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【特集】逆境に挑む元プロボクサーのラーメン店主「あきらめの悪さが身上」「できることは全部やる」

2021年02月17日(水)放送

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時短要請に外食の自粛。新型コロナウイルスの感染拡大で逆境が続く飲食業界にあって、“攻めの姿勢”を崩さないラーメン店が神戸市にあります。売り上げは4分の1になってもスープと熱意は冷まさない。「あきらめの悪さが身上」と語る店主のコロナ禍の戦いです。

時短要請で朝営業も始めた神戸のラーメン屋

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JR神戸線の高架沿いにある「気合いのラーメンつぼ」(神戸市兵庫区)。毎日、午前7時~午前9時まで朝営業をしています。濃厚なスープと大量の青ネギ。味はもう言わずもがなです。

(朝に来店したお客)
「うまかったです。夜勤の泊まり明けでラーメン食べたいなと。『あるらしいで』となって来たんです。」

これまでは昼の午前11時~午後2時半と夜の午後5時~深夜3時半までの2部制でしたが、時短要請を受けて最も稼ぎ時だった夜の営業時間が大幅に減ってしまい、朝の午前7時~午前9時を加えた3部制に変更しました。

(気合いのラーメンつぼ・店主 坪井将誉さん)
「グチグチ言っていても仕方ないし、できることは全部やってみようと思います。(新型コロナウイルスに)打ち勝たなあかん。」

店主の坪井将誉さん(48)。兵庫県内の有名ラーメン店で修業した後、2007年にここに店を構えました。

元プロボクサーがラーメン店主になったワケ

豚骨などを10時間煮だしたスープに伸びにくい麺。そのこだわりのルーツは?

(坪井将誉さん)
「きつい減量の後でラーメンを食べる時にゆっくり味わいたい。味わって食べても伸びにくくコシがある麺にした。」
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実は坪井さんは格闘家の顔も持っているのです。元々はチャンピオンを夢見るプロボクサーでした。高校卒業後、公務員に内定していましたが、家族の反対を押し切り20歳でプロデビューしました。
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(坪井将誉さん)
「1ラウンド39秒で勝った試合(の写真)。忘れられない人生で最高にうれしかった試合ですね。やっぱりボクシングがやりたかったんですよね。親は泣いていましたけれどね。」

どんなに殴られても相手に食らいつき自らを“移動爆弾”と呼んでいました。「諦めが悪い」と言われるほどリングに上がり続けましたが、3勝(2KO)13敗1分けという戦績を残して26歳で引退。その後に打ち込みたいと思ったのが減量後に幸せを感じさせてくれたラーメンだったのです。

(坪井将誉さん)
「昔、減量がきつかった時にラーメンがすごく食べたかったんですよ。ボクシング以外で何が好きかと考えたら、ラーメンを食べることが好きだから、ラーメン屋になろうと思いました。」

目指したのは疲れ切った体を癒す至福の一杯。オープンから数年で昼も夜も行列のできる人気店になりました。

(常連客)
「味がもうピカイチうまいです。小学生の時ぐらいから来ています。」
「週2~3回来ています。クセのある、また来たくなるような味ですね。」

母親の孝子さん(76)も手伝いに入り、社員も一人雇うなど、人生の第2ラウンドは順調そのものでした。

コロナで売り上げは4分の1に

しかし去年4月、緊急事態宣言に伴う時短営業要請でやむを得ず深夜の営業を中断しました。さらに今年1月、2度目の時短要請を受け、売り上げは以前の4分の1程度にまで落ち込みました。

この日、車に乗ったお客さんが店の前に来ていましたが…

(坪井さん)「すみません。本当だったら開けたいんですけれども、今時短営業中で午後8時までになっていまして。」
  (お客)「わかりました。」
(坪井さん)「すみません。またお願いします。」

(坪井将誉さん)
「車に乗ってわざわざ来ていただいたのに、断らないとあかんのが悔しいですよね、申し訳ない気持ち。」

お客さんはいるのに店が開けられない苦悩。それならばと始めたのが朝営業でした。

「人の習慣自体が変わる」朝営業決めた“新型インフル”の苦い経験

(坪井さん)「おはようございます。」
  (お客)「やっていますか?」
(坪井さん)「やっていますよ。」

早朝からの仕事は負担も増します。それでも営業を決めたのは12年前の苦い経験からでした。2009年、国内では初となる新型インフルエンザの感染が神戸市で確認され、その後、全国に広まりました。感染が終息してもすぐには人出は戻らず、坪井さんの店でも客足が戻るのに1年以上かかったといいます。

(坪井将誉さん)
「神戸で新型インフルエンザが流行ったことがありました。夜中に客が全然来なくなってたくさん店がつぶれましたよね。目先のことやったら(時短営業の)協力金をもらって喜んでいたらいいですが、習慣自体が変わりますから、人間の。」
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他の店の開いていない朝にも営業することで、これまでとは違った客層にも店の味を知ってもらえます。ボクサーらしく「攻撃は最大の防御」という戦略をとったわけです。

(朝に来店したお客)
「朝に開いていること自体が珍しいので。今後も朝に開いているなら定期的に来たいなと思いますね。」
「『朝から重たい』と言われる方も多いでしょうけれど、僕たちは全然平気なので。お店の売り上げに貢献します。」

「あきらめの悪さが身上ですから」

午後3時、昼の営業を終えた坪井さんが、毎日欠かさず通っている場所があります。格闘技ジム「勇誠会」です。

「どこまでも諦めが悪い」と周囲は言います。ただ、それが坪井さんの生き方そのものだと感じずにはいられません。不屈の精神を持つラーメン店主が今日も店に立ちます。「店はきっとコロナに打ち勝つ」そう言わんばかりに。
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(坪井将誉さん)
「『朝から頑張っとるから行ったろうかなと思う』とか、そういう人が多いことに気づかされました。この店の名前は坪井の『つぼ』ですから、自分の全部を出すためにやっています。なんでも諦めたらあかんというのが、自分あきらめの悪さが身上ですから。」

(2月17日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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