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【特集】コロナ禍で翻弄される「外国人技能実習生」ようやく日本に来た人、出国できずに寺に身を寄せる人

2021年02月16日(火)放送

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新型コロナウイルスの影響で外国人技能実習生たちが苦境にあえいでいます。受け入れが決まっていても入国できない技能実習生や、実習先の経営不振で突然解雇された人、実習期間が終わっても帰れない人がいます。今、現場では何が起きているのでしょうか。

夫と子どもを残して…日本へやって来た技能実習生

フェイスシールドにマスク姿の女性たち。ベトナムからやってきた技能実習生で、この日から3週間、和歌山市内の事務所で日本語などの研修を受けます。「外国人技能実習制度」は、日本の企業で習得した技術や知識を母国に持ち帰り、発展に繋げていくために導入され、約40万人の技能実習生が在留しています。
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ベトナム人技能実習生のヴ・ティ・チャンさん(32)。2019年9月にベトナムで面接を受け、大阪の製糸工場で働くことが決まっています。

授業を終えて寮に帰宅すると、ルームメイトのフエさんと共に晩ご飯を作ります。この日のメニューは卵焼きや豚肉と小松菜のスープなどです。

(Q日本に来て驚いたことは?)
(チャンさん)「寒いです。とても寒いです。」
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食事を終えるとすぐに宿題にとりかかります。

(ベトナム人技能実習生 ヴ・ティ・チャンさん)
「いつ日本に行けるかどうか不安でした。今、日本にいます。とても楽しいですが、心配しています。コロナが危険で、日本語が下手です。結婚しています。(写真を見せて)夫と娘と私です。とても寂しい。でも私の家族のために頑張ります。」

ベトナムでは思うような仕事が見つからず、家族のために日本で働き、母国に帰っても職に就けるように技能実習生になったのです。
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そんなチャンさんの心の支えになっているのが5歳の長女とのテレビ電話です。“お母さんへ書いたという絵”を見ると思わず笑みがこぼれます。

(ベトナム人技能実習生 ヴ・ティ・チャンさん)
「今、とても幸せです。会いたいです。」

コロナで“入国できない”「収入無く家族も不安」

日本では新型コロナウイルスの影響で2020年2月ごろから外国人技能実習生の受け入れが停止し始めました。チャンさんも本来は2020年4月に来日する予定でしたが、8か月遅れで2020年12月に来日しました。しかし、その直後から再び受け入れの停止が続いています。

2020年5月に入国する予定だったベトナム人技能実習生のグエン・ドゥック・ラムさん(22)。今も母国に留まっています。

(入国待機中の実習生 グエン・ドゥック・ラムさん)
「ベトナムで結構長い間待っているので家族がかなり心配しています。待機している間は正式な仕事もできないので、ほとんど収入もなく、家族も困っています。」

入国できない人がいる一方で出国できない人もいます。

コロナで“帰国できない”ベトナム人らの駆け込み寺

埼玉県本庄市にあるベトナム寺院「大恩寺」。新型コロナウイルスの影響で実習先を解雇されたり、実習期間が終わっても帰国できなかったりするベトナム人らの駆け込み寺になっていて、これまでに600人以上を受け入れています。 
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(大恩寺 ティック・タム・チー住職 2月13日)
「日本では今、緊急事態宣言が出たので、どこに行ってもコロナ感染者が増えていて、それを見て彼ら(技能実習生)は不安がいっぱいです。『もし万が一自分が感染したら面倒見てくれる人がいない』、そういう不安があって早く(母国に)帰りたい。」
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1か月半前に寺にやって来たというフィン・ファット・タイさん(28)。

(元技能実習生 フィン・ファット・タイさん)
「(Q実習期間は?)終わったんです。(Qベトナムに帰りたいが準備が整わない?)そうですね。これからは仕事をしてお金を貯めてから帰る感じですね。」

新型コロナウイルスで帰国が延期になり、手持ちのお金が滞在費などで消えていき、帰るための航空券代すら払えない事態に陥っていました。総務省によりますと、出入国制限で帰国できない元技能実習生などは、約3万8000人に上っているといいます。

実習先へ「家族のために頑張る」

2月3日、ベトナム人技能実習生のチャンさんとフエさん。3週間の研修を終えて実習先に向かう日がやってきました。

(ベトナム人技能実習生 ヴ・ティ・チャンさん)
「ちょっと心配します。大阪はコロナが危険。ベトナムからマスクをたくさん持ってきました。」

少し緊張した様子の2人でしたが、目に映る木の名前を聞いたり建物を見上げたり、新しい街の景色に興味津々です。そして大阪府岸和田市にある実習先「山忠紡績」に到着しました。武田忠治社長が出迎えます。この会社では従業員40人のうち、約2割が外国人技能実習生です。

(チャンさん)「こんにちは!私を覚えていますか?」
 (武田社長)「チャンさんフエさん」
(チャンさん)「おー!すごい!」
 (武田社長)「もちろんもちろん、私が面接で選んだからね。」

(山忠紡績 武田忠治社長)
「うちの場合は製造業なので、人材不足だと操業できない危機に陥りますので、それを防ぐためには実習生は必要不可欠ですよね。本当にきょう来てくれてほっとしています。」

チャンさんらは早速、これから働く製糸工場を見学します。ここで3年、母国の家族のために日本の技術を学びます。
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(ベトナム人技能実習生 ヴ・ティ・チャンさん)
「新しい仕事なので全然わかりません。でも社長さんは教えてくれました。毎日勉強して練習します。3年間頑張ります。家族のためにもっともっと頑張ります。」

今や中小零細企業を支える技能実習生たち。家族と離れ離れになる中、新型コロナウイルスに翻弄される日々が続いています。

(2月16日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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