MBS 毎日放送

ミント! ミント!

放送終了放送終了

特集記事

【特集】"多胎育児"コロナで『孤立』に拍車...外にも出られずベランダで日向ぼっこの毎日 ふたご育児経験者が支援取り組み

2021年02月26日(金)放送

SHARE
Twitter
Facebook
はてなブログ
LINE

心身ともに負担が大きいふたごやみつごの子育て。外出が難しく人と繋がりにくいことから親は孤立してしまいがちですが、コロナ禍の今はその傾向はさらに強まっているといいます。こうした親たちの支援を続けているのが自らもふたごを育てる女性でした。

「多胎育児」親同士をつなげる場

今年2月3日、兵庫県尼崎市。ふたごを連れた母親たちが続々とやってきます。コロナ禍で外出しにくい日が続く中、感染対策をとりながら「ふたご会」が開かれました。同じ境遇の親同士、初対面でも会話がはずみます。

【親たちの会話】
「家事とかする時って抱っこしてやりますか?」
「1人をおんぶして、最悪もう1人は前に抱っこしてやっているから、毎日膝サポーターして。」
f6.jpg
同時に2人以上を出産して子育てをする『多胎育児』。1人を育てる以上に体力も時間も必要で親に負担がかかるため、同じ悩みを抱える友人を作ってもらう場として開催されました。

ふたごの子育てを経験 コロナで孤立化に拍車

イベントを主催したのは社会福祉士の中原美智子さん。多胎児の子育てを支援しようと3年前に「NPO法人つなげる」を立ち上げました。

(NPO法人つなげる代表 中原美智子さん)
「ふたごやみつごのママになるのって100人に1人なんですよね。多胎と単胎の子育ての違いを理解してもらえる機会も少ないですし、どんどん孤立化していくんですよね。」
f19.jpg
中原さん自身も10年前にふたごを出産。しかし長男を生んだ時とは違い、2人同時の育児は過酷で、精神的に追い詰められて孤立した経験がありました。今、ふたご親の孤立化に拍車をかけているのが、新型コロナウイルスだといいます。

(NPO法人つなげる代表 中原美智子さん)
「コロナになったことで実家の手が借りられなくなったりだとか、保育園の一時預かりですら『鼻水がちょっと出ただけでも断られる』だったりとか。(母親が)1人でふたごをずっと家庭内の閉じ込められた環境の中で子育てをしなくちゃいけないという状況に追い込まれているので、すごく良くない状態だなと感じています。」

ふたご子育ての日常 “目が離せず”ベランダで日向ぼっこの毎日

ふたごを育てる家庭は今どんな暮らしをしているのか。兵庫県内に住む丸尾美美さん。2019年3月、颯人ちゃん(兄・1歳10か月)と翔琉ちゃん(弟・1歳10か月)を出産しました。
f25.jpg
朝7時すぎに夫の浩一さんが出勤すると美美さん1人での育児が始まります。
00.jpg
美美さんが朝ごはんの準備をキッチンでしていると、弟の翔琉ちゃんがかまってほしくてやってきます。

かわいい盛りですがなかなか家事が進みません。
f34.jpg
ようやく食べ始めても2人に絶えず目を配ります。

(丸尾美美さん)
「2人とももう歩くので、自分の歩きたい方向と自分のやりたいことが2人とも違うので。1人じゃ全然、手に負えない…。」

同時に2人を授かり大喜びしましたが、ふたごの育児は想像を絶する大変さでした。それでも『自分が母親だから』と必死で2人と向き合いました。

(丸尾美美さん)
「2人で泣いた時に、1人の手しかないから、2人を同時にあやしてあげられない歯がゆさ。1人泣いているけど1人抱っこして『ごめん』と言いながらやっているのが一番つらかったですね。」

ふたごを育てる人は周りにおらず、実家は東京。緊急事態宣言下では助けを求めることもできません。
f50.jpg
1歳半ごろに自分の足で歩きだしてからは2人が全く違う行動をするように。ベビーカーも嫌がるため、美美さん1人では家から一歩も出られなくなりました。公園のように広々したところには連れていけず、せめて外に出してあげようと、ベランダで日向ぼっこをする毎日です。
f55.jpg
(丸尾美美さん)
「歩きだしてからもう外には1人では連れていけない。安全を保てないなと思って。いっぱいいっぱいになって。『1歳児のタイムスケジュール』みたいなものを見ていると『午前中散歩に行かせてあげて』とか出てくるじゃないですか。そんなん無理だよって。『自分はダメなお母さんだ』と言って、夜中に夜な夜な泣いて、『ごめんね』って言っていました。」

オンラインで多胎育児の親に寄り添う「一緒に考えさせてもらうこと聞かせてもらうことはできる」

ふたご親の孤立化を防ぐために中原さんが取り組んだのがオンライン上のオープンチャット「ふたごのへや」の開設です。多胎児の親であれば誰でも無料で参加でき、ふたご育児ならではの悩みなどを共有できます。新型コロナウイルスの影響もあり、参加者は1000人を超えました。

中原さんはその中でも特に深刻な状態に陥っている親を助けるため、自らがオンライン通話で相談に乗るサービスも行っています。1歳のふたごのお母さん。新型コロナウイルスで誰の助けも得られず心身ともに追い詰められ、ギリギリの状態でした。中原さんはじっくり耳を傾けます。

(オンラインで相談するふたご親)
「『子どもに手を上げたらいけない』とか『虐待してはいけない』ということをずっと考えているので、手とかは上げないですけれども、やっぱり何時間もずっと泣き続けられたりとか、自分の睡眠が1時間がずっと続いていたりすると、どんどん自分の精神状態が落ちていっていて、普段だったら全然何とも思わないことでも、なんだろう…叫びたくなるというか。『ああもうこれ自分の限界なんだな』と思うところがあって。」

状況を聞いて緊急度合いによっては地域の保健師につなぐなどの対応を取っています。

(NPO法人つなげる代表 中原美智子さん)
「オンラインがメインになるので、直接私がそばにいて背中をさすることもできないんだけれど。でも、お話をこうやって一緒に聞かせてもらいながら、『(相談者が)望む幸せって何だろう』と一緒に考えさせてもらうこと、聞かせてもらうことはできるので。」

「今すごく大変なママたちに『大丈夫だよ』と伝えていきたい」

中原さんはこの日、普段の活動を見てもらおうと、今では10歳になったふたりの息子を連れてイベントの準備にやってきました。『自身も苦労したからこそわかることがある』これからも支援の輪を広げていきたいと強く思っています。
f71.jpg
(NPO法人つなげる代表 中原美智子さん)
「1人きりでいることがつらいから、まず誰かと一緒につながれるということをね、知っていてほしいなと思います。あの時は本当に私もね『いつまでこの状態が続くのだろう』とすごくつらかったんですけれども、今は本当にすごく楽になったし、(ふたごが)2人で協力し合っていろんなこともしてくれるから、今すごく大変なママたちに『大丈夫だよ』と伝えていきたいなといつも思うんですよね。」

(2月26日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

最近の記事

バックナンバー