科医師会に加盟しているのは全体の65%ほどで、多くの歯科医院に対して積極的な通知が行われていなかったとみられています。歯科医師会に加盟していなかった秋葉院長は次のように語ります。

(野崎駅前歯科クリニック 秋葉俊輔院長)
「全く現場のことを知らない人が進めているのかなと。ワクチンの優先接種の再調査を行っていただきたい。必要なところに必要なワクチンを優先して届けていただけることを願うばかりです。」

友人からの知らせで気づいた医師も

2月25日、取材班は大阪府豊中市にある清水歯科クリニックに話を聞きました。こちらも歯科医師会には加盟していませんが、清水昌樹院長はワクチン接種の申し込みを済ませたといいます。

(清水歯科クリニック 清水昌樹院長)
「友人の歯科医の先生から『申請した?』というLINEが来まして、それで知りました。(Qそれまではご存じなかった?)全く。」
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清水院長のもとにも大阪府から直接連絡はなかったといいますが、知人からの連絡で初めて申請に気づけたといいます。

(清水歯科クリニック 清水昌樹院長)
「テレビを見て知るぐらいなので、連絡あるだろうなということで待っているだけ。文書で連絡があるのかなと思っていました、郵送で。」
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感染症対策として日々の診療では使用する器具にはラップを巻いたり金属製の器具を使い捨てのものに変えたりしていますが、ワクチンは診療を続ける上でもやはり重要だといいます。

(清水歯科クリニック 清水昌樹院長)
「やはり感染するリスク高いと考えておりますので、自分が一番(コロナに)かからないようにするためには率先して打っていかないといけないかなと思っています。」

医師会所属の内科クリニックには大阪府から直接通知

困惑する歯科クリニックがある一方で、PCR検査や抗原検査などを行い、新型コロナウイルスが疑われる発熱患者を日々診察している町の内科クリニックではどうなっているのか。大阪市都島区のごとう内科クリニックに話を聞きました。

(ごとう内科クリニック 後藤浩之院長)
「大阪府から1月のはじめにお手紙をいただきまして、(ワクチン接種)希望者は申し込んでくださいということだった。用紙が届いて1つはメールで送って登録するという感じですね。私を含め職員も優先接種を希望しています。」
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ごとう内科クリニックは医師会に所属していて、府から直接通知が届いていました。もし医師会や府から連絡が来なかった場合、回答できたのでしょうか。

(ごとう内科クリニック 後藤浩之院長)
「逐一問い合わせしたりとか府のHPを見ているわけではありませんので、そういうことが行われているという情報さえあれば手段はなんとでもなると思うんですけれど、その時期というのは当然どこかから連絡がないとわからないので、そこは難しいと思います。」

大阪以外の近畿各地の対応は?

こうした対応を取っているのは大阪だけなのか。取材班が調べてみると、近畿では京都府・兵庫県・和歌山県は医師会などの団体に加盟していないところにも郵送や電話などで通達したとしています。滋賀県は全ての施設に直接郵送で通達したということです。一方で奈良県は大阪とほぼ同じ対応のようです。

(奈良県ワクチン接種推進班の担当者)
「団体に属さない方がおられますので、そこにつきましては県のHPで受付をしております。全医療機関に(通知を)送るということは結果として我々は検討していなかった。我々でできる範囲で最善を尽くしてやってきたと思っています。」

歯科クリニックに「接種希望者を募る」ハガキが届く 大阪府が追加調査

野崎駅前歯科クリニックの取材から6日後の2月24日。優先接種を申し込めていなかった秋葉院長のもとに1通のハガキが届きました。

(野崎駅前歯科クリニック 秋葉俊輔院長)
「府の方から再び『接種希望者を募る』という連絡のハガキがきょう手元に届きました。接種希望者を募るのでネットからアクセスしてくださいという文面ですね。」

一度は締め切られたワクチン接種が、一転して打てることになりました。これは一体どういうことなのか。
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2月25日、大阪府の担当者に直接話を聞きました。

(大阪府健康医療部ワクチン接種推進課 藤田浩良課長)
「情報が届いていなかったという声が我々の方に多数届きましたので、そこは我々としても真摯に対応していきたいと。現在追加で届いていない歯科診療所と薬局に対しましては全てハガキで追加調査をしています。(Q歯医者や薬局に当初送らなかった理由は?)1つはマンパワーの理由もありますし、報道提供を発信する部分で多数のみなさまに見ていただけると理解しておりましたので。」

全医療従事者が対象とされたワクチンの優先接種。その通知方法は各都道府県に委ねられていて、運用が適切に行われているのかについては釈然としません。

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